飲食店の履歴書志望動機【完全版】採用担当者の心を掴む例文と書き方のコツ

飲食業界への転職において、履歴書の志望動機は採用の合否を大きく左右する重要な項目です。「料理が好き」「接客が好き」という熱意は大切ですが、それだけではプロとして活躍できる人材かどうか判断してもらえません。

採用担当者は、あなたの「飲食への情熱」に加え、「店舗への貢献意欲」「体力や適性」「長く働いてくれるか」を見ています。

ここでは、飲食店への転職を成功させるための志望動機の書き方ポイントと、未経験・経験者・職種別の具体的な例文を紹介します。これらを参考に、あなただけの魅力的な志望動機を作成してください。

飲食店の採用担当者が志望動機で見ている3つのポイント

例文を見る前に、採用側が何を評価基準にしているかを知っておきましょう。以下の3点を意識するだけで、説得力が格段に増します。

1. なぜ「この店」なのか

飲食店は星の数ほどあります。その中でなぜこの店を選んだのか、具体的なエピソードや店舗理念への共感を伝える必要があります。「家から近いから」だけではなく、「貴店の温かい接客に感動したから」「提供されている料理のこだわりに共感したから」など、独自の理由を明確にしましょう。

2. 飲食業としての「適性」と「体力」

飲食店の仕事は、立ち仕事であり、ピークタイムには迅速な対応が求められる体力勝負の側面があります。「体力には自信がある」「チームワークを大切にできる」「土日祝日も勤務可能」といった、現場で求められる適性をアピールします。

3. 「貢献できること」と「キャリアビジョン」

「勉強させてほしい」という受け身の姿勢ではなく、「前職の営業経験を活かして顧客満足度を高めたい」「将来的には店長として店舗運営を担いたい」といった、入社後の貢献イメージや成長意欲を持っていることが重要です。

評価される志望動機を作る「3段構成」の鉄則

読みやすく、熱意が伝わる志望動機にするためには、以下の3つのステップで文章を組み立てるのが基本です。履歴書の志望動機欄はスペースが限られているため、200文字から300文字程度にまとめるのが理想的です。

1. 結論（志望理由）： その店を志望した最大の理由を端的に述べる。
2. 根拠（経験・スキル）： その理由に至った背景や、活かせる経験（接客経験や体力など）を具体的に書く。
3. 貢献（結び）： 入社後にどうなりたいか、どう貢献したいかで締めくくる。

【状況・職種別】飲食店の履歴書 志望動機 例文集

ここからは、状況やアピールポイントに合わせた具体的な例文を紹介します。ご自身の経験に近いものをベースに、エピソードを調整して活用してください。

1. 未経験・異業種からホールスタッフへ挑戦する場合

【ポイント】

異業種（営業や販売など）で培った「コミュニケーション能力」や「ホスピタリティ」をアピールし、飲食への熱意と掛け合わせます。

【例文】

以前より貴店を利用しており、スタッフの方々の活気ある接客と、お客様が笑顔で食事を楽しむ空間に魅力を感じておりました。私もその空間を作る一員となり、お客様に喜びを提供したいと強く思い、志望いたしました。

前職ではアパレル販売員として3年間勤務し、お客様のニーズを先読みするホスピタリティを磨いてまいりました。飲食業は未経験ですが、持ち前の明るさと体力を活かし、お客様に「また来たい」と思っていただける接客を目指して尽力いたします。

2. 未経験からキッチンスタッフ・調理見習いへ挑戦する場合

【ポイント】

料理への関心の高さだけでなく、地道な作業に取り組める「忍耐力」や「協調性」を伝えます。

【例文】

貴店の「素材の味を最大限に活かす」という料理へのこだわりに深く感銘を受け、調理の技術を一から学びたいと思い志望いたしました。

これまでは事務職として勤務しておりましたが、趣味の料理を通じて「食」が人に与える幸福感に魅了され、プロの道を目指す決意をいたしました。未経験からのスタートとなりますが、チームワークを大切にし、下積みから真面目にコツコツと技術を習得することで、一日も早く戦力となれるよう努力いたします。

3. 経験者がキャリアアップ・他業態へ転職する場合

【ポイント】

これまでの実績（調理スキル、接客評価など）を具体的に示し、なぜ今の店から転職するのか、その店でなければならない理由（提供スタイル、経営方針など）を明確にします。

【例文】

貴店が掲げる「地産地消」のコンセプトと、生産者との繋がりを大切にする姿勢に共感し、志望いたしました。

現在はイタリアンレストランにて5年間、調理およびホール業務に従事しております。パスタ場やメイン料理を担当し、季節メニューの考案にも携わってまいりました。しかし、より素材にこだわった料理を提供したいという思いが強くなり、厳選された食材を扱う貴店への転職を決意しました。これまでの調理経験を活かし、貴店のさらなるファン獲得に貢献したいと考えております。

4. 店長・マネージャー候補として応募する場合

【ポイント】

店舗運営、人材育成、数値管理（売上・原価）の実績をアピールし、即戦力のリーダー候補であることを伝えます。

【例文】

貴社の多店舗展開における成長性と、地域密着型の店舗運営に魅力を感じ、志望いたしました。

私は前職で居酒屋チェーンの店長として3年間、店舗マネジメントを担当しました。スタッフ20名の採用・育成を行い、チーム力を強化することで、昨年度はエリア内売上昨対比1位（115パーセント）を達成しました。このマネジメント経験と計数管理能力を活かし、貴社の店舗においても利益最大化と、スタッフが生き生きと働ける環境づくりに貢献したいと考えております。

採用担当者に嫌われる「NGな志望動機」

せっかくの熱意も、書き方ひとつでマイナス評価につながることがあります。以下の点に注意しましょう。

• 「料理（接客）が好き」だけで終わらせない
  • NG理由： 「好き」なのはお客様も同じです。プロとして「利益を生み出す」ための視点が欠けていると判断されます。「好きだからこそ、その良さを多くのお客様に届けたい」という貢献視点に変換しましょう。
• 「勉強させてほしい」という受け身の姿勢
  • NG理由： 店舗は学校ではありません。「自ら学び、早く戦力になる」という能動的な姿勢を示しましょう。
• 前の職場の不満を書く
  • NG理由： 「前の店は忙しすぎたので」「人間関係が悪かったので」といったネガティブな理由は、採用担当者に不信感を与えます。「より質の高いサービスを提供したい」など、ポジティブな理由に変換しましょう。
• 条件面ばかりを強調する
  • NG理由： 「給料が良いから」「まかないがあるから」といった理由は、本音であっても志望動機の中心に据えるべきではありません。あくまで仕事内容への意欲を優先しましょう。

まとめ

飲食店の履歴書において、志望動機は「あなたを採用するメリット」と「お店への愛着」を伝えるためのプレゼンテーションです。

例文を参考にしつつも、必ずご自身が実際に体験したエピソード（来店時の感動、料理への興味、前職での成功体験など）を盛り込んでください。きれいな文章を書くことよりも、あなた自身の言葉で「この店で働きたい」という熱意を伝えることが、採用担当者の心を動かす鍵となります。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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