派遣経験は「ふらふらしている」じゃない! 即戦力証明に変える、看護師の履歴書・職務経歴書テクニック
「派遣でいくつかの病院を回ったけれど、履歴書に全部書くと『長続きしない人』と思われない?」
「正社員の面接で『なぜ派遣だったんですか?』と聞かれたら、どう答えるのが正解?」
ライフスタイルの変化や、色々な現場を見てみたいという思いから、**「派遣看護師」という働き方を選ぶ人は増えています。
しかし、いざ正社員への再転職や、条件の良い紹介予定派遣を目指そうとした時、ネックになるのが「書類の書き方」**です。
短期間で職場が変わる派遣の経歴は、書き方次第で「経験豊富な即戦力」にもなれば、「忍耐力のないジョブホッパー」にも見えてしまう諸刃の剣。
本記事では、採用担当者に「この派遣経験があったからこそ、今のスキルがあるんだな」と納得させる、派遣ナースのための応募書類・最適化マニュアルを解説します。
1.履歴書での悩みNo.1「派遣先が多すぎて書ききれない」問題
派遣で働いていた看護師さんが最初にぶつかる壁が、履歴書の「職歴欄」の行数不足です。
3ヶ月や半年ごとの契約更新で勤務先が変わっている場合、すべてを正直に時系列で書くと、あっという間に行が埋まってしまいます。
基本ルール:「派遣元」と「派遣先」の関係
履歴書には、雇用主である「派遣元(派遣会社)」と、実際に働いた「派遣先(病院・施設)」の両方が分かるように書くのが原則です。
【基本的な書き方】
20xx年 4月 株式会社〇〇(派遣会社名) 登録
20xx年 4月 医療法人△△会 □□病院 派遣就業(〜20xx年 3月まで)
20xx年 4月 社会福祉法人××会 老人ホーム◎◎ 派遣就業(〜20xx年 9月まで)
20xx年 10月 株式会社〇〇 登録抹消
派遣先が多い場合の「省略テクニック」
派遣先が多すぎて書ききれない場合は、派遣会社への登録事実のみを履歴書に書き、詳細は「職務経歴書」に逃がすのがスマートです。
【省略した書き方】
20xx年 4月 株式会社〇〇 登録
以降、同社より派遣社員として、都内の総合病院や介護施設など計4施設にて勤務
(※詳細は職務経歴書に記載)
20xx年 10月 期間満了により登録抹消
これなら、職歴欄がスッキリし、「辞め癖がある」という視覚的なネガティブ印象を防ぐことができます。
2.職務経歴書は「時系列」ではなく「キャリア式」で攻める
派遣経験者が職務経歴書を作成する際、最も損をするのが「編年体式(古い順に羅列)」で書いてしまうことです。
これだと、「〇〇病院:3ヶ月」「△△クリニック:6ヶ月」といった**「期間の短さ」**ばかりが目立ってしまいます。
派遣の強みである「適応力」と「多様な経験」をアピールするには、**「キャリア式(業務内容別)」**でまとめるのが正解です。
成功する構成案
期間ではなく、**「経験した領域」**でグルーピングして実績を書きます。
【職務経歴書の記載例】
■ 派遣期間における経験業務(20xx年〜20xx年)
【登録先】 株式会社〇〇、株式会社△△
1.介護施設における健康管理業務(経験通算:2年)
- 特別養護老人ホーム、有料老人ホームなど計3施設にて勤務
- 実績: 利用者様のバイタルチェック、服薬管理、急変時対応(オンコールなし)。施設ごとの異なるマニュアルに即座に適応し、多職種と連携しました。
2.クリニックにおける外来業務(経験通算:1年)
- 内科、皮膚科クリニックなど計2施設にて勤務
- 実績: 1日平均80名の患者様の採血・処置を、正確かつスピーディーに実施しました。
★ここがポイント!
「何か所行ったか」ではなく**「トータルで何ができるようになったか」**を見せることで、即戦力としての厚みが出ます。
3.面接官の「なぜ派遣?」を論破する志望動機
正社員への転職において、採用担当者は必ず「なぜこの期間、派遣だったのですか?(またすぐ辞めるのでは?)」と懸念します。
この質問に対する答え(志望動機)の準備が、書類選考突破の鍵を握ります。
① 「フラフラしていた」ではなく「武者修行」と言い換える
- × NG: 「人間関係に縛られたくなかったので派遣をしていました。」
- ◎ OK:「一箇所の病院だけでなく、様々な環境や診療科を見ることで、看護師としての視野を広げたいと考え、あえて派遣という働き方を選択しました。異なるシステムやチームの中に飛び込み、短期間で即戦力として適応する**『柔軟性』と『度胸』**はこの期間に培われました。この経験を経て、腰を据えて専門性を深めたい分野が明確になり、貴院を志望いたしました。」
② 「ライフスタイルの変化」を正直に、かつ「解決済み」とする
- ◎ OK:「家庭の事情(育児・介護など)により、時間の融通が利く派遣社員として勤務しておりました。現在は環境が整い、夜勤を含めたフルタイム勤務が可能となりましたので、貴院にてキャリアを継続したいと考えております。」
4.これから「派遣」を目指す人の書類対策
ここまでは「派遣→正社員」の話でしたが、逆に「正社員→派遣(紹介予定派遣含む)」を目指す場合についても触れておきましょう。
派遣会社への登録や、派遣先との顔合わせ(実質的な面接)において、書類で重視されるのは**「スキルの明確化」**です。
派遣で好かれる書類の特徴
教育コストをかけられない派遣先は、「何ができるか(手技)」を具体的に知りたがります。
- 職務経歴書に「手技チェックリスト」を入れる:
- 採血、ルート確保、バルーン交換、吸引、胃ろう管理……
- これらを「○(一人でできる)」「△(見守りが必要)」でリスト化しておくと、マッチングの精度が上がり、希望する高時給求人に通りやすくなります。
5.まとめ:派遣経験は「適応力の証明書」
「派遣=責任感がない」というのは、ひと昔前の古い偏見です。
今の医療現場において、派遣看護師として様々な現場を渡り歩き、その都度結果を出してきた経験は、何物にも代えがたい**「適応力(サバイバル能力)」の証明**になります。
- 履歴書はスッキリと見せる工夫をする。
- 職務経歴書は「領域別」にまとめて、経験の厚みを出す。
- 志望動機では、派遣期間を「視野を広げるための期間」と定義する。
これらを意識して書類を作成すれば、あなたの派遣期間は決してマイナス評価にはなりません。
「どこに行ってもやっていける」という自信を書類に込め、次のステージへの切符を勝ち取ってください。





