介護職の履歴書「志望動機」完全ガイド！採用担当者の心を掴む例文と書き方

介護業界は慢性的な人手不足と言われていますが、好条件の施設や人気の事業所への転職となると、競争率は決して低くありません。

「資格はあるけれど、何を書けばいいのか分からない」「経験が浅くてアピールに自信がない」と悩む求職者は多いものです。

採用担当者が履歴書の中で最も重視するのは、実は経歴そのものよりも「志望動機」です。なぜなら、志望動機にはその人の「仕事への熱意」「人柄」「長く働いてくれるか」といった重要な情報が詰まっているからです。

この記事では、介護職の書類選考を突破するために必要な志望動機の書き方のポイントと、経験・未経験・状況別の「そのまま使える例文」を詳しく解説します。

介護職の採用担当者が志望動機で見ている3つのポイント

例文を見る前に、まずは「採用側が何を求めているか」を理解しましょう。ここを外してしまうと、どんなに綺麗な文章でも不採用になってしまいます。

1. 「なぜ介護なのか」「なぜこの施設なのか」の納得感

「家から近いから」「給料が良いから」といった条件面だけの理由は、すぐに辞めてしまうのではないかと懸念されます。

「御社の『利用者様の自立支援』という理念に共感した」「地域密着の姿勢に惹かれた」など、その施設ならではの特徴と自分の価値観が合致していることを伝える必要があります。

2. 介護の仕事に対する適性と人柄

介護は究極の対人サービス業です。技術も大切ですが、「優しさ」「忍耐強さ」「協調性」「責任感」といった人柄が非常に重視されます。過去のエピソードを通じて、これらの資質を持っていることをアピールしましょう。

3. 長く働き、貢献してくれるビジョンがあるか

「勉強させてほしい」という受け身の姿勢ではなく、「自分の経験を活かしてこう貢献したい」「資格を取ってキャリアアップしたい」という能動的な姿勢を見せることで、長く活躍してくれる人材だと判断されます。

評価される志望動機を作る「3段構成」の鉄則

説得力のある志望動機を書くためには、思いついたことを羅列するのではなく、以下の3つのステップで構成するのが鉄則です。

1. 結論（書き出し）： その施設を志望した最大の理由を端的に述べる。
2. 根拠（エピソード）： その理由に至った背景（過去の経験や原体験）を具体的に書く。
3. 貢献（結び）： 入社後にどうなりたいか、どう貢献したいかで締めくくる。

【状況別】介護職の履歴書 志望動機 例文集

ここからは、具体的なシチュエーション別に例文を紹介します。ご自身の状況に近いものを参考に、自分の言葉になおして活用してください。

1. 未経験・異業種から介護職へ挑戦する場合

【ポイント】

介護を志した「きっかけ」と、前職で培った「ポータブルスキル（接客力や体力など）」をどう活かせるかをアピールします。

【例文】

以前、祖母の在宅介護を手伝った際、訪問ヘルパーの方の温かい対応に救われ、自分も直接人の役に立つ仕事がしたいと強く思うようになりました。前職の飲食店では3年間、ホールスタッフとして幅広い年代のお客様への接客を担当し、相手の状況を先読みして動く「気配り」や「体力」には自信があります。

貴施設の「利用者様の笑顔を第一に」という理念に共感し、未経験ではありますが、一から技術を学び、利用者様に安心していただける介護職員になりたいと志望いたしました。現在は介護職員初任者研修の資格取得に向けて勉強中です。

2. 経験者がキャリアアップを目指す場合（同職種）

【ポイント】

これまでの実績（リーダー経験や得意なケア）を具体的に示し、なぜ今の職場ではなく「ここ」でなければならないのかという理由を明確にします。

【例文】

現在は特別養護老人ホームにて5年間、介護福祉士として勤務しております。重度の利用者様への身体介助や看取りケアに携わる中で、もっと一人ひとりの生活歴や個性に寄り添ったケアを実践したいと考えるようになりました。

貴社はユニットケアを導入し、個別ケアに力を入れている点に強く惹かれました。これまでの経験で培った観察力と技術を活かし、利用者様が「その人らしく」過ごせる環境づくりに貢献したいと考えております。また、将来的にはユニットリーダーとしてチーム運営にも携わりたいと強く志望しております。

3. 施設形態を変える場合（例：特養からデイサービスへ）

【ポイント】

前職の経験を活かしつつ、新しい施設形態で「何をやりたいか」をポジティブに伝えます。

【例文】

これまでは介護老人保健施設（老健）にて、在宅復帰を目指す利用者様の身体介助を中心に行ってまいりました。その中で、利用者様が楽しみながらリハビリに取り組めるレクリエーションの重要性を感じ、レクリエーションやイベントに定評のある貴デイサービスを志望いたしました。

身体介護のスキルはもちろん、持ち前の明るさと企画力を活かして、利用者様が「また来たい」と思えるような楽しい空間づくりと、身体機能の維持・向上に貢献したいと考えております。

4. ブランクがある場合（出産・育児・介護など）

【ポイント】

ブランクをネガティブに捉えず、復職への強い意欲と、ブランク中に得た経験（育児や親の介護など）が仕事に活きることを伝えます。

【例文】

出産を機に一度退職し、5年間のブランクがありますが、子育てがひと段落したため、やりがいを感じていた介護の仕事に復帰したいと考え志望いたしました。子育てを通じて、以前よりも忍耐力や、相手の気持ちを汲み取る力が養われたと感じております。

貴施設は研修制度が充実しており、ブランクのある職員も活躍していると伺いました。かつての経験を思い出しつつ、新しい知識も謙虚に吸収し、即戦力として長く安定して働きたいと考えております。

採用担当者に嫌われる「NGな志望動機」

以下のような書き方は、マイナス評価につながる可能性が高いため注意が必要です。

• 「勉強させてほしい」という受け身の姿勢施設は学校ではありません。「学びたい」ではなく「経験を活かして貢献したい」「成長しながら貢献したい」というスタンスで書きましょう。
• 待遇面ばかりを強調する「家から近い」「給料が良い」「残業が少なそう」といった理由は、本音であっても志望動機のメインにするべきではありません。あくまで「仕事内容」や「理念」への共感を優先しましょう。
• 前の職場の不満を書く「人間関係が悪かった」「忙しすぎた」などのネガティブな退職理由は、「うちに来ても文句を言いそう」と思われてしまいます。「チームワークを大切にする貴社で働きたい」「利用者様とじっくり向き合いたい」など、ポジティブな言葉に変換しましょう。

まとめ

介護職の履歴書において、志望動機は「あなたを採用するメリット」を伝えるためのプレゼンテーションです。

例文をそのままコピーするのではなく、あなた自身の「体験」や「想い」を少し加えるだけで、オリジナリティのある強力な志望動機になります。自信を持って、あなたの熱意を伝えてください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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