履歴書の職歴欄の正しい書き方と採用担当者に評価される作成テクニック
転職活動において履歴書は、採用担当者が応募者の基本情報とキャリアの概略を把握するための最初の書類です。中でも職歴欄は、これまでの経験やスキルが自社の求める要件と合致しているかを判断する重要なパートです。単に過去に在籍した企業名を羅列するだけでは、あなたの魅力は十分に伝わりません。読み手にとって分かりやすく、かつ実務能力の高さを予感させる書き方を工夫することが、書類選考突破への第一歩となります。ここでは転職活動における履歴書の職歴欄の正しい書き方や基本ルール、そしてケース別の適切な記載方法について詳しく解説します。
職歴欄を書く際の基本的なルールとマナー
職歴欄を記入する際には、ビジネス文書としての基本的なルールを守ることが大前提です。まず、学歴欄の最終行から1行空けて、行の中央に「職歴」と記載します。その次の行から、時系列順(古い順)に職歴を記入していきます。
企業名は略称を使わず、必ず正式名称で記載します。「(株)」や「(有)」ではなく、「株式会社」「有限会社」と書きます。また、以前の社名が変更されている場合は、在籍当時の社名を書き、カッコ書きで現在の社名を添えるか、現在の社名を書いてカッコ書きで旧社名を添えると親切です。年号については、西暦か和暦(令和、平成、昭和)のどちらかで統一します。履歴書全体はもちろん、職務経歴書などの他の応募書類とも統一することで、読み手に整理された印象を与えます。
採用担当者に伝わる具体的な職務内容の書き方
多くの応募者が社名と入退社の事実のみを記載しがちですが、職歴欄には配属部署や簡単な職務内容を添えることで、アピール力が格段に向上します。採用担当者は社名だけを見ても、応募者が具体的にどのような仕事をしていたのかを瞬時に判断することはできません。
そこで、社名の下の行に「営業第一部に配属 新規開拓営業に従事」や「経理部にて月次・年次決算業務を担当」といったように、職務の概要を簡潔に記載します。このひと手間を加えることで、職務経歴書を詳しく読み込む前の段階で、応募者が募集ポジションに必要な経験を持っているかをアピールできます。ただし、履歴書のスペースは限られているため、長々と書きすぎず、要点を絞って記載するバランス感覚が重要です。
雇用形態や昇進・異動の記載方法
職歴欄では、正社員以外の雇用形態で勤務していた場合、それを正確に伝える必要があります。契約社員や派遣社員、アルバイトとして勤務していた場合は、社名の横や下の行に「(契約社員)」や「(派遣社員として登録 〇〇株式会社に派遣)」といったように明記します。これにより経歴の透明性が高まり、採用担当者も雇用形態に応じた役割やスキルを正しく評価できます。
また、社内で昇進や異動があった場合も記載します。「営業課長に昇進」「人事部へ異動」といった事実を時系列に沿って書くことで、社内で評価されキャリアアップしてきた実績や、幅広い業務経験を持っていることをアピールできます。部署名が変わるだけの組織変更などは省略しても構いませんが、職種や勤務地が大きく変わる異動は記載するのが一般的です。
退職理由と在職中の書き方のパターン
職歴の最後には、退職理由を記載します。自己都合による退職の場合は「一身上の都合により退社」、倒産やリストラなど会社側の事情による退職の場合は「会社都合により退社」、契約期間満了の場合は「契約期間満了により退社」と定型文で記載するのが基本です。ネガティブな理由は避け、詳細は職務経歴書や面接で前向きな転職理由として説明できるようにしておきます。
在職中に転職活動を行っている場合は、現在の勤務先の行の下に「現在に至る」と記載します。もし退職日がすでに確定している場合は、「現在に至る(令和〇年〇月〇日 退職予定)」と書き添えることで、採用担当者は入社可能時期の目安を立てやすくなり、好印象につながります。最後に、職歴を全て書き終えたら、行を改めて右寄せで「以上」と記載して締めくくります。
職歴が多い場合やブランクがある場合の対処法
転職回数が多く、市販の履歴書の職歴欄に書ききれない場合は、工夫が必要です。学歴欄を「義務教育終了後の高等学校入学」から書き始めることで行数を節約したり、職歴欄の行数が多いフォーマットの履歴書を選んだりします。それでも足りない場合は、主要な職歴のみを記載し、「詳細は職務経歴書に記載」とする方法もありますが、基本的にはすべての入退社歴を省略せずに書くことが望ましいです。
また、離職期間(ブランク)がある場合、何も書かないと「何をしていたのか」と懸念されることがあります。資格取得のための勉強や留学、療養などをしていた場合は、その期間についても簡潔に記載することで空白期間の説明となります。特にスキルアップのための期間であれば、それはプラスの要素として評価されることもあります。嘘をつかず、誠実に自身のキャリアを記述する姿勢が信頼獲得につながります。





