たかが枠、されど枠。「合格する履歴書」はテンプレート選びから始まっている
「履歴書なんて、100円ショップやコンビニで売っているもので十分でしょう?」
「ネットで一番上に出てきたテンプレートをダウンロードすればいいよね?」
もしあなたがそう思っているなら、少し待ってください。
実は、履歴書の**「テンプレート(フォーマット)選び」**は、書類選考の合否を左右する最初の戦略分岐点です。
例えば、志望動機を書くのが苦手な人が「自己PR欄」の巨大なテンプレートを選んでしまえば、余白が目立ち「意欲がない」と判断されます。逆に、アピールしたい経歴が多いのに「JIS規格」の狭い枠を選んでしまえば、あなたの魅力は半減してしまいます。
履歴書は、あなたという商品を売り込むためのパッケージです。
本記事では、看護師転職において**「自分の強みを最大化し、弱みをカバーする」**ための履歴書テンプレートの選び方と、活用テクニックについて解説します。
1.「どれでも同じ」は大間違い。選ぶべき3つのテンプレートタイプ
履歴書のフォーマットにはいくつかの種類があり、それぞれ「見せたいポイント」が異なります。自分のタイプに合わせて選びましょう。
タイプA:【JIS規格】(迷ったらこれ)
日本の標準的な様式です。学歴・職歴欄が広く、自己PR欄は比較的小さめです。
- こんな人におすすめ:
- 転職回数が多く、職歴をしっかり書きたい人。
- 文章を書くのがあまり得意ではなく、オーソドックスに攻めたい人。
- 公立病院や大学病院など、堅い組織に応募する人。
タイプB:【転職用・アピール重視型】
JIS規格をアレンジしたもので、職歴欄を少し削り、「志望動機」「自己PR」「長所・短所」などの自由記述欄が大きく取られています。
- こんな人におすすめ:
- 経験年数は浅いが、やる気や人柄をアピールしたい人(第二新卒など)。
- 志望動機に書きたいエピソードがたくさんある人。
- ブランクがあるが、復職への熱意を伝えたい人。
タイプC:【看護師特化型】(資格欄重視)
一部の看護師専門転職サイトなどで配布されている形式です。「免許・資格」の欄が行数多めに設定されています。
- こんな人におすすめ:
- 看護師免許以外に、保健師、助産師、認定看護師、呼吸療法士、ケアマネジャーなど多数の資格を持っている人。
- 専門性を武器に戦いたい人。
2.「手書き」か「パソコン」か? テンプレート形式の正解
「履歴書は手書きのPDFを印刷すべき? それともExcelやWordで入力してもいい?」
これは看護業界で長年続く論争ですが、現在の転職市場における結論は以下の通りです。
基本は「パソコン作成(Word/Excel)」でOK
今や電子カルテが当たり前の時代。パソコンで作成することは「基本的なPCスキルがある証明」にもなり、プラス評価こそあれマイナスにはなりません。
修正も容易で、複数の病院に応募する際の効率も段違いです。
- Excel版: 表計算ソフトなのでレイアウトが崩れにくく、入力しやすい。
- Word版: 文章の改行などがしやすく、長文を書くのに適している。
「手書き」を選ぶべきケース
一部の歴史ある個人病院や、院長が高齢のクリニックなどでは、依然として「手書き=誠意」と捉える文化が残っています。
募集要項に「手書き必須」とある場合はもちろん、「文字の丁寧さ(几帳面さ)」を人柄としてアピールしたい場合は、あえて手書き用のPDFテンプレートを印刷して使うのも戦略です。
3.看護師がテンプレートを使う時の「注意点」と「カスタマイズ術」
ダウンロードしたテンプレートをそのまま使う際、看護師ならではの悩みが出てくることがあります。その解決策を紹介します。
① 「資格欄」が足りない問題
一般的な履歴書の資格欄は4〜5行しかありません。看護師免許、普通自動車免許に加え、専門資格を書くと足りなくなることがあります。
- 対策:ExcelやWordであれば、行を挿入して枠を増やしてOKです。ただし、全体のバランスが崩れないように調整しましょう。手書きの場合は、1行に2つの資格を書くのではなく、「職務経歴書」の方に詳しく書くようにし、履歴書には主要なものだけを記載します。
② 「本人希望欄」の扱い
テンプレートにある「本人希望記入欄」。
「特に給与や勤務地の希望はないから空欄でいいや」と思いがちですが、空欄はNGです。
- 対策:特になければ「貴院の規定に従います」と記載します。また、この欄は「絶対に譲れない条件(例:保育園のお迎えのため17時までの勤務希望)」を書く場所ですが、書きすぎるとワガママに見えます。テンプレートの枠が大きすぎる場合は、Word等で枠自体を小さく修正し、その分「志望動機欄」を広げるのも賢いテクニックです。
③ 「写真枠」のサイズ確認
テンプレートによって写真枠のサイズが微妙に違うことがあります(基本は縦4cm×横3cm)。
Web応募でデータをアップロードする場合は比率に注意し、郵送の場合は枠線からはみ出さないよう丁寧に貼り付けましょう。
4.どこでダウンロードできる?
「看護師 履歴書 テンプレート」で検索すると無数に出てきますが、以下の信頼できるソースから入手することをお勧めします。
- 大手転職エージェントの公式サイト:「JIS規格」「転職用」など数パターン用意されており、書き方見本もセットになっていることが多いです。
- ハローワーク(インターネットサービス):厚生労働省が推奨する「公正な採用選考」に基づいた様式が入手できます。シンプルで公的な信頼性が高いです。
- コンビニのマルチコピー機:自宅にプリンターがない場合、スマホアプリからデータを登録し、コンビニで印刷できる履歴書サービスも便利です。
5.まとめ:テンプレートは、あなたの「戦略」そのもの
履歴書のテンプレート選びに、「絶対の正解」はありません。
あるのは**「今のあなたを、最も魅力的に見せてくれる枠はどれか?」**という選択だけです。
- 経歴に自信があるなら、職歴欄が広いものを。
- 熱意で勝負するなら、自由記述欄が広いものを。
- PCスキルを見せるなら、Excel作成を。
たかが枠線、されど枠線。
中身(文章)を書き始める前に、まずは自分という素材を一番輝かせる「器(テンプレート)」を戦略的に選んでみてください。それだけで、書類選考の通過率は確実に変わります。





