看護師転職で希望条件を叶えるための応募書類作成術と本人希望欄の正しい書き方

転職の軸となる譲れない条件と妥協可能な条件を整理し優先順位を明確にする

看護師が転職活動を始める際により良い環境を求めて給与や休日そして勤務地や夜勤の有無など多くの希望条件を挙げることは自然なことですが全ての条件が完璧に満たされる職場は現実にはほとんど存在しません。そのため応募書類を作成する前の段階で自分にとって絶対に譲れない条件とある程度なら妥協できる条件を明確に区分けしておく作業が不可欠です。例えば子育て中であれば勤務時間や託児所の有無が最優先事項となり給与額は二の次になるかもしれませんしキャリアアップを目指すのであれば教育体制や専門性が最優先で通勤時間は多少長くても構わないという判断になるかもしれません。この優先順位が曖昧なまま応募書類を作成してしまうと本人希望欄にあれもこれもと要望を書き連ねてしまい採用担当者に扱いづらい人材だという印象を与えて書類選考で落とされてしまうリスクが高まります。転職の軸を一本しっかりと持ち何のために転職をするのかという目的をはっきりさせることで応募書類に書くべき条件と書かなくてよい条件が自然と見えてきます。

履歴書の本人希望欄には絶対条件のみを簡潔に記載し権利主張の羅列を避ける

履歴書には必ず本人希望欄が設けられていますがここは自分の要望を好き放題に書くためのスペースではありません。採用担当者はこの欄を見て自院の勤務体制でその応募者を受け入れ可能かどうかを判断しています。したがってここに細かい条件をびっしりと書き込んでしまうと条件が多すぎて対応できないと判断され即座に不採用となる可能性があります。書類選考を通過するための鉄則は本人希望欄にはどうしても譲れない絶対条件のみを簡潔に記載することです。例えば子供の保育園のお迎えのために十七時には退社しなければならないといった物理的に不可能な制限がある場合は正直に記載する必要がありますが希望年収や有給休暇の取得率などはこの段階で書くべきではありません。特になしと書くのが不安な場合は貴院の規定に従いますと記載するのが最も無難でありマナーとしても適切です。まずは書類選考を通過し面接の場で詳細を話し合うチャンスを得ることを最優先に考え要望の羅列は避けるのが賢明です。

給与アップや待遇改善の希望はスキルと貢献度を根拠にしたポジティブな言葉に変換する

転職の目的が年収アップや待遇の改善である場合それを応募書類でどのように表現するかは非常に繊細な問題です。志望動機や自己PRの中で給料が良いから応募しましたとか残業代がしっかり出るから魅力を感じましたとストレートに書いてしまうとお金や待遇にしか興味がない人物だと思われてしまいます。こうした希望条件は自分自身のスキルや貢献度を根拠にしたポジティブな表現に変換して伝える技術が必要です。例えば前職よりも高い給与を希望する場合はこれまでの経験で培った専門スキルや資格を活かしてより責任のあるポジションで貴院の経営に貢献したいという意欲として表現します。また残業の少なさを求める場合は業務効率を意識し限られた時間内で最大限のパフォーマンスを発揮したいというプロ意識として伝えます。自分を採用することで病院側にメリットがあることを提示しその対価として好条件を求めるという姿勢を見せることで納得感のあるアピールとなります。

夜勤の有無や通勤時間などの勤務条件はライフスタイルを守るための必要最低限の記述に留める

夜勤ができないことや通勤手段に制限があることなど勤務条件に関する制約は隠さずに伝える必要がありますがその伝え方にも工夫が必要です。単に夜勤はできませんと書くだけではやる気がないように受け取られかねません。家庭の事情により夜勤は難しいですが日勤帯の業務においてはフルタイムで勤務しチーム医療に貢献しますといったようにできないことの代わりにできることをセットで提示する書き方が効果的です。また通勤時間や交通手段についてもマイカー通勤を希望する場合は駐車場利用の可否を確認するなど実務的な視点での記述に留めます。ライフスタイルを守るための条件提示はわがままではなく長く働き続けるための必要な措置であることを理解してもらえるよう丁寧かつ謙虚な言葉遣いで記述してください。採用担当者は長く定着してくれる人材を求めているため無理をして入職しすぐに辞めてしまうよりも最初から条件をクリアにしておく方が誠実な対応と言えます。

本当に知りたい詳細な労働条件は書類選考通過後の面接や内定後のオファー面談で確認する

応募書類の段階では聞きにくい詳細な労働条件例えば具体的な賞与の支給実績や有給休暇の実際の取得率そして残業の実態などは書類選考を通過した後のフェーズで確認するのが定石です。面接の逆質問の時間を活用したり内定が出た後に設定される労働条件通知書の説明の場いわゆるオファー面談で確認したりすることで選考への悪影響を避けることができます。応募書類はあくまで自分を売り込むためのプレゼンテーション資料であり条件闘争の場ではありません。まずは会ってみたいと思わせることに全力を注ぎ詳細な条件のすり合わせは自分が必要とされる人材であると認めさせた後に行うという戦略的な順序を守ってください。どうしても事前に知っておきたい条件がある場合は転職エージェントを通じて確認してもらうか口コミサイトなどで情報収集を行うなど直接的な質問以外の方法を検討することも有効です。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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