転職は「内定」で終わりじゃない。看護師が知っておくべき【手続き】の全スケジュールと、書類選考で評価される「段取り力」
「無事に内定をもらったけれど、今の職場を辞める手続きが複雑そうで不安」
「税金や保険の手続き、自分でやるの? それとも新しい病院がやってくれるの?」
看護師の転職活動において、多くの人が「求人探し」や「面接対策」には力を入れますが、意外と盲点になるのが**「手続き(事務処理)」**です。
実は、この「手続き」への理解度は、書類選考や面接の合否にも影響します。
なぜなら、採用担当者は「退職交渉や入職準備をスムーズに進められるか(=トラブルなく入職してくれるか)」という**「段取り力」**を見ているからです。
本記事では、看護師の転職に必要な手続きを「応募前」「退職時」「入職時」の3段階に分け、スムーズに進めるためのポイントと、それを書類選考のアピールにつなげるコツについて解説します。
1.【応募〜選考中】意外と見られている「必要書類」の準備能力
「手続き」は内定が出てから始まるものではありません。応募の段階から始まっています。
ここで不備があると、「事務作業が雑な人(=インシデントを起こしやすい人)」というレッテルを貼られてしまいます。
必須書類のチェックリスト
- 履歴書・職務経歴書
- 誤字脱字がないか、日付は最新か。
- 看護師免許証の写し(コピー)
- A4サイズに縮小コピーするのが一般的です。裏面に記載がある場合は裏面も必須です。
- ポイント: 端が切れていたり、斜めになっていたりしないか確認しましょう。美しいコピーは「丁寧な仕事」の証明になります。
書類選考で評価される「手続き」アピール
面接や履歴書の「本人希望欄」で、退職手続きのスケジュール感を具体的に伝えると、採用担当者は安心します。
- アピール例:「現在在職中ですが、就業規則に基づき退職の申し出は済ませております。業務の引き継ぎ期間を含め、内定を頂いてから1ヶ月半後には入職手続きが可能です。」
2.【退職時】円満退職するための手続きと「もらうもの」
内定が出たら、今の職場を辞める手続きに入ります。ここが最もエネルギーを使う場面ですが、立つ鳥跡を濁さず、確実に書類を受け取る必要があります。
退職手続きのフロー
- 直属の上司(師長)へ報告: * 民法上は2週間前ですが、看護業界の慣例では**「1〜3ヶ月前」**に申し出るのがマナーです。
- 退職願の提出:
- 病院の規定フォーマットがあるか確認しましょう。
忘れずに「受け取るもの」リスト
退職日、または退職後に郵送で受け取る書類です。これがないと次の病院で手続きができません。
- 雇用保険被保険者証
- 雇用保険の加入証明書です(小さい細長い紙)。
- 年金手帳(または基礎年金番号通知書)
- 病院が保管している場合は返却してもらいます。
- 源泉徴収票
- 年末調整や確定申告に必要です。退職後1ヶ月以内に送られてくることが多いです。
- 離職票
- ※失業保険をもらう人のみ必要です。すぐに転職する場合は不要なことが多いですが、念のため確認しましょう。
3.【入職時】新しい病院へ提出する書類
新しい職場初日(または事前のオリエンテーション)で提出する書類です。
「あれ、どこいったっけ?」と初日からつまずかないよう、クリアファイルにまとめておきましょう。
提出書類リスト
- マイナンバー(個人番号)
- 通知カードやマイナンバーカードのコピー。
- 年金手帳・雇用保険被保険者証
- 前の職場から受け取ったもの。
- 源泉徴収票
- 前の職場から受け取ったもの(その年の年末調整用)。
- 給与振込先の口座情報
- 通帳のコピーなど。
- 健康診断書
- 病院によっては入職時健診の結果提出を求められます。
- 看護師免許証(原本)
- 入職時に原本確認(照合)を行う病院が多いです。
4.こんな時はどうする? イレギュラーな手続きQ&A
Q. 結婚して名字が変わります。免許証はどうする?
A. 「籍訂正・書換え交付申請」が必要です。
結婚や離婚で氏名や本籍地が変わった場合、30日以内に保健所(就業地または住所地)で手続きをする義務があります。
- 注意: 免許証の書き換えには数ヶ月かかります。転職活動中に名字が変わる場合は、履歴書に「旧姓」を併記し、面接で申請中であることを伝えましょう。
Q. 退職から入職まで「空白期間」があります。
A. 自分で税金・保険の手続きが必要です。
退職の翌日に入職しない場合(1日でも空く場合)、以下の切り替え手続きが必要です。
- 健康保険: 「国民健康保険」への切り替え(市役所)、または「任意継続」(前の職場の保険を継続)。
- 年金: 「国民年金(第1号)」への切り替え(市役所)。※扶養に入る場合は、配偶者の会社での手続きになります。
5.まとめ:手続きの正確さは「看護の正確さ」と同じ
「たかが事務手続き」と思うかもしれません。
しかし、看護師の仕事も、カルテ記載、指示受け、インシデントレポートなど、正確な事務処理能力が求められる場面の連続です。
- 必要書類を期限内に揃える。
- 退職と入職のスケジュールを管理する。
- 分からないことは早めに事務課に確認する。
こうした「当たり前の手続き」をスマートにこなせる看護師は、間違いなく現場でも「仕事ができる人」として評価されます。
面倒な手続きこそ、あなたの**「実務能力」**を証明するチャンスと捉え、抜け漏れのない準備で新しいスタートを切ってください。





