履歴書の「交通機関・通勤時間」の正しい書き方。採用担当者がチェックする経路の選び方とマナー
転職活動で履歴書を作成する際、学歴や職歴に比べて軽視されがちなのが「通勤時間」や「交通機関」の欄です。「適当に書いてもバレないだろう」「一番早い時間を書いておけばいい」と考えてしまいがちですが、実は採用担当者はこの欄を非常にシビアにチェックしています。
通勤経路や時間は、入社後の交通費(コスト)に直結するだけでなく、応募者が無理なく通勤できるか、緊急時に対応できるかといった「定着性」や「リスク管理」の判断材料になるからです。
ここでは、履歴書における通勤時間の正しい計算ルールや、電車・バス・自家用車などの交通機関ごとの書き方、そして採用選考における評価への影響について詳しく解説します。
履歴書の通勤時間は「ドア・ツー・ドア」で計算するのが鉄則
まず大前提として、履歴書に記載する通勤時間は、電車の乗車時間だけではありません。**「自宅の玄関を出てから、会社の玄関に到着するまで」**の片道の総所要時間を記入します。
これを間違えて「最寄駅から会社の最寄駅まで」の時間だけを書いてしまうと、面接での会話と食い違ったり、「実際にはもっと時間がかかるから通うのが大変そうだ」と後から判断されたりする原因になります。
計算に含めるべき時間
- 自宅から最寄駅(バス停)までの徒歩時間
- 電車やバスの乗車時間
- 乗り換えにかかる待ち時間
- 駅から会社までの徒歩時間
これらをすべて合計し、片道の時間を算出してください。往復の時間ではありません。
「5分単位」で切り上げる記入マナーと「0時間」の扱い
通勤時間を記入する際には、細かい分単位まで書く必要はありませんが、大雑把すぎてもいけません。ビジネス上のマナーとして、5分単位で切り上げて記載するのが一般的です。
具体的な記入例
- 所要時間が43分の場合→ 「0時間 45分」(5分単位に切り上げ)
- 所要時間が58分の場合→ 「1時間 00分」(繰り上げてキリ良く)
- 所要時間が1時間ちょうどの場合→ 「1時間 00分」(「1時間」だけでなく分まで書くと丁寧)
1時間未満の場合の書き方
通勤時間が1時間かからない場合は、時間の欄を空欄にせず**「0時間」**と記入します。
- 「0時間 30分」
「約」は必要か?
欄外に「約」と印字されている履歴書であれば数字だけで構いませんが、ない場合は数字の前に「約」をつけて**「約 1時間 15分」**と書くのが最も無難で丁寧です。
交通機関・経路の選び方:「最短」か「最安」か
自宅から会社まで複数のルートがある場合、どの経路で時間を計算すべきか迷うことがあります。この場合、基本的には**「最も経済的かつ合理的な経路(最安・最短のバランスが良いルート)」**を選びます。
1. 公共交通機関(電車・バス)が基本
原則として、電車やバスなどの公共交通機関を利用するルートで計算します。
2. 「最短」でもコストがかかりすぎるルートは避ける
例えば、特急料金がかかるルートや、遠回りだが乗り換えが少ないルートなどは、交通費が高額になるため避けたほうが無難です。企業は通勤交通費をコストとして見ています。Yahoo!乗換案内やGoogleマップなどで検索し、「最安」または「推奨ルート」として表示される一般的な経路を選びましょう。
3. バス利用の判断基準
最寄駅から自宅までが遠い場合、バスを利用するか徒歩にするかは、**「徒歩20分以上(約1.5km以上)」**を目安に判断するのが一般的です。それ以下の距離でバス利用として申請すると、企業によっては認められない場合があります。
【ケース別】自家用車・バイク・自転車通勤の書き方
地方の企業や、公共交通機関が不便なエリアの企業に応募する場合、車やバイクでの通勤を前提とすることもあるでしょう。その場合の書き方について解説します。
自家用車(マイカー)の場合
求人票に「マイカー通勤可」とある場合や、地域的に車通勤が当たり前の場合は、車での所要時間を記載します。
ただし、履歴書の「最寄駅」欄には公共交通機関の駅名を書き、通勤時間の欄外や本人希望記入欄に**「自家用車での通勤を希望します(所要時間 約30分)」**と注釈を入れると親切です。
※都心部など車通勤が一般的でない企業へ応募する場合は、公共交通機関での時間を書くのが原則です。
自転車・バイクの場合
自転車やバイクは、天候によって利用できない場合があるため、履歴書の公式な通勤時間としては公共交通機関を利用した場合の時間を書くのが無難です。
自転車通勤を希望する場合は、面接の場で「自転車であれば20分程度で通勤可能です」と口頭で補足するか、本人希望記入欄に記載しましょう。
転居予定(引っ越し)がある場合の書き方
現在遠方に住んでおり、採用が決まったら会社の近くに引っ越す予定がある場合は、現在の住所からの時間を書くと「通えない」と判断されてしまいます。
この場合は、以下のように記載して意欲と事情を伝えます。
- 通勤時間欄: 空欄にするか、横線を引く。あるいは「―」と書く。
- 最寄駅欄: 「―」
- 本人希望記入欄: **「内定後、速やかに通勤可能な範囲に転居予定です」**と明記する。
- または時間欄に: 「転居予定(詳細は本人希望欄に記載)」とし、希望欄で補足する。
このように記載することで、現在の居住地に関わらず選考の対象としてもらえます。
通勤時間が「90分」を超えると不利になる?
一般的に、企業の通勤圏内の目安は**「片道90分以内」**と言われています。これを超えると、以下のような懸念を持たれる可能性があります。
- 通勤による疲労で業務パフォーマンスが落ちないか
- 残業や緊急時の対応が難しいのではないか
- 交通費が高額になりすぎないか
- もっと近くに良い条件の会社があれば転職してしまうのではないか
もし片道1時間半(90分)を超える場合は、面接で「体力には自信があるため問題ない」「前職でも同様の通勤時間で〇年間勤務していた」といったフォローができるように準備しておきましょう。
履歴書の交通機関・通勤時間欄は、事務的な項目に見えて、実は「長く安定して働けるか」を判断する重要なデータです。正確かつ合理的なルートで記載し、採用担当者に安心感を与えられるようにしましょう。





