不動産業界の履歴書志望動機 例文と書き方完全ガイド

不動産業界は、成果主義の傾向が強く、実力次第で高収入やキャリアアップが狙える魅力的な市場です。しかし、人気企業や好条件の求人には多くの応募者が殺到するため、履歴書の志望動機で「稼げる人材であること」や「信頼できる人物であること」を明確に示さなければ、書類選考を突破することは困難です。

採用担当者は、単に「家が好き」という熱意だけでなく、厳しい目標数字を達成する行動力や、高額商品を扱う責任感、顧客との信頼構築能力を厳しくチェックしています。

ここでは、不動産業界への転職（同業種・未経験含む）において評価される志望動機の書き方のポイントと、職種別・ケース別の具体的な例文を紹介します。

不動産業界の採用担当者が志望動機で見ている3つのポイント

例文を見る前に、不動産業界が求めている人材像を整理することが重要です。以下の3つの要素を意識して文章を構成することで、即戦力としての説得力が増します。

1. 数字へのコミットメント

不動産業界、特に営業職においては「数字」が共通言語です。「売上目標を達成したい」「成果が正当に評価される環境で働きたい」といった、数字に対する執着心や向上心があるかどうかが評価されます。

2. 行動量とタフネス

華やかなイメージの裏で、不動産の仕事は地道な作業の積み重ねです。テレアポ、飛び込み、チラシ配布など、成果を出すために泥臭い行動を継続できる「精神的なタフさ」や「行動力」を持っているかが重視されます。

3. 顧客との信頼構築力

不動産は高額な商材であり、顧客の人生を左右する買い物です。そのため、顧客から信頼され、安心して任せてもらえる誠実さや人間性が不可欠です。「お客様の人生に寄り添いたい」というマインドも重要なアピールポイントです。

評価される志望動機を作る「3段構成」の鉄則

読みやすく説得力のある志望動機にするために、以下の3段構成で文章を組み立てるのが基本です。履歴書の志望動機欄はスペースが限られているため、200文字から300文字程度にまとめるのが理想的です。

1. 結論（志望理由）： その会社を選んだ理由（事業内容、理念、歩合制度など）。
2. 根拠（経験・スキル）： その理由に至った背景や、活かせる経験（営業実績、接客経験、資格など）。
3. 貢献（結び）： 入社後にどうなりたいか、どう貢献したいか。

【職種別】不動産業界の履歴書 志望動機 例文集

ここからは、職種ごとに最適化された志望動機の例文を紹介します。ご自身の経験に合わせてアレンジして活用してください。

1. 不動産売買仲介営業（個人・居住用）

【アピールポイント】 ライフスタイル提案力、信頼関係構築、傾聴力

【例文】

貴社の「顧客の人生に寄り添う」という経営理念と、地域密着で長年信頼を築かれている点に魅力を感じ、志望いたしました。

私はこれまで自動車ディーラーの営業職として、高額商材の販売に従事してまいりました。お客様のライフプランを深くヒアリングし、最適な一台を提案することで信頼を獲得してきました。

不動産はさらに高額で責任の重い商材ですが、これまでに培った傾聴力と提案力を活かし、お客様の夢の実現をサポートするとともに、貴社の売上拡大に貢献したいと考えております。

2. 不動産投資用営業・用地仕入れ

【アピールポイント】 行動量、交渉力、精神的なタフさ、成果主義への意欲

【例文】

貴社の実力主義の評価制度と、独自の仕入れルートによる商品力の高さに惹かれ、志望いたしました。

現職ではOA機器の新規開拓営業を担当しており、1日100件のテレアポと飛び込み営業を継続することで、部内トップの売上を達成しました。断られることを恐れずに行動し続ける粘り強さには自信があります。

