「転職が続かない」のは、あなたのせいじゃない。負のループを断ち切り、書類選考を突破する“定着”アピール術
「今の職場も、また1年足らずで辞めたくなってしまった」
「履歴書の職歴欄がもう書ききれない。どうせ書類で落とされる…」
転職を繰り返してしまうことに対して、深い自己嫌悪に陥っている看護師さんは少なくありません。
「自分は忍耐力がない」「どこに行ってもうまくいかない」と自信を失いかけているかもしれませんが、転職が続かない原因の多くは、能力不足ではなく**「自分に合う職場の条件(軸)が明確になっていないまま、なんとなく入職してしまった」というマッチングの不具合**にあります。
しかし、採用担当者にとって「転職回数が多い(続かない)」という事実は、採用を見送る大きなリスク要因となります。
本記事では、転職を繰り返してしまう現状を打破し、**「次こそは長く働きたい」**という本気度を採用担当者に伝え、書類選考を突破するための書き方戦略について解説します。
1.採用担当者はなぜ「転職が続かない人」を落とすのか?
対策を立てる前に、相手(病院側)の心理を理解しましょう。彼らが恐れているのは、以下の2点だけです。
- 「採用コストの無駄」看護師を1人採用するには、数十万〜百万円単位のコストがかかります。すぐに辞められると、それが全て赤字になります。
- 「職場の和を乱すリスク」「嫌なことがあるとすぐに逃げ出す人なのでは?」「人間関係トラブルメーカーなのでは?」という懸念を持たれます。
つまり、応募書類で証明すべきは、スキルでも経験でもなく、「今回はすぐに辞めない(定着する)」という根拠です。
2.職歴の多さを「一貫性」でカバーする履歴書の魔術
転職回数が多い場合、ただ職歴を羅列しただけでは「飽きっぽい人」に見えます。
しかし、それぞれの転職に**「一貫した軸」**が見えると、評価は「キャリアアップのために動いてきた人」へと変わります。
軸を通すための書き換えテクニック
職務経歴書の「自己PR」や「退職理由」欄を使って、バラバラに見える職歴を一つのストーリーで繋ぎます。
- 悪い例(軸がない):「A病院(急性期)→ Bクリニック(美容)→ C施設(介護)」
- 採用側の印象: 「急性期が嫌で美容に行ったけど、そこも嫌で介護に行ったのかな? フラフラしているな。」
- 良い例(軸がある):「急性期で全身管理を学びましたが、**『患者様とじっくり関わりたい』**という思いが強くなり、一人ひとりに時間をかけられる施設看護や在宅分野へキャリアの方向性を定めました。様々な施設形態を経験したことで、老年看護における多様な視点を養うことができました。」
- 採用側の印象: 「なるほど、**『じっくり関わる看護』**を追求して場所を変えてきたんだな。」
ポイント:
過去の転職すべてに共通するキーワード(「患者への寄り添い」「スキルアップ」「地域医療」など)を無理やりにでも見つけ出し、それを「転職の軸」として説明してください。
3.「また辞めるのでは?」という疑念を晴らす“反省と覚悟”
「次こそは長く働きます!」と口で言うのは簡単です。
書類で信用してもらうためには、**「過去の失敗(短期離職)を反省し、今回は選び方を変えた」**というプロセスを示すのが効果的です。
志望動機に盛り込むべき「キラーフレーズ」
「以前の転職では、自身のキャリアプランが不明確なまま『業務の楽さ』を優先して職場を選んでしまい、結果としてやりがいを感じられず短期での退職となってしまいました。
その反省を活かし、今回は『自分が本当にやりたい看護は何か』を深く見つめ直しました。その結果、〇〇という理念を持つ貴院でこそ、腰を据えて長く貢献できると確信し、志望いたしました。」
このように、**「過去の反省」と「今回の本気度」**をセットで伝えることで、採用担当者は「この人は自分の課題と向き合っている。今回は大丈夫かもしれない」と感じてくれます。
4.ネガティブな退職理由を「定着への布石」に変える
「人間関係」「激務」で辞めてきた場合、それを正直に書くと「忍耐力不足」と見なされます。
これを逆手に取り、**「長く働くための環境を求めている」**というポジティブな理由に変換します。
- 本音: 「人間関係がドロドロで続かなかった」
- 書類: 「チームワークが機能しておらず、連携に課題を感じていました。貴院のような『PNS(パートナーシップ制)』のもと、互いに尊重し合いながら、長期的にチームの一員として貢献したいと考えています。」
- 本音: 「残業ばかりで体が持たなかった」
- 書類: 「業務に追われ、納得のいくケアができないことに葛藤がありました。貴院のようにゆとりある人員配置のもとで、心身ともに健康な状態で、長く安定して看護業務に従事したいと考えています。」
5.書類作成は「自分との対話」。次こそ“最後の転職”にするために
「転職が続かない」という悩みを持つ人は、応募書類を書く前に、一度ペンを置いて考えてみてください。
「私は、何があれば辞めずに続けられるのか?」
「絶対に譲れない条件(Must)と、妥協できる条件(Want)は何か?」
この「自己理解」が曖昧なまま書類を作ると、また聞こえの良い求人に飛びつき、同じ失敗を繰り返してしまいます。
応募書類を真剣に作成することは、自分自身の看護観を整理し、「自分に合う職場」を見極めるためのフィルターを作ることでもあります。
6.まとめ:過去は変えられないが、未来の「定着」は約束できる
転職回数が多いことは、決して「悪」ではありません。それはあなたが理想の職場を求めて行動し、多様な経験を積んできた証でもあります。
大切なのは、その経験を「飽き性」として見せるか、**「理想を追求する過程」**として見せるか、その「伝え方」の違いだけです。
「長く続けたい」という切実な願いを、論理的な言葉(軸と反省)に変えて書類に落とし込んでください。
そうすれば、あなたの経歴書のページ数は、ネガティブな履歴ではなく、豊かな経験値として評価されるはずです。





