履歴書の本人希望欄における休み希望の書き方と採用リスクを減らす伝え方

転職活動において履歴書を作成する際、多くの応募者が頭を悩ませるのが本人希望記入欄の書き方です。特に子育てや介護、あるいは通院などの事情により、特定の曜日や時間に休みを希望したい場合、それを正直に書いてよいものか、それとも書類選考通過のために伏せておくべきか判断に迷うところです。

企業側は柔軟な働き方を推進している場合もありますが、基本的には会社の規定に従って勤務できる人材を求めています。そのため、書き方一つで扱いにくい人材という印象を与えてしまうリスクもあります。ここでは、履歴書における休み希望の正しい書き方や、マイナス評価を避けるための表現の工夫、そして雇用形態による書き分けについて詳しく解説します。

本人希望記入欄の基本ルールと原則

まず大前提として理解しておくべきことは、履歴書の本人希望記入欄は、単なる要望を羅列する場所ではないということです。この欄は、入社するにあたってどうしても譲れない絶対条件を記載するためのスペースです。したがって、単に趣味を楽しみたいから土日は休みたいといった個人的な嗜好による希望を書くことは避けるべきです。

特段の事情がない場合、この欄には貴社の規定に従いますと記載するのが最も基本的かつ無難なマナーです。これは、会社の就業規則やシフトルールを遵守する意思があることを示す定型句であり、採用担当者に安心感を与えます。しかし、家庭の事情などで勤務できない曜日や時間帯が明確にある場合は、後々のトラブルを防ぐためにも、正直に、かつ丁寧に事情を説明する必要があります。隠して入社しても、結果的に勤務が続けられなくなってはお互いにとって不幸な結果となるからです。

やむを得ない事情がある場合の具体的な書き方と例文

育児や介護、通院など、やむを得ない事情で休みを希望する場合は、単に休みが欲しいと書くのではなく、理由を添えて記載することが鉄則です。理由が明確であれば、採用担当者も事情を汲み取り、調整が可能かどうかを検討してくれます。

例えば子育て中の場合、保育園の送迎や行事のために土日祝日の勤務が難しいことがあります。その際は、子供の保育園送迎のため、土日祝日の勤務は不可とさせていただきたく存じますといったように、理由と希望をセットで記載します。また、親の介護がある場合も同様に、親の通院付き添いのため、平日の月曜日はお休みをいただけますでしょうかと丁寧に記述します。

ここで重要なのは、権利を主張するような書き方にならないようにすることです。あくまでこちらの事情をお願いする立場であることを忘れず、謙虚な言葉選びを心がけてください。また、制限があること以外はフルタイムで働けるなど、勤務可能な条件もあわせて記載することで、働く意欲が高いことをアピールできます。

パートやアルバイト応募におけるシフト希望の書き方

正社員ではなく、パートやアルバイトとして応募する場合は、履歴書での休み希望の伝え方が少し異なります。パート・アルバイト採用では、シフトの融通が利くかどうかが採用の可否に直結する重要な要素となるからです。そのため、勤務可能な曜日や時間帯、そして絶対に休みたい曜日については、より具体的に記載する方が親切です。

例えば、週4日勤務希望（月・水・金・土が可能）や、子供の学校行事等でのお休みはご相談させていただけますと幸いですといったように記載します。また、扶養範囲内での勤務を希望する場合も、この欄にはっきりと明記しておくべきです。パート採用の場合は、条件面でのミスマッチを事前に防ぐことが最優先されるため、曖昧にするよりも明確に提示した方が、書類選考の段階でスムーズな判断につながります。

柔軟な姿勢を見せるためのクッション言葉の活用

どうしても外せない休み希望がある場合でも、書き方に柔軟性を持たせることで印象を良くすることができます。条件を提示しつつも、可能な限り会社に協力したいという姿勢を見せることがポイントです。

例えば、毎週水曜日は通院のためお休みを希望しますが、それ以外の曜日は残業等も含めて柔軟に対応可能ですといった記述や、土日の勤務は基本的には難しいですが、前もってご相談いただければ月1回程度は調整可能ですといったように、譲歩案や代替案を提示します。これにより、一方的に条件を突きつける人ではなく、組織の一員として協力しようとする姿勢がある人物だと評価されやすくなります。完全に不可能と言い切るのではなく、相談の余地を残しておくことが、書類選考を通過するためのテクニックの一つです。

書類選考と面接での一貫性を保つことの重要性

履歴書に休み希望を書いた場合、書類選考を通過した後の面接では必ずその点について深掘りされます。その際、履歴書に書いた内容と面接で話す内容に食い違いがないようにすることが重要です。書類では厳格に不可と書いていたのに、面接で頑張れば出られますと言ってしまうと、どちらが本当なのか信用されなくなってしまいます。

また、履歴書には最低限の譲れない条件のみを記載し、詳細な調整は面接の場で行うというスタンスも有効です。履歴書はあくまで会ってもらうためのツールですので、あまりに細かすぎる要望（例えば、毎週火曜日の午後3時から4時は抜けたい等）は書かず、面接で口頭で相談する方がスムーズな場合もあります。文章で書くと冷たく見えがちな要望も、対面で事情を説明すれば理解を得やすいことは多々あります。履歴書での記載はシンプルかつ丁寧を心がけ、詳細は面接で誠実に伝えるというバランス感覚を持って作成してください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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