この行動力と交渉力を活かし、より難易度の高い投資用不動産の分野で自身の力を試し、貴社の事業成長に大きく貢献したいと強く願っております。

3. 不動産賃貸仲介営業

【アピールポイント】 スピード感、回転率、親しみやすさ、マルチタスク

【例文】

貴社がエリア内トップの物件数を保有し、多くのお客様に選ばれている点に魅力を感じ、志望いたしました。

前職は携帯電話販売店で勤務しており、お客様の要望を短時間で把握し、最適なプランを即座に提案するスピード感を磨いてまいりました。また、混雑時でも笑顔でテキパキと対応するマルチタスク能力にも自信があります。

賃貸仲介においても、お客様のニーズに合った物件をスピーディーに提案し、成約件数を積み上げることで貴社に貢献いたします。

4. 不動産管理（プロパティマネジメント）

【アピールポイント】 調整力、クレーム対応力、オーナー利益への視点、安定稼働

【例文】

貴社が管理物件の入居率98%を維持し、オーナー様の資産価値最大化に貢献されている点に感銘を受け、志望いたしました。

私はこれまでホテルスタッフとして、設備の不具合対応やお客様からのクレーム対応に従事し、迅速な解決と再発防止に努めてまいりました。この調整力と問題解決能力は、入居者様やオーナー様、工事業者様との間に立つ管理業務において必ず活かせると確信しております。

誠実な対応で信頼を守り、貴社の管理物件の収益性向上に尽力いたします。

5. 不動産事務・営業アシスタント

【アピールポイント】 正確性、サポート力、宅建資格、契約業務への理解

【例文】

貴社の営業の方々が生き生きと働かれている姿を拝見し、その活動をバックオフィスから支えたいと強く思い志望いたしました。

前職では一般事務として、契約書の製本やデータ入力、電話応対を担当し、ミスのない正確な業務遂行を徹底してまいりました。また、不動産業界での業務に役立てるため、独学で宅地建物取引士の資格を取得いたしました。

営業担当者が商談に集中できる環境を整え、重要事項説明などを通じてチームの成約数増加に貢献したいと考えております。

【未経験者向け】異業種から不動産業界へ転職する場合

未経験の場合は、前職で培った「目標達成意欲（数字へのこだわり）」や「対人折衝能力」を不動産業界でどう活かせるかを伝えます。

【例文：販売・接客業から不動産営業へ】

貴社の扱うリノベーション物件のデザイン性と、お客様の理想の暮らしを叶える提案スタイルに惹かれ、志望いたしました。

前職のアパレル販売では、お客様のライフスタイルをヒアリングし、潜在的なニーズを満たす提案を行うことで、店舗内個人売上1位を獲得しました。不動産は金額こそ異なりますが、お客様の生活を豊かにする提案を行う点では共通していると考えております。

持ち前の目標達成意欲とコミュニケーション能力を活かし、早期に商品知識を習得して貴社の戦力となれるよう努力いたします。

履歴書の志望動機で避けるべきNG表現

不動産業界の志望動機において、避けるべき表現や注意点があります。

• 「家を見るのが好きだから」
  • 趣味の延長のような動機は、ビジネススキルとしてのアピールになりません。「好き」を原動力に、プロとしてどう利益を生み出せるかという視点で書く必要があります。
• 「ノルマがなさそうだから」「固定給が高いから」
  • 楽をしたい、条件が良いからという理由は、採用担当者に「すぐに辞めそう」「意欲が低い」と判断されます。あくまで仕事内容への意欲を優先します。
• 専門用語の知ったかぶり
  • 業界未経験の場合、「AD」「レインズ」などの専門用語を無理に使う必要はありません。誤用するリスクがあるため、一般的なビジネス用語で伝える方が無難です。

まとめ

不動産業界は、実力が正当に評価される世界です。

履歴書の志望動機では、「稼げる人材」「信頼できる人材」であることを、具体的なエピソードや実績とともにアピールしてください。あなたの熱意と覚悟が伝われば、未経験であっても採用への扉は開かれます。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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