履歴書の「ボランティア」経験。アピールになる? 強みに変える正しい書き方
転職活動(中途採用)で履歴書を作成する際、「ボランティア活動」の経験をどう書けばよいか、悩む方は少なくありません。
「そもそも、転職(中途採用)でボランティアは評価されるのだろうか?」
「履歴書のどの欄に書くのが正しいのか?」
「職歴のブランク(空白期間)の言い訳に見えないか?」
こうした疑問は当然のことです。
しかし、結論から言いますと、ボランティア経験は、書き方次第であなたの「人柄」や「隠れた強み」を伝える、有効なアピール材料となります。
採用担当者は、あなたの「職務経歴」だけでなく、その人の「主体性」や「社会への関心」「協調性」といった、数値では測れない「人間性」も見ています。
ここでは、採用担当者に響く「ボランティア」経験の書き方について、詳しく解説します。
1. 転職(中途採用)で「ボランティア」は評価されるか
新卒採用とは異なり、中途採用(転職)では、採用担当者が最も重視するのはあなたの「職務経歴」と「実務スキル」です。
ボランティア経験が、職務経歴の「代わり」になることはありません。
しかし、だからといって無意味というわけではありません。
ボランティア経験の記載は、以下の点で**強力な「補足材料」**として機能します。
- 「主体性」「行動力」のアピール→ 誰かに指示された(給与をもらう)わけではなく、ご自身の「意思」で行動した、という「主体性」の証(あかし)となります。
- 「人柄」「価値観」の証明→ あなたが「何に関心を持ち、どう社会と関わろうとしているか」という、人柄や価値観を伝える客観的な事実となります。
- 「空白期間(ブランク)」の有効な説明→ 職歴にブランクがある場合、「何もしていなかった」のではなく、「〇〇という活動を通じて、社会と関わり続けていた」という、非常にポジティブな説明材料になります。
2. 【最重要】「ボランティア」は履歴書の“どこに”書くか
この「書く場所」の判断が、採用担当者へのアピールを左右する最も重要なポイントです。
1. 「職歴」欄に書くのはNGか?
原則として、「職歴」欄に記載するのは避けるべきです。
「職歴」欄は、あくまで「雇用契約」を結び、「給与」を得ていた「仕事」の経歴を記載する場所です。
ここにボランティア活動を記載すると、採用担当者は時系列(キャリア)を正しく把握できず、混乱させてしまう可能性があります。
【例外として「職歴」欄に書けるケース】
「青年海外協力隊(JICA)」や、NPO法人などで「常勤(フルタイム)職員」として(たとえ給与が低くても)従事していた場合など、それがあなたの「メインの活動(仕事)」であった場合は、職歴欄に記載します。
(職歴欄 記載例)
〇〇年〇月 特定非営利活動法人〇〇 入職
(ボランティアコーディネーターとして、〇〇業務に従事)
2. 「自己PR」欄(最も推奨)
あなたの「強み」として、戦略的にアピールしたい場合、この欄が最適です。
そのボランティア活動を通じて「何を得たか」「どんなスキルを身につけたか」を、具体的なエピソードと共にアピールできます。
3. 「趣味・特技」欄
現在も継続している活動(例:週末の清掃活動など)や、人柄のアピールとして簡潔に伝えたい場合に適しています。
3. ボランティア経験を「ビジネススキル」に“翻訳”する
採用担当者が知りたいのは、「あなたが何をしたか」という事実そのものよりも、その活動のプロセスを通じて、**「どのような『強み』を培(つちか)ってきたか」**という点です。
ただ「ボランティアを頑張りました」と書くだけでは、採用担当者には何も伝わりません。その活動を「ビジネススキル」に「翻訳」する作業が不可欠です。
「ボランティア活動」からアピールできる「強み」の例
- チームで行う活動(例:イベント運営、炊き出し)→ 「協調性」「調整力」(多様な年代・背景を持つメンバーと一つの目標に向かう力)
- リーダー的な役割(例:ボランティアリーダー、企画担当)→ 「リーダーシップ」「計画実行力」(メンバーをまとめ、ゼロから企画を立ち上げた経験)
- 社会的活動(例:NPO活動、地域活動)→ 「主体性」「課題解決能力」(社会課題に対し、自ら課題を見つけ、行動する力)
- 継続的な活動(例:〇年間の清掃活動、学習支援)→ 「継続力」「忍耐力」(一つの物事を長くやり遂げる力)
4. 【例文】履歴書への具体的な書き方
ご自身の状況や、アピールしたい「強み」に合わせて使い分けましょう。
例文1:「自己PR」欄で、「リーダーシップ」をアピールする場合
【自己PR】
私の強みは、多様なメンバーをまとめる**『計画実行力』です。
前職(〇〇職)の経験に加え、〇年間、NPO法人〇〇にてイベント運営のボランティアリーダーを任されました。年齢も職業も異なる5名のメンバーをまとめ、企画立案から当日の運営までを担当し、〇〇(成果)に貢献しました。この『調整力』と『計画性』**は、貴社の〇〇業務でも活かせると確信しております。
例文2:「自己PR」欄で、「空白期間(ブランク)」を説明する場合
【自己PR】
前職退職後、地域の〇〇(例:外国籍児童への学習支援)のボランティア活動に〇年間、週〇回参加しておりました。
日本語の指導を通じて、バックグラウンドの異なる相手の立場に立ち、**「何に困っているか」を正確に汲(く)み取る『傾聴力(けいちょうりょく)』**を改めて磨きました。この『傾聴力』は、貴社の〇〇(例:カスタマーサポート)業務においても必ず役立つと考えます。
例文3:「趣味・特技」欄で、簡潔に「人柄」をアピールする場合
【趣味・特技】
地域の清掃活動(毎月第一日曜日に参加。〇年間継続しています。コツコツと物事を続ける継続力が強みです。)
5. 結論。ボランティアは「主体性」と「人柄」の証
履歴書において、「ボランティア」の経験は、職務経歴書だけでは伝わらない、あなたの「主体性」や「社会性」、「人間的な魅力」をアピールできる貴重なスペースです。
「特になし」と書いたり、空欄にしたりせず、
「その活動(事実) + そこから得た強み(翻訳) + 仕事への活かし方(貢献)」
を意識して記載すること。
その「ひと手間」が、採用担当者の心に響くアピールとなります。





