「送付状」はただの表紙じゃない！履歴書を開く前に採用担当者の心を掴む、看護師のための送付状完全マニュアル

履歴書や職務経歴書を郵送する際、封筒にそのまま書類だけを入れていませんか？ もしそうなら、あなたは書類選考のスタートラインで損をしているかもしれません。ビジネスの世界では常識とされる「送付状（添え状）」ですが、看護師の転職においては添付し忘れる人が意外と多いのが実情です。

しかし、採用担当者は送付状の有無や内容から、応募者の「ビジネスマナー」や「仕事への丁寧さ」を敏感に感じ取っています。たかが紙一枚ですが、この一枚があるだけで「しっかりした看護師だ」という第一印象を与え、書類選考の通過率を後押ししてくれるのです。本記事では、多忙な採用担当者の目に留まる送付状の書き方と、そのまま使えるテンプレート、そして意外と知らない封入のマナーについて解説します。

送付状の役割は「挨拶」と「要約」。白紙やテンプレのままでは無意味

送付状には二つの役割があります。一つは「誰が、何を、何のために送ったか」を知らせる目録としての役割。もう一つは、書類を読んでいただくことへの感謝を伝える「挨拶状」としての役割です。

市販の履歴書セットには定型文が印刷された送付状が同封されていることがありますが、これをそのまま使うのはおすすめしません。なぜなら、そこにはあなたの「言葉」がないからです。採用担当者は定型文を見慣れています。ありきたりの挨拶だけでなく、「貴院の理念に惹かれ応募いたしました」といった志望動機のエッセンスや、「面接の機会をいただけますと幸いです」といった熱意を一言添えるだけで、その他大勢の応募書類から一歩抜け出すことができます。送付状は、履歴書本体を読む前の「予告編」として機能させるのが正解です。

手書きかパソコンか？履歴書の作成方法に合わせるのが基本

送付状をパソコンで作成すべきか、手書きにすべきか迷うことがありますが、基本的には「履歴書の作成方法」に合わせると統一感が出ます。

• 履歴書がパソコンの場合： 送付状もパソコン（Wordなど）で作成します。横書きが一般的です。ビジネス文書としての体裁が整いやすく、採用担当者にとっても読みやすいため、現代のスタンダードと言えます。
• 履歴書が手書きの場合： 送付状も手書き（縦書きまたは横書き）にすると、丁寧な印象が増します。特に個人クリニックや歴史ある病院へ応募する場合は、手書きの送付状が「誠実さ」のアピールになります。

どちらの場合も、用紙サイズは履歴書や職務経歴書と同じ（一般的にはA4）に揃えるのがマナーです。サイズがバラバラだと、ファイリングする際に採用担当者の手間になってしまいます。

そのまま使える！採用担当者に好印象を与える送付状テンプレート

ここでは、パソコン作成（横書き）を想定した標準的な構成と例文を紹介します。これをベースに、自分の状況に合わせてアレンジしてください。

【構成要素】

1. 日付： 投函する日（または持参する日）を書きます。西暦か和暦かは履歴書と統一します。
2. 宛名： 病院名（法人名から省略せずに書く）と、分かれば担当者名を書きます。部署宛なら「御中」、個人名なら「様」を使い分けます。
3. 署名： 自分の住所、氏名、電話番号、メールアドレスを書きます。
4. 件名： 「選考応募書類の送付につきまして」など、一目で分かるタイトルをつけます。
5. 本文： 頭語（拝啓）→時候の挨拶→応募の経緯・熱意→結語（敬具）の流れで書きます。
6. 同封書類一覧： 何を何枚送ったかを箇条書きにします。

【例文（パソコン作成・A4横書きイメージ）】

20XX年〇月〇日

医療法人〇〇会

〇〇病院

採用ご担当者様（名前が分かる場合は「看護部長 〇〇様」）

〒000-0000

東京都〇〇区〇〇 1-2-3

氏名：看護 花子

電話：090-0000-0000

Mail：hanako.kango@example.com

選考応募書類の送付につきまして

拝啓

〇〇の候、貴院におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。

この度、貴院の「看護師募集（常勤）」の求人を拝見し、地域医療に貢献される貴院の姿勢に強く惹かれ、応募いたしました。

これまでの急性期病棟での経験を活かし、貴院の医療活動に貢献したいと考えております。

つきましては、下記の通り応募書類を送付いたします。

ぜひ面接の機会をいただけますと幸いです。

ご検討のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

敬具

記

1. 履歴書　　　1通
2. 職務経歴書　1通

以上

「自己PR」を一言添える高等テクニック

上記の例文は標準的なものですが、ライバルと差をつけるなら、本文の中に「なぜ応募したか」や「自分の強み」を短く織り交ぜるテクニックが有効です。

例えば、ブランクがある場合：

「出産を経ての復職となりますが、現在は研修会に参加するなど知識のアップデートに努めております。貴院の温かい看護に共感し、一から貢献したいと考えております。」

このように、履歴書だけでは伝えきれない補足情報を送付状にさらりと書くことで、ネガティブな要素をカバーしたり、熱意を強調したりすることができます。ただし、長くなりすぎないよう、あくまで2〜3行程度に留めるのがポイントです。

最後の仕上げ！封筒への入れ方と「クリアファイル」の重要性

素晴らしい送付状を書いても、封筒の中で書類が折れていたり、雨で濡れていたりしては台無しです。書類選考を通過する人は、開封された瞬間の「美しさ」にもこだわります。

1. クリアファイルに入れる：履歴書、職務経歴書、送付状は、必ず新品の透明クリアファイルに入れてから封筒に入れます。これにより、郵送中の折れや水濡れを防ぐことができます。
2. 重ねる順番：封筒から出した時、一番上にくるのが「送付状」です。その下に履歴書、職務経歴書と続きます。採用担当者が最初に送付状を目にするように配置するのがマナーです。
3. 三つ折りの場合：定形封筒（長封筒）を使う場合は三つ折りにしますが、その際も「送付状が一番外側（開いて最初に目に入る位置）」に来るように重ねてから折ります。

送付状は、あなたの「気配り」を可視化したものです。看護師の仕事は、患者様や多職種への細やかな気配りが求められます。だからこそ、こうした書類一枚に対する配慮が、「現場でも丁寧に仕事をしてくれそうだ」という高い評価につながり、書類選考の突破を強力に後押ししてくれるのです。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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