履歴書の職歴欄に「産休・育休」はどう書く?正しい書き方と復職を成功させるアピール術
出産や育児のために休暇を取得した経験がある場合、転職活動の履歴書作成において、その期間をどのように記載すべきか悩む方は少なくありません。「職歴欄に書いてもいいのか」「書くとブランク(空白期間)として不利になるのではないか」「書かないと経歴詐称になるのか」といった疑問は、多くの働く女性が直面する課題です。
結論から言えば、産前産後休業(産休)や育児休業(育休)の期間を履歴書に記載する義務はありませんが、記載することで採用担当者に安心感を与え、選考を有利に進められるケースが多いのが実情です。
ここでは、産休・育休期間の履歴書への正しい書き方や、状況に応じた記載例、そして子育て中の転職活動で好印象を与えるためのポイントについて詳しく解説します。
産休・育休期間は履歴書に書くべきか?記載の判断基準とメリット
まず、産休・育休期間を履歴書に書くべきかどうかという点ですが、法的な記載義務はありません。休業中であっても会社には在籍している状態(雇用契約が続いている状態)であるため、履歴書上は会社名と入社年月、(退職していれば)退社年月さえ書かれていれば、経歴詐称には当たりません。
しかし、転職市場においては**「記載すること」を推奨**します。その理由は以下の3点です。
- ブランク(空白期間)の正当な理由になる実務を行っていない期間がある場合、何も記載がないと「仕事をしていない期間に何をしていたのか?」「スキルが落ちているのではないか」と懸念される可能性があります。「育児」という明確な理由を提示することで、サボっていたわけではないことを証明できます。
- 長期就労の意欲と実績をアピールできる産休・育休を取得して復帰した経験がある場合、それは「ライフイベントを経ても仕事を辞めずに継続した実績」となります。企業側にとっては「長く働いてくれる定着性の高い人材」としてプラス評価につながります。
- 入社後のミスマッチを防ぐ現在子育て中であることを隠して入社すると、残業や急な呼び出しに対応できない場合にトラブルになるリスクがあります。正直に伝えた上で採用されることが、結果として働きやすい環境を手に入れる近道です。
【ケース別】職歴欄への正しい書き方と具体的な記入例
それでは、実際の職歴欄にはどのように記載すればよいのでしょうか。状況別の記入例を紹介します。
1. 産休・育休を取得して復帰し、その後退職した場合
休業期間を職歴の流れの中に組み込んで記載します。
【記入例】
平成28年 4月 株式会社〇〇 入社
営業部に配属。法人営業を担当
令和 2年 4月 出産のため産前産後休業を取得(令和2年7月まで)
令和 2年 7月 育児休業を取得
令和 3年 4月 同社 復職(時短勤務にて営業事務を担当)
令和 5年 3月 一身上の都合により退社
※復職後の部署異動や時短勤務の事実も併せて記載すると、キャリアの変化が分かりやすく親切です。
2. 現在、産休・育休中で転職活動をしている場合
在職中の扱いとなりますので、「現在に至る」を使います。
【記入例】
平成28年 4月 株式会社〇〇 入社
令和 4年 5月 産前産後休業および育児休業を取得
現在に至る(令和5年4月 退職予定)
※退職日が決まっている場合は「退職予定」と書き添えます。これにより、いつから入社可能かが伝わります。
3. 産休・育休を取得せず退職し、ブランクがある場合
妊娠・出産を機に退職し、期間を空けて再就職する場合です。
【記入例】
平成28年 4月 株式会社〇〇 入社
令和 2年 3月 出産・育児に専念するため退社
(以降、令和5年3月まで育児に専念)
※退職理由を単に「一身上の都合」とするだけでなく、「出産・育児のため」と明記することで、円満退社であることやブランクの理由が明確になります。
職務経歴書で「限られた時間での成果」をアピールする
履歴書で事実を伝えたら、職務経歴書では「育児経験を通じて得たスキル」や「復帰後の働き方」をアピールします。
特に時短勤務を経験している場合、**「生産性の高さ」**は強力な武器になります。
「限られた時間内で成果を出すために、業務フローをどう改善したか」「周囲とどのように連携して業務を進めたか」といったエピソードは、タイムマネジメント能力の高さとして評価されます。
また、ブランク期間中に資格取得の勉強をしていたり、業界動向をチェックしていたりした場合は、その旨も自己PR欄に記載し、仕事への熱意が失われていないことを強調しましょう。
本人希望記入欄で勤務条件を伝える際のマナー
子育て中の転職では、勤務時間や残業、勤務地などに制約がある場合が多いでしょう。絶対に譲れない条件は、履歴書の「本人希望記入欄」に記載します。
ただし、要望だけを羅列するのはNGです。「〇〇のため」という理由と、「〇〇なら可能です」という代替案や意欲をセットで伝える配慮が必要です。
【記入例】
勤務時間について
子供の保育園送迎のため、9:00~17:00(実働7時間)の勤務を希望いたします。
※家族のサポートがあるため、事前の調整があれば月数回程度の残業は可能です。
勤務地について
子供の急な発熱等に対応するため、自宅から30分圏内の〇〇支店での勤務を希望いたします。
まとめ
履歴書への「産休・育休」の記載は、決してマイナス要素ではありません。むしろ、ライフイベントの変化に対応しながらキャリアを継続しようとする「強さ」や「計画性」の証明でもあります。
事実を正確かつ分かりやすく記載し、現在は働く環境が整っていることをアピールすることで、採用担当者に安心感を与え、書類選考を突破してください。





