履歴書の「希望動機（志望動機）」完全ガイド！採用される書き方とシチュエーション別例文

履歴書を作成する際、多くの人が頭を悩ませるのが「希望動機（一般的には「志望動機」と記載）」の欄です。

「なぜこの会社を選んだのか」「入社して何がしたいのか」を短い文章で伝えることは簡単ではありません。しかし、採用担当者はこの欄を見て、あなたの熱意や適性を判断しています。

ここでは、採用担当者に「会って話を聞きたい」と思わせるための書き方のコツと、未経験・経験者・パートなど状況別の具体的な例文を紹介します。

採用担当者が志望動機で見ている3つのポイント

例文を見る前に、企業側が何を重視しているかを整理しましょう。以下の3点を意識して書くことで、説得力が格段に上がります。

1. なぜ「他社」ではなく「この会社」なのか同業他社がたくさんある中で、なぜその会社を選んだのか。企業の独自性や理念、商品力など、具体的な魅力を挙げることが重要です。
2. その仕事で「何ができるか」「勉強させてほしい」という受け身の姿勢ではなく、あなたの経験やスキルが会社の利益にどう貢献できるかを伝えます。
3. 入社後の「ビジョン」があるか入社後にどのように成長し、どのような役割を担いたいかという前向きな意思表示は、定着率の高さ（すぐに辞めないこと）のアピールに繋がります。

評価される志望動機の基本構成（3段構成）

読みやすく論理的な文章にするために、以下の3つのステップで構成を組み立てるのが鉄則です。

• 【結論】 その会社を志望した理由（企業の魅力・きっかけ）
• 【根拠】 その理由に至った背景や、活かせるこれまでの経験
• 【貢献】 入社後に実現したいこと・意欲

【状況・職種別】履歴書の志望動機 例文集

ここからは、具体的なシチュエーション別に例文を紹介します。ご自身の状況に合わせてアレンジして活用してください。

ケース1：同職種・経験者がキャリアアップを目指す場合（営業職）

ポイント

即戦力であることをアピールしつつ、現職では実現できないことが、応募先企業なら実現できるという「必然性」を強調します。

【例文】

貴社の「顧客の課題解決を最優先する」という営業方針と、業界内でも圧倒的な商品開発力に魅力を感じ、志望いたしました。

現職では5年間、法人営業として新規開拓に従事し、昨年度は部内トップの売上を達成しましたが、単一商材のみの提案に限界を感じておりました。貴社の幅広いソリューションであれば、顧客の本質的な課題解決が可能であると考えます。これまでに培った関係構築力と提案力を活かし、貴社の事業拡大に即戦力として貢献したいと考えております。

ケース2：未経験職種へキャリアチェンジする場合（販売から事務へ）

ポイント

実務経験がない分、前職で培った「ポータブルスキル（持ち運び可能な能力）」をどう活かせるかを伝え、学習意欲もアピールします。

【例文】

貴社の地域密着型の丁寧なサービス展開と、社員の方々の温かい社風に惹かれ、志望いたしました。

前職ではアパレル販売員として3年間勤務し、お客様一人ひとりに合わせた提案接客を行ってまいりました。その中で、店舗の在庫管理や売上集計業務を通じて、数字を扱う責任感とバックオフィス業務の重要性を学び、事務職への転身を決意しました。

事務の実務は未経験ですが、販売職で培った「相手の状況を先読みするコミュニケーション能力」と「正確な金銭管理能力」は、貴社の円滑な業務運営に活かせると確信しております。現在はMOS資格の取得に向けてPCスキルも習得中です。

ケース3：異業界へ転職する場合（メーカーからITへ）

ポイント

なぜその業界に興味を持ったのかという「きっかけ」と、異業界でも通用する共通のスキル（折衝力や管理能力など）をアピールします。

【例文】

貴社が開発する業務効率化ツールが、企業の働き方改革を推進している点に社会的意義を感じ、志望いたしました。

私はこれまでメーカーの生産管理として、現場の業務改善に尽力してまいりましたが、ITツール導入によって生産性が劇的に向上した経験から、IT業界の可能性に強く惹かれました。

業界は異なりますが、課題を発見し改善策を実行するプロセスは共通していると考えております。現場視点を持った提案で、貴社のサービスの普及に貢献したいと強く志望しております。

ケース4：パート・アルバイトに応募する場合

ポイント

「家から近い」などの条件面だけでなく、仕事内容への興味や、真面目に長く働けること（定着性）を伝えます。

【例文】

自宅から近く、普段から貴店を利用しており、スタッフの方々のテキパキとした明るい対応に好感を持っておりました。私もその一員として、お客様に喜ばれる店舗作りに貢献したいと思い、志望いたしました。

前職では飲食店で接客業務を経験しており、体力と笑顔には自信があります。土日祝日も含めて安定してシフトに入ることができるため、腰を据えて長く働きたいと考えております。

書類選考でマイナスになるNGな書き方

以下のような内容は、採用担当者にネガティブな印象を与える可能性があるため避けましょう。

• 「勉強させてほしい」という受け身の姿勢企業は学校ではありません。「学びたい」ではなく「自ら学び、貢献したい」という能動的なスタンスで書きましょう。
• 「給料が良いから」「休みが多いから」等の条件面本音であっても、志望動機の中心に据えるのはNGです。あくまで仕事内容や理念への共感を優先し、条件面は面接の後半で確認するようにしましょう。
• 「御社の将来性に惹かれ」などの定型文のみどの会社でも通じる内容は、「うちじゃなくてもいいのでは？」と思われます。その会社独自の商品名や取り組みを盛り込み、具体性を持たせてください。

履歴書の志望動機は、あなたの熱意とスキルを企業に売り込む最初のプレゼンテーションです。例文を参考にしつつ、あなた自身の言葉で「なぜその会社なのか」を伝え、採用担当者の心を掴んでください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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