「内定辞退」は怖くない。円満に断り、次のチャンスへ進むための看護師のマナーと連絡例文集
「第一志望の病院の結果待ちの間に、別の病院から内定が出てしまった」
「面接で良い話を聞いたけれど、帰って冷静に考えたら条件が合わない気がする」
転職活動において、複数の病院に応募(併願)することは成功の鉄則です。
しかし、それは同時に**「内定辞退」**という、精神的に重たいタスクが発生することを意味します。
「せっかく評価してくれたのに申し訳ない」
「断り方を間違えて、トラブルになったらどうしよう」
「狭い看護業界、どこで噂になるか分からない……」
そんな不安から、なかなか連絡ができずに悩んでいませんか?
しかし、曖昧な態度のまま放置することこそが、相手にとってもあなたにとっても最大のリスクです。
本記事では、看護師がトラブルなく円満に内定を辞退するための**「マナーと手順」、そしてそのまま使える「電話・メールの例文」**について解説します。
1.内定辞退は「悪」ではない。ただし「スピード」が命
まず大前提として、職業選択の自由はあなたにあります。内定を辞退すること自体は法的に何の問題もありませんし、謝罪する必要以上の罪悪感を持つ必要もありません。
しかし、病院側は内定を出した時点で、他の応募者を断ったり、あなたのためのユニフォームや保険手続きの準備を始めたりしています。
したがって、**「辞退すると決めたら、1分1秒でも早く連絡する」**ことが最大のマナーです。
- 理想: 内定連絡から2〜3日以内
- 許容範囲: 1週間以内(保留のお願いをしている場合を除く)
「気まずいから」と先延ばしにすればするほど、病院側の損害は大きくなり、トラブルの元になります。
2.「電話」か「メール」か? 状況別・連絡手段の選び方
基本的には、誠意を伝えるために**「電話」**がベストです。
しかし、相手が忙しくて繋がらない場合や、どうしても電話する勇気が出ない場合は、メールでも構いません。最悪なのは「連絡せずに無視する(バックレ)」ことです。
電話すべきケース
- 面接で師長や院長と意気投合した場合。
- 内定承諾後(入職書類提出前)に辞退する場合。
- エージェントを通さず、直接応募した場合。
メールで良いケース
- 内定通知がメールで届いた場合。
- 担当者が不在で、電話が繋がらない場合。
- まだ「内定」の段階ではなく、「次の選考」を辞退する場合。
3.そのまま読める! 内定辞退の【電話トークスクリプト】
電話をかける際は、相手が忙しい時間帯(朝の申し送り時、昼食時、夕方のラウンド時など)を避ける配慮を忘れずに。
【電話での会話例】
あなた: 「お世話になっております。先日、採用の内定をいただきました〇〇(氏名)です。採用担当の〇〇様はいらっしゃいますでしょうか?」
(担当者に繋がる)
あなた: 「お忙しいところ恐れ入ります。この度は、内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。
本日は、その件でお電話いたしました。
帰宅して慎重に検討いたしました結果、大変申し上げにくいのですが、今回の内定を辞退させていただきたく存じます。」
担当者: 「そうですか、残念ですが仕方ないですね。差し支えなければ理由を伺えますか?」
あなた: 「はい。他院からも内定をいただいており、自身のキャリアプランや条件面を総合的に考えた結果、別の病院への入職を決意いたしました。
高い評価をいただいたにも関わらず、このようなお返事となり大変申し訳ございません。」
担当者: 「わかりました。新天地でのご活躍をお祈りしています。」
あなた: 「ご迷惑をおかけして申し訳ございません。面接では貴重なお時間をいただき、本当にありがとうございました。それでは、失礼いたします。」
ポイント:
理由は「検討の結果、別の病院に決めた」で十分です。「給料が安かったから」などのネガティブな理由は伏せましょう。
4.送信するだけでOK! 内定辞退の【メール例文】
メールの場合は、件名だけで用件が分かるようにし、丁寧な言葉遣いを心がけます。
件名: 内定辞退のご連絡(氏名)
本文:
医療法人〇〇会 〇〇病院
採用担当 〇〇様
お世話になっております。
先日、内定の通知をいただきました〇〇(氏名)です。
この度は、採用の内定をいただき、誠にありがとうございました。
高い評価をいただいたこと、心より感謝申し上げます。
帰宅し、家族とも相談の上、慎重に検討いたしました結果、
誠に恐縮ながら、この度の内定を辞退させていただきたくご連絡いたしました。
本来であれば、直接お伺いしてお詫びすべきところですが、
メールでのご連絡となりますこと、何卒ご容赦ください。
面接の際には、貴重なお時間を割いていただいたにも関わらず、
このような結果となり大変申し訳ございません。
末筆ながら、貴院の益々のご発展をお祈り申し上げます。
署名(氏名・電話番号・メールアドレス)
5.一番やってはいけない「内定承諾後」の辞退
最もトラブルになりやすいのが、**「一度『行きます』と言って書類も出した後に、やっぱり辞める」**ケースです。
これは法的には可能ですが、病院側はすでにユニフォームの発注、社会保険の手続き、シフトの調整などを進めています。
「損害賠償」などを請求されるケースは極めて稀ですが、病院のブラックリストに乗る可能性は高いですし、同じ地域であれば噂になるリスクもあります。
もし承諾後に辞退せざるを得ない場合は、必ず「電話」で、そして一日も早く誠心誠意謝罪してください。
「家庭の事情(親の介護など)」や「体調不良」など、やむを得ない事情が発生した場合は、正直に話せば理解してもらえることもあります。
6.辞退の手間を減らすための「書類選考のスケジュール管理」
内定辞退が辛いのは、「第一志望の結果が出る前に、第二志望の内定が出てしまった」というタイミングのズレが原因であることが多いです。
これを防ぐためには、応募書類を送るタイミング(書類選考のスタート)を調整することが重要です。
- 戦略:
- 第一志望の病院に応募書類を送る。
- その1週間後に、第二・第三志望へ書類を送る。
- 効果:
- こうすることで、面接の時期をあえてズラしたり、逆に最終面接の結果が出る時期を揃えたりと、コントロールしやすくなります。
7.まとめ:断る勇気が、あなたを守る
看護業界は意外と狭いものです。
「どうせもう会わないから」と適当な対応をしてしまうと、将来どこで繋がるか分かりません(学会や研修、次の転職など)。
逆に言えば、**「丁寧にお断りする」**ことができれば、あなたのプロとしての評判は守られます。
- 結論は早く出す。
- 感謝と謝罪をセットで伝える。
- 理由はシンプルに。
この3つを守れば、内定辞退は決して怖いものではありません。
一つの扉を丁寧に閉じることは、あなたが本当に進みたい次の扉を、自信を持って開けるための大切な儀式なのです。





