営業職の転職理由をポジティブに変換し採用担当者の心を掴む書類作成テクニック

ネガティブな退職理由をそのまま伝えず将来のキャリアビジョンに基づいた前向きな動機へと昇華させる

営業職の転職において採用担当者が最も警戒するのは採用してもまたすぐに同じような理由で辞めてしまうのではないかという点です。そのためノルマが厳しいことや残業が多いことといったネガティブな退職理由をそのまま職務経歴書や面接で伝えてしまうのは避けるべきです。重要なのは嘘をつくことではなく事実の解釈を変えて未来に向けたポジティブな動機として表現することです。例えばノルマが厳しくて辞めたいのであれば数字を追うだけでなく顧客の課題解決により深くコミットできる営業スタイルを確立したいと言い換えることができます。また残業が多くて疲弊している場合は業務効率化を推進し限られた時間の中で最大の成果を出せる生産性の高い環境で働きたいと伝えることが可能です。現状からの逃避ではなく理想のキャリアを実現するための前向きなステップであることを強調し採用担当者に成長意欲の高い人材であるという印象を与えてください。

給与や待遇への不満は成果への正当な評価やより高いレベルでの貢献欲求として表現する

営業職にとって給与は自身の成果に対する評価そのものであり年収アップを目的とした転職は決して悪いことではありません。しかし単に給料が安いからという理由だけでは会社への帰属意識が低く条件だけで動く人材だと判断されるリスクがあります。この不満をポジティブな転職理由に変換するためには自分の実績が正当に評価される環境でモチベーション高く働きたいという意欲やより大きな責任を伴う仕事に挑戦しその対価として高い報酬を得たいという貢献欲求として表現することが効果的です。例えば現職では年功序列の要素が強く成果が反映されにくいという不満があるなら実力主義の貴社で自分の営業力を試し正当な評価を得ることで会社に利益をもたらしたいと伝えることで自信と意欲を同時にアピールすることができます。お金が欲しいという要求ではなく成果を出して会社に貢献するというギブアンドテイクの精神を示すことが重要です。

ノルマやプレッシャーからの逃避ではなく顧客本位の提案ができる環境を求める姿勢を示す

無理な押し売りや過剰なノルマに追われる日々に疲れ果てて転職を決意する営業マンは少なくありません。しかしこれをそのまま伝えるとストレス耐性がないと判断されかねません。このような場合は売ることへの拒絶ではなく売り方へのこだわりを転職理由の核に据えてください。会社の利益のためだけに商品を売るのではなく顧客にとって本当に価値のある提案をしたいという顧客志向の強さをアピールします。現職では短期的な数字を追うことが優先され顧客との信頼関係構築が疎かになってしまうというジレンマを解消し貴社のように顧客満足度を重視する環境で息の長い関係を築きたいと伝えることで誠実な営業姿勢を持った信頼できる人物であることを証明できます。営業という仕事自体が嫌いなわけではなくより質の高い営業活動を求めていることを明確にすることで採用担当者の共感を得ることができます。

人間関係のトラブルや社風のミスマッチはチームワークや組織貢献への意欲に書き換える

上司と合わないことや職場の雰囲気が悪いことなど人間関係のトラブルは転職理由の本音として上位に挙がりますがこれを応募書類に書くのはタブーです。他責思考が強い人物だと思われたり協調性がないと判断されたりするからです。この場合はチームで協力して目標を達成する風土や切磋琢磨できる環境を求めているという表現に変換します。例えば個人の成果ばかりが重視される現職の環境に対してチームワークを大切にし組織全体でナレッジを共有しながら成長できる貴社の社風に魅力を感じましたと伝えます。またトップダウンで意見が通らない環境であればボトムアップで現場の意見を吸い上げ改善提案ができる環境で働きたいと伝えることで組織に対して主体的に関わろうとする意欲を示すことができます。過去の不満を愚痴るのではなく未来の職場でどのような関係性を築きたいかという希望を語ることでポジティブな印象を残してください。

業界の将来性や会社の先行き不安は新しい市場での挑戦や成長産業への参画意欲として伝える

斜陽産業に身を置いていることや会社の経営状況が悪化していることへの不安も立派な転職理由になります。しかし単に会社の将来が不安だからという理由では安定志向が強すぎる受け身な人材だと見なされる可能性があります。この場合は変化を恐れて逃げるのではなく自ら成長産業に身を置き新しい市場を開拓したいという挑戦心をアピールしてください。現職の業界で培った営業スキルを活かしつつ今後社会的な需要が高まる貴社の業界で専門性を身につけたいと伝えることでリスク管理能力と学習意欲の高さを同時に示すことができます。沈みゆく船から逃げ出すのではなくより速く進む船に乗り換えて自分の力を試したいという攻めの姿勢を見せることで採用担当者に将来性を感じさせることができます。どのような理由であってもそれを成長へのエネルギーに変換して伝える技術こそが書類選考を突破するための最大の鍵となります。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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