転職は「いつから」動くのが正解？看護師が希望の職場を勝ち取るためのベストタイミングと、書類への書き方戦略

「今の職場を辞めたいけれど、いつから動き出せばいいのか分からない」

「4月入職を狙うなら、何月から準備すべき？」

「履歴書の本人希望欄に、入職可能時期をどう書けばいいか悩む」

看護師の転職活動において、「タイミング（いつから）」は合否を左右する極めて重要な要素です。動き出すのが遅すぎて希望の求人が埋まってしまったり、逆に早すぎて「そんなに先の話なら内定は出せない」と断られたりするケースは少なくありません。

また、書類選考においても、採用担当者はあなたのスキルと同じくらい「いつ入職してくれるのか」を重視しています。

本記事では、転職活動をスタートさせるべきベストな時期と、スムーズな入職を実現するためのスケジュール管理、そして履歴書における「入職希望時期」の戦略的な書き方について解説します。

１．逆算で考える。転職活動の標準期間は「3〜6ヶ月」

転職を考えたとき、まず把握すべきは「内定から入職までにかかる時間」です。看護業界では、一般的に活動開始から入職まで3ヶ月〜6ヶ月の期間を見ておくのが安全です。

【標準的なスケジュール例：4月入職を目指す場合】

1. 【10月〜11月】情報収集・自己分析（いつから：半年前）
   • 自分の強み（アピールポイント）の棚卸し。
   • 希望条件（給与、エリア、診療科）の整理。
   • 気になる病院の求人チェック開始。
2. 【12月〜1月】応募書類作成・応募・面接（いつから：3〜4ヶ月前）
   • 履歴書、職務経歴書の作成。
   • 冬のボーナス支給後に退職者が出るため、求人が増えるピーク時期。ここで応募するのが勝負。
3. 【1月〜2月】内定・退職交渉（いつから：2〜3ヶ月前）
   • 内定獲得。
   • 最重要： 現職へ退職の意思表示。就業規則にもよりますが、トラブルを防ぐために退職の1〜2ヶ月前（師長にはもっと早く）に伝えるのがマナー。
4. 【3月】引き継ぎ・有給消化
5. 【4月】新天地へ入職

「1ヶ月あれば転職できるだろう」と甘く見ていると、現職からの引き止めにあって退職日が決まらず、内定を取り消されるリスクがあります。余裕を持って「いつから動くか」を決めることが、成功への第一歩です。

２．狙い目の「月」は？求人が増えるタイミングを知る

1年の中で、看護師の求人が動きやすい時期は決まっています。自分のキャリアプランやボーナス事情に合わせて、動く時期を選定しましょう。

• 【4月入職】（1月〜2月が選考ピーク）
  • 特徴: 年間で最も求人数が多く、新卒と同じタイミングで研修を受けられるため、ブランクがある方や未経験の科に挑戦したい方に最適です。
  • 注意点: ライバルも多いため、人気病院は争奪戦になります。書類の完成度で差がつきます。
• 【9月・10月入職】（7月〜8月が選考ピーク）
  • 特徴: 夏のボーナスをもらってから退職するスタッフの補充求人が出ます。
  • 注意点: 即戦力が求められる傾向にあるため、職務経歴書では「自走力」をアピールする必要があります。
• 【1月入職】（10月〜11月が選考ピーク）
  • 特徴: 冬のボーナス後の退職補充や、4月入職までのつなぎとして「急募」が出やすい時期です。
  • 注意点: 年末年始を挟むため、選考スケジュールが後ろ倒しになりがちです。

３．キャリア年数別「いつから」転職すべきか

「今の経験年数で転職していいのか？」という悩みも多いでしょう。年数によって、書類でアピールすべき「売り」が変わります。

• 【経験1〜2年目】「第二新卒」として早めに動く
  • 「石の上にも三年」と言われますが、現職が辛すぎるなら無理は禁物です。第二新卒枠として、教育体制の整った病院へ4月入職を目指すのがベターです。書類では「一から学ぶ意欲」を強調します。
• 【経験3〜5年目】市場価値が最も高い「ゴールデンタイム」
  • 一通りの業務ができ、リーダー経験もあるこの時期は、いつでも転職可能です。給与アップやキャリアアップを狙うなら、この時期を逃してはいけません。
• 【経験10年以上】管理職やスペシャリスト狙い
  • 欠員が出にくいポジションのため、時期を問わず常にアンテナを張っておく必要があります。

４．書類選考を通過させる「入職可能時期」の書き方

履歴書の本人希望欄や面接で必ず聞かれる「いつから働けますか？」という質問。ここでの回答が曖昧だと、採用担当者は計画を立てられず、不採用の原因になります。

状況別に、好印象を与える書き方・答え方を解説します。

パターンA：在職中で、退職日が決まっていない場合

最も多いケースです。「まだ分かりません」はNGです。

• 書類の書き方:「内定より1.5ヶ月〜2ヶ月後に勤務可能です。」「退職手続きに1ヶ月程度要するため、20〇〇年〇月以降の入職を希望いたします。」
• ポイント:現職への責任感（引き継ぎ期間）を示すことで、「真面目な人だ」という評価に繋がります。

パターンB：すでに退職している場合

• 書類の書き方:「即日勤務可能です。」「20〇〇年〇月〇日より勤務可能です。」
• ポイント:急募案件の場合、この「即日可能」という一文だけで、他のライバルをごぼう抜きにして採用されることがあります。最強のアピールポイントです。

パターンC：ボーナスをもらってから辞めたい場合

「ボーナス後に」と直接書くのは印象が悪いため、別の理由で時期を指定します。

• 書類の書き方:「現職での業務の区切りが良い、20〇〇年7月（または1月）以降の入職を希望いたします。」
• ポイント:病院側も「ボーナス時期だな」と察してくれますが、あえて「業務の区切り」という言葉を使うのが大人のマナーです。

５．結論：書類準備は「今」から始めるのが正解

「いつから転職活動を始めるべきか」という問いへの答えは、**「書類作成だけなら、今すぐ」**です。

実際に求人に応募するのは3ヶ月前で良くても、自己分析や職務経歴書の作成には意外と時間がかかります。いざ良い求人が出たときに「書類がまだできていない」と慌てて作成し、質の低いものを出して落とされてしまうのが最悪のパターンです。

• まずは自分のキャリアの棚卸しをする。
• 職務経歴書の下書きを作ってみる。
• 履歴書の写真は撮っておく。

これだけの準備をしておけば、いざという時に最高のタイミングでスタートダッシュを切ることができます。準備期間を含めた戦略的なスケジュール管理で、理想の転職を成功させてください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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