税理士科目合格は履歴書にどう書く?正式名称と転職を有利にするアピール方法
税理士試験は、1科目ずつ合格を積み上げていくことができる「科目合格制」が特徴の難関国家資格です。そのため、5科目すべてに合格していなくても、1科目でも合格していればそれは立派な「税理士科目合格者」として履歴書に記載でき、転職市場において強力な武器となります。
しかし、いざ履歴書の資格欄に記入しようとすると、「正式名称はどう書くのか」「受験中の科目はどう書けばいいのか」と迷うことは少なくありません。ここでは、税理士試験の科目合格を履歴書に正しく記載するルールや、大学院免除の場合の書き方、そして採用担当者に響くアピール方法について詳しく解説します。
税理士科目合格の正式名称と履歴書への正しい書き方
履歴書の免許・資格欄に記載する際は、略称を使わずに正式名称で書くことが鉄則です。「簿記論合格」や「税理士試験(財務諸表論)」といきなり書くのではなく、試験の名称から丁寧に記述します。
基本的な記載ルール
税理士試験の合格発表は通常12月に行われます。そのため、年月欄には「試験を受けた8月」ではなく、合格証書に記載されている「合格発表があった12月(または11月)」を記入するのが一般的です。
【記入例】
令和〇年12月 第〇回税理士試験(簿記論) 合格
令和〇年12月 第〇回税理士試験(財務諸表論) 合格
令和〇年12月 第〇回税理士試験(消費税法) 合格
複数の科目に合格している場合
複数の科目を持っている場合は、合格した年月の古い順に記載します。もし同じ年に複数科目合格した場合は、同じ行にまとめて書いても、行を分けて書いてもどちらでも構いませんが、見やすさを重視して行を分けるのが丁寧です。
【まとめて書く場合】
令和〇年12月 第〇回税理士試験(簿記論・財務諸表論) 合格
現在勉強中の科目や結果待ちの科目の書き方
税理士を目指している方であれば、合格した科目だけでなく、現在勉強している科目や、受験済みで結果待ちの科目がある場合も多いでしょう。これらは資格欄、または自己PR欄に記載することで、学習意欲や向上心の高さをアピールできます。
勉強中の場合
現在学習を継続している科目は、以下のように記載して「次の試験に向けて努力している」ことを伝えます。
現在、第〇回税理士試験(法人税法) 受験に向けて勉強中(令和〇年8月受験予定)
受験済みで結果待ちの場合
すでに受験を終え、12月の発表を待っている状態であれば、その旨を記載します。自己採点などで合格の可能性が高い場合は、面接での話題作りにもなります。
令和〇年8月 第〇回税理士試験(所得税法) 受験(結果待ち)
大学院での科目免除を受けている場合の書き方
大学院で修士論文を執筆し、国税庁の認定を受けて科目が免除(試験免除)された場合は、通常の試験合格とは書き方が異なります。「免除決定通知書」が届いているか、あるいは申請中かによって書き分けます。
【免除決定通知書が届いている場合】
令和〇年〇月 税理士試験免除決定通知書 受領(税法2科目免除)
【大学院を修了したが通知はまだの場合】
令和〇年3月 〇〇大学大学院 〇〇研究科 修了(税法2科目免除申請中)
転職市場における科目合格の価値とアピール戦略
「官報合格(5科目合格)していないと意味がないのでは?」と不安に思う方もいますが、それは大きな誤解です。特に会計事務所や税理士法人、企業の経理職への転職において、科目合格者の需要は非常に高いものがあります。
1. 「簿記論」「財務諸表論」合格のアピール
これら必須2科目は、会計の基礎知識が極めて高いレベルにあることの証明です。日商簿記1級と同等、あるいはそれ以上の評価を受けることもあります。経理実務において即戦力となり得るため、「正確な会計処理能力」や「決算業務への適性」としてアピールできます。
2. 税法科目合格のアピール
法人税法や消費税法、所得税法などの税法科目は、実務に直結する知識です。特に消費税法や法人税法は、多くの企業や会計事務所で必須の知識となるため、「税務申告の補助ができる」「コンプライアンス意識が高い」という強力な武器になります。
3. 継続力と計画性のアピール
難関である税理士試験に働きながら(あるいは学業と両立しながら)合格したという事実は、知識だけでなく「粘り強さ」「タイムマネジメント能力」「目標達成能力」の証明になります。職務経歴書の自己PR欄では、合格に至るまでの工夫や努力のプロセスを記述することで、仕事に対するスタンスの良さを評価してもらえます。
まとめ
税理士科目合格は、あなたの専門性と努力の結晶です。履歴書には、略称を使わず「第〇回税理士試験(科目名) 合格」と正式名称で堂々と記載しましょう。
また、現在進行形で学習している科目がある場合は、それも併せて記載することで、将来の税理士候補としてのポテンシャルを強く印象づけることができます。自信を持って記載し、書類選考の突破につなげてください。





