看護師が副業可能な職場へ転職する際の求人選びと書類選考を突破する応募書類の作成法

看護師の働き方の多様化に伴う副業ニーズの高まりと求人探しの現状

近年は働き方改革の影響により一般企業だけでなく医療業界においても副業や兼業を解禁する動きが徐々に広がりを見せています。看護師としての専門性を活かして他の医療現場で経験を積んだり全く異なる分野で新たなスキルを習得したりするために副業可能な職場への転職を希望する人が増えています。また収入アップを目的として夜勤専従のアルバイトやイベントナースなどを掛け持ちしたいと考えるケースも少なくありません。しかしながら医療現場は依然として保守的な側面があり全ての病院や施設が副業を認めているわけではないのが現状です。患者の命を預かる責任の重さや不規則な勤務体制から本業への支障を懸念して副業を禁止している医療機関も多く存在します。そのため副業を前提とした転職活動を行う場合には求人票の条件を細かく確認するだけでなくその背景にある病院の方針や理解度を慎重に見極める必要があります。単に副業可という記載があるだけで飛びつくのではなくどのような条件での副業が認められているのかを把握することがミスマッチを防ぐ第一歩となります。

公立病院と民間病院における副業規定の違いと雇用形態による可否の傾向

看護師が副業可能な転職先を探す際には応募先の経営母体や雇用形態による違いを理解しておくことが重要です。まず県立病院や市立病院などの公立病院や国立病院機構などの公的医療機関で働く看護師は公務員またはみなし公務員という扱いになります。公務員は法律によって職務専念義務が定められており原則として副業は禁止されています。許可を得れば可能な場合もありますがハードルは非常に高いと考えておくべきです。一方で民間の病院やクリニックそして訪問看護ステーションや介護施設などはそれぞれの就業規則によって副業の可否が決められています。最近では人材確保のために柔軟な働き方を認める民間病院も増えてきています。また雇用形態によっても扱いは異なり正職員には副業を禁止していてもパートや非常勤職員であれば副業を認めているケースは多く見られます。自身のライフスタイルに合わせて正職員として働きながら副業をするのかそれともパートを掛け持ちして働くのかという雇用形態の選択も転職活動の重要な戦略の一つとなります。

履歴書や職務経歴書を作成する際に副業の希望をどのように扱うべきか

書類選考を通過するためには履歴書や職務経歴書の作成において戦略的な判断が求められます。副業を希望している場合それを応募書類に記載すべきかどうか迷うところですが基本的には志望動機や自己PRの中心に副業を据えることは避けるべきです。採用担当者が最も懸念するのは副業によって本業がおろそかになったり疲労により業務に支障が出たりすることです。そのため副業ができるからという理由だけで応募したと受け取られると採用意欲が低いと判断されかねません。履歴書にはあくまでその医療機関で行う看護業務への熱意や貢献意欲を中心に記載し副業については触れないかあるいは面接の場で確認する程度に留めておくのが無難です。ただし過去に副業として行っていた業務が応募先の業務に直接役立つスキルである場合は職務経歴書の中でアピール材料として活用することは可能です。その際も本業と副業のバランスを適切に管理できる自己管理能力があることを併せて伝える工夫が必要です。

採用担当者に本業へのコミットメントを疑わせないための志望動機の工夫

副業可能な求人に応募する場合であっても志望動機はあくまでその病院や施設の魅力や自身のキャリアプランに基づいて作成する必要があります。例えば多様な働き方を推進している貴院の柔軟な姿勢に魅力を感じましたという表現は可能ですがそれがメインの理由になってはいけません。貴院の地域医療への取り組みに共感し自身の訪問看護での経験を活かして貢献したいというように看護師としての職務に対する意欲を最優先で伝えます。その上で自己PRや面接の回答の中で効率的な業務遂行能力や体力に自信があることをアピールし副業を行っても本業に100パーセントの力で取り組める人材であることを印象づけます。副業はあくまで個人の時間の使い方の範疇であり職場に求めるのは看護師として成長できる環境や貢献できるフィールドであるというスタンスを崩さないことが信頼獲得への鍵となります。

入職後のトラブルを避けるために確認しておきたい就業規則と副業申請の手続き

書類選考を通過し面接や内定の段階に進んだら具体的な副業の条件や手続きについて確認しておくことがトラブル回避のために不可欠です。面接の逆質問の時間を利用して就業規則における副業の規定について質問したり内定後に労働条件通知書を確認したりすることで正確な情報を得ることができます。中には副業は可能でも同業他社での勤務は禁止されていたり事前の許可申請が必要であったりするなど細かなルールが設けられている場合があります。これらを確認せずに隠れて副業を行い後になって発覚すると懲戒処分の対象となるリスクもあるため注意が必要です。また副業をすることによって社会保険や税金の手続きが複雑になる場合もあります。転職エージェントを利用している場合は担当者を通じて確認してもらうのも一つの方法です。いずれにしても入職前にルールを明確にし堂々と副業に取り組める環境を整えておくことが長く安心して働くための基盤となります。

まとめ

看護師が副業可能な職場への転職を成功させるためには求人選びの段階での情報収集と応募書類における適切な自己表現が重要です。副業ニーズが高まっているとはいえ医療現場では本業への専念が基本とされる傾向が強いため採用担当者の懸念を払拭するような配慮が求められます。副業ができることだけを志望理由にするのではなくあくまで看護師としてのキャリアアップや貢献を第一に考えた志望動機を作成することで書類選考の通過率は高まります。そして面接や内定後の段階でしっかりとルールを確認し本業と副業を両立できる環境を確保することで理想の働き方を実現してください。柔軟な働き方は自身のスキルを高め人生を豊かにするための手段でありそれを可能にするための誠実な転職活動が次のキャリアへの扉を開きます。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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