営業事務の転職を成功させる履歴書の書き方ガイド。サポート力と実務能力を証明するアピール術

営業事務は一般事務とは異なり、営業担当者のサポートを通じて間接的に売上に貢献する重要なポジションです。人気の高い職種であるため倍率も高く、単に事務経験があるというだけでは書類選考を突破することは難しくなります。採用担当者は履歴書を通じて、事務処理の正確さだけでなく、営業部門特有のスピード感に対応できるか、気配りができるかといった点を見ています。ここでは営業事務の書類選考を突破するための履歴書の書き方や、経験者と未経験者それぞれのアピール戦略、そして評価される志望動機のポイントについて詳しく解説します。

営業事務の採用担当者が履歴書で重視している3つの評価軸

営業事務の採用選考において、企業側が求めているのは単なる作業員ではありません。営業チームの一員として数字を意識し、能動的に動ける人材かどうかが問われます。

1つ目の評価軸は正確性とスピードを両立した事務処理能力です。見積書や請求書の発行、受発注処理など、ミスが許されない業務を迅速にこなせるかが基本となります。履歴書の文字が丁寧か、誤字脱字がないかといった基本的な部分からも、この適性は厳しくチェックされます。

2つ目はコミュニケーション能力とホスピタリティです。社内の営業担当者だけでなく、顧客からの電話対応や納期調整など、社外との折衝も多く発生します。相手の状況を察して先回りして動ける気配りや、円滑な人間関係を築けるスキルが重視されます。

3つ目は数字への意識とPCスキルです。営業事務は売上管理やデータ集計を任されることが多いため、数字に対する強さと、それを効率的に処理するためのExcelスキル（関数やピボットテーブルなど）は強力な武器になります。

経験者が職歴欄でアピールすべきは業務範囲と改善実績

営業事務の経験がある場合、職歴欄には単に会社名と部署名を書くだけでは不十分です。具体的にどのような業務をどれくらいの規模で担当していたのかを記載することで、即戦力性をアピールします。

記述する際は、担当していた営業担当者の人数や、月間の処理件数（見積書作成数や受発注件数など）、使用していた基幹システムの種類などを具体的に盛り込みます。これにより採用担当者は、自社の業務量に対応できるかをイメージしやすくなります。

さらに重要なのが業務改善の実績です。例えば「商品マスタを整備して入力時間を短縮した」「営業資料のフォーマットを統一して作成効率を上げた」といった、自らの工夫で組織の生産性を向上させたエピソードがあれば、職務経歴書だけでなく履歴書の職歴欄にも簡潔に書き添えることで、高い評価につながります。

未経験から営業事務を目指す場合のポータブルスキルの伝え方

営業職や販売職など、異業種から営業事務へ転職を目指す場合、直接的な事務経験がなくてもアピールできる要素は十分にあります。これをポータブルスキル（持ち運び可能なスキル）と呼びます。

例えば営業職の経験があるなら、営業担当者の気持ちや動きが理解できることは最大の強みになります。「営業が何をしてほしいか先読みできる」「顧客対応の優先順位がわかる」といった点は、事務スキル以上に重宝されることがあります。販売職であれば、顧客対応で培ったコミュニケーション能力や、レジ締めや在庫管理などで数字を正確に扱った経験がアピール材料になります。

未経験の場合は、これらの経験を「営業事務としてどう活かせるか」という視点で変換し、職歴欄や自己PR欄に記載します。また、PCスキルに不安がないことを示すために、現在学習中の内容や、前職で使用していたツールについて触れておくことも大切です。

PCスキルや資格欄は具体的なレベル感まで記載する

営業事務においてPCスキルは必須ですが、「Word、Excelが使えます」という曖昧な表現では実力が伝わりません。資格欄や特技欄を活用して、具体的な操作レベルを伝える工夫が必要です。

Excelであれば、「VLOOKUP関数を用いたデータ抽出が可能」「ピボットテーブルによる売上集計が可能」「マクロの記録・実行が可能」といったように、使用できる機能や関数名を具体的に記載します。Wordであれば、「差込印刷機能を用いた文書作成」「スタイル機能を用いたマニュアル作成」などが挙げられます。

資格については、MOS（マイクロソフト オフィス スペシャリスト）や日商簿記検定（2級以上が望ましい）を持っていると、客観的なスキルの証明になります。もし資格を持っていない場合でも、実務での使用経験を具体的に書くことで十分なアピールになります。

受け身ではない貢献意欲を示す志望動機の書き方

営業事務の志望動機で陥りがちなのが、「サポートすることが好きだから」「事務職で安定して働きたいから」という受け身な理由です。これだけでは、「言われたことしかやらない人」という印象を与えてしまいかねません。

評価される志望動機にするためには、「営業担当者が営業活動に専念できる環境を作り、チームの売上最大化に貢献したい」という、能動的なサポート意欲を示すことが重要です。その上で、「貴社の〇〇という商品力に魅力を感じ、その普及をバックオフィスから支えたい」と、なぜその会社なのかという理由を接続させます。

「誰かの役に立ちたい」というホスピタリティをベースにしつつ、それをビジネスの成果につなげる意識を持っていることを伝えるのが、営業事務の書類選考を突破するコツです。

履歴書の見た目から伝わる事務適性と最終チェック

最後に、履歴書全体の見た目にも気を配ります。営業事務は書類作成のプロフェッショナルでもあります。レイアウトが見やすく整っているか、文字の大きさが均一か、写真が曲がっていないかといった細部は、そのまま実務能力の評価につながります。

手書きの場合は丁寧に、パソコン作成の場合はフォントや行間を調整して読みやすさを追求してください。提出前には誤字脱字のチェックを徹底し、修正テープなどは絶対に使用しないようにします。細やかな気配りと正確さが求められる職種だからこそ、履歴書そのものを最初の実務と捉えて、完璧な状態で提出することが内定への第一歩となります。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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