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たかが用紙、されど用紙。看護師の書類選考通過率を変える「履歴書フォーマット」の戦略的選び方

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転職活動において、志望動機や職務経歴書の内容には時間をかけても、履歴書の「フォーマット(用紙)」選びには無頓着な人が意外と多くいます。コンビニや百円ショップで適当に買ったものを使っていませんか。実は、履歴書のフォーマットには数多くの種類があり、どの枠組みを選ぶかによって、あなたの経歴の見え方やアピール力は大きく変わります。自分に合わないフォーマットを使うことは、自らの強みを消してしまうことにもなりかねません。本記事では、看護師が書類選考を有利に進めるために知っておくべき、履歴書フォーマットの選び方と活用戦略について解説します。

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A4かB5か。サイズ選びで「情報の密度」をコントロールする

まず迷うのが用紙のサイズです。履歴書には「A4サイズ(見開きA3)」と「B5サイズ(見開きB4)」の2種類がありますが、転職活動においては「A4サイズ」を選ぶのが鉄則です。

理由は単純で、A4の方が記入できる情報量が多いからです。看護師は、看護師免許以外にも、BLSやACLS、認定看護師、ケアマネジャーなど、記載すべき資格が多くなる傾向にあります。また、職歴も詳細に書こうとすると行数が必要です。B5サイズは一回り小さく、どうしても窮屈な印象を与えてしまうため、多くの情報を整理して記載できるA4サイズを使用することで、読みやすく熱意の伝わる書類になります。ビジネス文書の標準もA4であるため、企業看護師や一般企業への転職を目指す場合は、迷わずA4を選んでください。

「JIS規格」は安全だが武器にはならない。転職者用フォーマットのすすめ

履歴書には、国が定めた標準規格である「JIS規格」と、民間企業が工夫して作った「転職者用(または一般用)」のフォーマットがあります。

  • JIS規格:学歴・職歴欄が広く取られている一方で、自己PRや志望動機の欄が比較的小さいのが特徴です。職歴が長く、淡々と事実を伝えたいベテラン看護師や、公務員(公立病院)試験を受ける場合には適しています。しかし、アピールしたい熱意がたくさんある場合には不向きです。
  • 転職者用フォーマット:JIS規格に比べて、自己PR、志望動機、趣味・特技などの「自由記述欄」が大きく設計されています。経験年数が浅い第二新卒の看護師や、未経験の分野(美容クリニックや訪問看護など)に挑戦する看護師は、職歴の長さよりも「ポテンシャル」や「人柄」で勝負する必要があるため、こちらのフォーマットを強く推奨します。

「何を書くか」だけでなく「どこに重点を置いて見せたいか」によって、JISかそれ以外かを選び分けてください。

手書きかパソコンか。フォーマット以前の「作成ツール」の正解

フォーマット選びと同時に議論になるのが、「手書き」か「パソコン(デジタル)」かという問題です。これまでは「看護師の履歴書は手書きが常識」とされてきましたが、近年はその潮目が大きく変わっています。

結論から言えば、大学病院、総合病院、企業などは「パソコン作成」が好まれます。修正が容易で、誤字脱字がなく、レイアウトも整っているため、実務能力の高さ(PCスキル)の証明にもなるからです。ネット上で無料配布されているExcelやWordの履歴書テンプレート(A4サイズ)をダウンロードして作成するのが最も効率的です。

一方で、個人経営のクリニックや、歴史の古い療養型病院などで、院長が高齢である場合は、依然として「手書き」が「誠意の証」として評価されるケースがあります。応募先のウェブサイトや雰囲気をリサーチし、IT化が進んでいなさそうな職場であれば、市販の履歴書を購入して手書きで作成するという「使い分け」が、書類選考突破のための賢い戦略です。

自分の「弱点」を隠し「強み」を目立たせるフォーマット活用術

履歴書のフォーマットには、保護者欄の有無や、写真のサイズ、趣味欄の大きさなど、細かい違いが無数にあります。これらを戦略的に選ぶことで、ネガティブな要素を目立たなくさせることができます。

  • 転職回数が多い場合:「職歴欄」の行数が多いフォーマットを選びます。行数が足りず「別紙参照」とするのは悪印象ではありませんが、一枚で完結している方が読み手には親切です。
  • 扶養家族などの条件が多い場合:本人希望欄がしっかりと設けられているフォーマットを選びます。条件面を備考欄に小さく書くよりも、希望欄にはっきりと書く方が、入職後のミスマッチを防げます。
  • 志望動機が書ききれない場合:履歴書によっては志望動機欄と自己PR欄が統合されているものや、逆に分かれているものがあります。書きたい分量に合わせて枠の大きさが合致するものを選んでください。空白が目立つのが一番のマイナス評価です。

無料ダウンロードか市販品か。紙質へのこだわりが「神は細部に宿る」

パソコンで作成する場合、自宅のプリンターやコンビニで印刷することになりますが、この時の「紙質」にも注意が必要です。ペラペラのコピー用紙では、どうしても安っぽい印象を与えてしまいます。文具店やネット通販では、履歴書印刷専用の「厚口用紙」が販売されています。これを使うだけで、手に取った時の重厚感が変わり、「しっかりとした応募書類」という印象を与えることができます。

市販の履歴書を購入する場合も、100円ショップのものではなく、文具メーカーが販売しているセット(封筒や入学・卒業年度早見表がついているもの)を選ぶのが無難です。フォーマット選びから紙質に至るまで、細部へのこだわりは必ず採用担当者に伝わります。たかが用紙と思わず、自分を最も良く見せてくれる「ステージ」として、最適な履歴書を選んでください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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