履歴書の「本人希望記入欄」の正しい書き方。採用担当者に好印象を与えるマナーと例文集
履歴書の最後にある「本人希望記入欄」。自由記述のスペースであるため、「何を書けばいいのか」「正直に希望を書いていいのか」と迷ってしまう方は少なくありません。
実はこの欄、書き方ひとつで「扱いにくい人」と思われたり、逆に「配慮ができる人」と好印象を与えたりする重要なポイントなのです。
ここでは、書類選考でマイナス評価を避け、スムーズに面接へとつなげるための本人希望記入欄の正しい書き方とマナーについて、ケース別の例文を交えて解説します。
本人希望記入欄は「絶対に譲れない条件」のみを書く場所
まず大前提として、本人希望記入欄は「希望をなんでも書いていい場所」ではありません。採用担当者にとって、ここは**「採用するにあたっての絶対条件(制約)」を確認する場所**です。
したがって、「残業は少ない方がいい」「給与はこれくらい欲しい」といった単なる願望や理想を書くのはNGです。「条件が多すぎて採用しにくい」と判断され、書類選考で落とされてしまうリスクが高まります。
書くべきなのは、「その条件が満たされないと入社できない」という絶対的な事情がある場合のみです。
基本ルール:「特になし」や空欄は避け、定型文を使う
特に譲れない条件がない場合は、空欄にしたり「特になし」と書いたりするのは避けましょう。素っ気ない印象や、書き忘れのような印象を与えてしまいます。
この場合は、以下の定型文を記入するのがビジネスマナーです。
【基本の記入例】
貴社の規定に従います。
この一言があるだけで、「労働条件について柔軟に対応する意思がある」ことを示せます。
【ケース別】条件がある場合の正しい書き方と例文
やむを得ない事情があり、どうしても条件を伝えなければならない場合は、理由を添えて丁寧に記載します。単に「不可」と書くのではなく、相手に配慮した表現を心がけましょう。
1. 複数の職種で募集があり、希望職種を伝える場合
営業職と事務職など、複数の職種で募集が出ている場合は、どの職種に応募したのかを明確にします。
【記入例】
営業職を志望いたします。
2. 勤務地や転勤に制限がある場合
親の介護や家庭の事情で、転居を伴う転勤ができない場合は、その理由とともに記載します。ただし、「自宅から通える範囲」といった曖昧な表現ではなく、具体的なエリアを示すと親切です。
【記入例】
家庭の事情(親の介護)により、転居を伴う転勤が難しいため、東京支店での勤務を希望いたします。
※可能な範囲で出張などは対応いたします。
3. 勤務時間に制限がある場合(育児・介護など)
保育園の送迎などで勤務時間に制約がある場合は、正直に記載しましょう。隠して入社しても後々トラブルになります。
【記入例】
子供の保育園送迎のため、勤務時間を9:00~17:00とさせていただけますでしょうか。
※延長保育を利用するなどして、残業も可能な限り対応いたします。
4. 入社可能時期が決まっている場合
在職中の転職活動などで、入社できる時期が明確な場合は記載しておくと、企業側も採用計画が立てやすくなります。
【記入例】
在職中のため、内定後1.5ヶ月~2ヶ月程度での入社を希望いたします。
〇月〇日に退職予定のため、〇月〇日より就業可能です。
5. 在職中で電話に出られない時間帯がある場合
現職の仕事中に電話がかかってくると困る場合は、連絡がつきやすい時間帯や手段を記載します。これは採用担当者への「気配り」として好評価につながります。
【記入例】
現在在職中のため、平日の9:00~18:00はお電話に出ることができません。
18:00以降であれば対応可能です。また、メールでのご連絡は終日確認可能です。
書いてはいけないNGな内容
以下の内容は、書類選考の段階で書くと「常識がない」「権利ばかり主張する」と思われるため、書かないように注意してください。
- 給与・年収の希望額:「年収500万円以上希望」など、具体的な金額を書くのは避けましょう。給与交渉は、面接が進んで評価が高まってから、もしくは内定後のオファー面談で行うのが鉄則です。
- 「残業なし」「完全週休2日」などの待遇要求:これらは企業の規定や状況によるものです。最初から権利を主張しすぎると敬遠されます。どうしても確認したい場合は、面接の逆質問などで慎重に聞くようにしましょう。
まとめ
履歴書の本人希望記入欄は、あなたの「働くための条件」を伝えるだけでなく、「相手への配慮」を示すスペースでもあります。
原則は**「貴社の規定に従います」**とし、どうしても譲れない条件がある場合のみ、理由を添えて謙虚かつ具体的に記載しましょう。この欄を適切に使うことで、採用担当者とのコミュニケーションロスを防ぎ、スムーズな選考につなげてください。





