中途採用の書類選考を突破する履歴書写真のネクタイ選びと好印象を与えるポイント

履歴書写真におけるネクタイは第一印象を左右する重要な要素です

転職活動において履歴書は、採用担当者が応募者と最初に対面する重要な書類です。その中でも写真は、文字情報以上に直感的な第一印象を決定づける力を持っています。特に中途採用の選考では、新卒採用のような若々しさやフレッシュさ以上に、ビジネスパーソンとしての落ち着きや信頼感、そして即戦力として顧客の前に出しても恥ずかしくないマナーが備わっているかが厳しくチェックされます。

男性のスーツスタイルにおいて、ネクタイは最も面積が大きく、かつ色味が入る部分であるため、その選び方一つで顔映りや全体の印象が大きく変わります。派手すぎるネクタイは協調性に欠けると判断されるリスクがあり、逆に地味すぎると活気がないように見えてしまうこともあります。自身の志望する業界や職種、そしてアピールしたい人物像に合わせて戦略的にネクタイを選ぶことが、書類選考を有利に進めるための第一歩となります。

信頼感と誠実さをアピールするなら青や紺色が鉄板です

中途採用の履歴書写真で最も選ばれている色は、青や紺（ネイビー）系統の色です。これらの色はビジネスシーンにおける基本色であり、誠実さ、知性、冷静さといった印象を与える効果があります。どのような業界や職種であっても嫌われることがなく、清潔感を感じさせるため、迷った際には青系のネクタイを選ぶのが最も無難で確実な選択です。

特に金融業界や公務員、メーカーの事務職など、堅実さや正確性が求められる職種に応募する場合は、濃いめの紺色を選ぶことで落ち着いた大人の信頼感を演出できます。一方で、IT業界やサービス業などで少し活動的な印象を与えたい場合は、明るめの青色（サックスブルーやライトブルー）を選ぶと、爽やかさと若々しさをアピールすることができます。自身の年齢や目指すポジションに合わせて、青の濃淡を使い分けることがポイントです。

情熱や意欲を伝えたい場合は赤やエンジ色が効果的です

営業職やリーダー候補、あるいはチャレンジ精神を重視するベンチャー企業などに応募する場合は、赤やエンジ（ボルドー）系統のネクタイが適しています。赤色はエネルギーや情熱、積極性を象徴する色であり、仕事に対する高い意欲やバイタリティを視覚的に伝えることができます。

ただし、履歴書写真のような証明写真においては、鮮やかすぎる真っ赤なネクタイは攻撃的すぎる印象を与えたり、顔よりもネクタイが目立ってしまったりするリスクがあります。そのため、少しトーンを落とした落ち着きのあるエンジ色やワインレッドを選ぶのが賢明です。これにより、内なる情熱を持ちながらも、冷静に物事を判断できるバランスの取れたビジネスパーソンとしての印象を残すことができます。

親しみやすさとコミュニケーション能力を示す黄色やグレー

接客業や販売職、あるいはチームワークを重視する職場環境であれば、黄色やオレンジ系統のネクタイも選択肢に入ります。これらの色は明るく社交的な印象を与え、親しみやすさやコミュニケーション能力の高さを予感させます。ただし、蛍光色のような派手なものは避け、パステルカラーや落ち着いたマスタードイエローなどを選ぶことが大切です。

また、知的で洗練された印象を与えたい場合は、グレーやシルバーのネクタイも有効です。これらは協調性が高く、どんな色のスーツにも馴染むため、上品な雰囲気を演出できます。ただし、照明の当たり方によっては顔色が悪く見えたり、地味になりすぎたりする可能性もあるため、ストライプなどの柄が入ったものを選んだり、光沢感のある素材を選んだりして、地味になりすぎない工夫が必要です。

柄選びはシンプルさを重視し派手なデザインは避けます

色の次に重要なのが柄の選び方です。履歴書写真においては、無地（ソリッド）、ストライプ（レジメンタル）、小紋（ドット）の3つが基本となります。無地は最もフォーマルで誠実な印象を与えるため、色によるメッセージをストレートに伝えたい場合に最適です。ストライプはビジネスの定番ですが、線の幅が太すぎるとカジュアルに見えてしまうため、細めのラインで構成されたものを選ぶのが無難です。

小紋柄やドット柄を選ぶ際は、柄の大きさに注意が必要です。小さなドットは上品で落ち着いた印象になりますが、大きな水玉模様はカジュアルすぎてビジネスには不向きです。また、キャラクターが描かれたものや、複雑すぎる幾何学模様、ブランドロゴが大きく入ったネクタイは、個性が強すぎて「空気が読めない」と判断されるリスクがあるため避けるべきです。あくまで主役は応募者自身であることを忘れず、顔を引き立てるシンプルな柄を選ぶことが成功の秘訣です。

結び目のディンプルと緩みがないかの最終チェック

最適な色と柄のネクタイを選んだとしても、着用方法がだらしなければすべてが台無しになります。撮影前には鏡を見て、ネクタイが曲がっていないか、結び目が緩んでいないかを必ず確認します。第一ボタンをしっかりと留め、ノット（結び目）を固く引き上げて首元に隙間がないようにすることで、引き締まった表情を作ることができます。

さらに、結び目の下に「ディンプル（くぼみ）」を作ることで、立体感と洗練された印象を与えることができます。ディンプルがあるだけで、スーツを着慣れているベテランの風格や、細部まで気を配れる几帳面さを演出できます。写真館で撮影する場合はカメラマンが調整してくれることもありますが、スピード写真機などを利用する場合は、自分で整える必要があります。撮影直前まで気を抜かず、完璧な身だしなみで撮影に臨んでください。

避けるべきNGカラーと冠婚葬祭用のネクタイ

最後に、中途採用の履歴書写真で避けるべきネクタイについて触れておきます。まず、黒一色のネクタイは喪服を連想させるため、ビジネスシーンでは不適切です。同様に、白一色のネクタイも結婚式などの慶事用とされるため、履歴書には適していません。

また、ピンクや紫といった色は、ファッション性が高くおしゃれに見える一方で、業界によっては「軽薄」や「個性的すぎる」と捉えられる可能性があります。アパレルや美容業界など、センスが問われる職種以外では避けたほうが無難です。中途採用では「無難であること」は決してマイナスではなく、「TPOをわきまえた常識ある大人」というプラスの評価につながります。奇をてらわず、王道の選択をすることが、書類選考突破への近道となります。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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