看護師の志望動機は「例文のコピペ」では通らない!そのまま使えるテンプレートと採用担当者を唸らせる書き換えテクニック
転職活動中の看護師が最も頭を抱えるのが、履歴書や職務経歴書に記載する「志望動機」です。ネットで検索すれば無数の「志望動機 例文」が出てきますが、これをそのままコピペして提出しても、書類選考を通過することはまずありません。採用担当者は何百通もの応募書類を見ており、ネット上の定型文を熟知しているからです。例文はあくまで「構成の参考」にするものであり、そこにあなた自身の経験という「魂」を吹き込まなければ、読み手の心は動きません。本記事では、ケース別の具体的な例文を紹介しつつ、それをどのように自分流にアレンジ(最適化)すれば採用担当者に響く「合格する志望動機」になるのか、そのロジックと書き換えテクニックを詳しく解説します。
志望動機を構成する「3つの黄金要素」
具体的な例文を見る前に、評価される志望動機に必ず含まれている3つの要素を理解しておきましょう。この構成を守るだけで、文章の説得力が格段に上がります。
- なぜその病院(施設)なのか(他ではダメな理由)理念、特徴、専門性など、その病院ならではの魅力。
- なぜ私なのか(自分の強みと経験)これまでの経験が、その病院でどう活きるか。
- 入職後にどうなりたいか(未来の貢献)どのように働き、病院にどんなメリットをもたらすか。
この3つがつながって初めて、論理的で熱意のある志望動機が完成します。
【ケース1】急性期から慢性期・療養型へ(ペースダウンではなく「深めたい」)
<よくある失敗例>
「前職の急性期は忙しく、患者様一人ひとりと向き合う時間が取れませんでした。貴院はゆったりとした環境だと聞き、患者様に寄り添った看護がしたいと思い志望しました。」
(解説:これでは「楽がしたい」という逃げの姿勢に見えます。)
<合格する書き換え例文>
「前職の急性期病棟では、日々の処置や業務に追われ、患者様の精神的なケアや退院後の生活を見据えた支援が十分にできないことに課題を感じていました。貴院は地域における療養医療の中核として、長期的な視点で患者様のQOL向上に取り組まれています。急性期で培った『急変時のアセスメント能力』を活かして安全を守りつつ、今後は一人ひとりの患者様の人生に深く寄り添う看護を実践したいと考え、志望しました。」
★書き換えのポイント
「忙しいのが嫌」というネガティブな理由を、「より深く関わりたい」というポジティブな看護観に変換しています。また、急性期のスキル(アセスメント能力)が慢性期でも役立つことをアピールし、即戦力性を匂わせています。
【ケース2】慢性期から急性期へ(スキルアップと貢献)
<よくある失敗例>
「今の職場では学べることが少ないと感じました。貴院は教育制度が整っているので、最新の医療を勉強させていただきたいと思い志望しました。」
(解説:「勉強したい」という受け身の姿勢は、採用側にとってコストでしかありません。)
<合格する書き換え例文>
「現職の療養病棟では、高齢患者様の全身管理や家族ケアに携わってきました。その中で、病状が悪化し転院される患者様を目の当たりにし、急性期段階での早期介入や高度な処置スキルを身につける必要性を痛感しました。貴院の『断らない救急』という理念に共感し、多忙な環境であることは覚悟の上で志望しました。慢性期で培った『些細な変化に気づく観察力』と『忍耐強さ』を活かし、一日も早く戦力として貢献したいと考えています。」
★書き換えのポイント
「学びたい」を「貢献するために力をつけたい」と言い換えています。また、慢性期の経験が急性期では役に立たないと思われがちですが、「観察力」や「忍耐強さ」といったポータブルスキル(持ち運び可能な能力)を提示することで、強みをアピールしています。
【ケース3】病棟から訪問看護へ(「生活」を支える視点)
<よくある失敗例>
「夜勤がなく土日休みである点に魅力を感じました。また、在宅医療に興味があったので志望しました。」
(解説:条件面ばかり強調すると、仕事への熱意が疑われます。)
<合格する書き換え例文>
「病棟勤務を通じて、退院後に自宅での生活に不安を抱える患者様を多く見てきました。『住み慣れた家で最期まで過ごしたい』という患者様の願いを叶えるためには、生活の場における医療的支援が不可欠だと感じ、訪問看護の道を志しました。貴ステーションの『24時間365日支える』という姿勢に強く惹かれています。病棟経験で培った幅広い疾患への対応力と、一人で判断し行動する自律性を活かし、利用者様とそのご家族の安心を守れる看護師になりたいと考えています。」
★書き換えのポイント
訪問看護特有の「一人で判断する」という厳しさを理解していることを示し、そのためのスキルがあることを伝えています。条件面には触れず、看護師としてのミッション(使命感)を前面に出しています。
【ケース4】病院からクリニックへ(即戦力と接遇スキル)
<よくある失敗例>
「大きな病院での勤務に疲れました。地域密着のクリニックで、アットホームな雰囲気の中で働きたいです。」
(解説:クリニックは少人数で回すため、人間関係の甘えや受け身な人は敬遠されます。)
<合格する書き換え例文>
「総合病院の外来勤務において、限られた時間の中で的確に問診を行い、スムーズに診療につなげるスキルを磨いてきました。貴院は地域のかかりつけ医として、乳幼児から高齢者まで幅広い患者様に信頼されています。私の強みである『正確でスピーディーな採血・点滴スキル』と、患者様の不安を和らげる『明るい接遇』を活かし、貴院の円滑な診療と地域医療への貢献に尽力したいと考え志望しました。」
★書き換えのポイント
クリニックが求めているのは「手技の速さ」と「愛想の良さ(接遇)」です。これを具体的にアピールし、即戦力であることを伝えています。「アットホーム」という言葉は、仕事への甘えと捉えられるリスクがあるため避けるのが無難です。
例文は「骨組み」として使い、自分のエピソードで肉付けする
紹介した例文は、あくまで論理構成のテンプレートです。これらをベースにしつつ、必ず「あなた自身の具体的なエピソード」を一つ盛り込んでください。「〇〇という患者様との出会い」や「〇〇という委員会での経験」など、実体験に基づいた話は、誰にも真似できない最強の差別化になります。例文のきれいな言葉に頼りすぎず、あなたの言葉で熱意を語ることが、書類選考を突破する最大の鍵となります。





