営業職の転職活動で実績に嘘をつくリスクと正直にアピールするための書き方

リファレンスチェックや提出書類との整合性から虚偽の報告は高い確率で露見する

転職活動において少しでも自分を良く見せたいという心理から営業成績や実績を誇張したり事実と異なる数字を記載したりすることは非常に危険な行為です。近年では外資系企業やベンチャー企業を中心に前職の上司や同僚に働きぶりを確認するリファレンスチェックを導入する企業が増加しており客観的な事実確認が行われるケースが一般的になっています。また入社手続きの際に提出する源泉徴収票の年収額と採用面接で申告した成果報酬額に大きな乖離があれば実績の信憑性を疑われることになります。さらに業界は意外と狭いため採用担当者が個人的なネットワークを通じて評判を確認することも珍しくありません。バレないだろうという安易な考えでついた嘘は高い確率で発覚し内定取り消しや入社後の解雇といった取り返しのつかない事態を招くリスクがあることを十分に理解しておく必要があります。

書類選考を通過しても面接での深掘り質問で矛盾が生じ不信感を持たれる

仮に書類選考の段階で実績の嘘が見過ごされたとしても面接の場においてはプロの採用担当者による鋭い深掘り質問が待ち受けています。実際に高い実績を上げている営業職であればその数字を達成するまでのプロセスや苦労そして独自の工夫について具体的かつ論理的に語ることができます。しかし虚偽の実績を記載している場合表面的な数字の話はできても詳細な行動内容や当時の状況について質問されると回答にしどろもどろになったり辻褄が合わなくなったりすることがあります。面接官は数字そのものよりもその数字に至るまでの思考プロセスや行動特性を見ています。話の中に少しでも違和感や矛盾があれば即座に不信感を持たれ実績だけでなく人物としての信頼性も失うことになり結果として不採用に直結してしまいます。

入社後に実力不足が露呈し過度なプレッシャーにより自分の首を絞める結果になる

実績を盛って実力以上の評価を得て入社できたとしてもそれは茨の道の始まりに過ぎません。企業は採用時に申告された実績を基準にしてあなたへの期待値や目標設定を行うため入社直後からその虚偽の実績に見合った高い成果を求められることになります。本来の実力とかけ離れたノルマを課され周囲からのプレッシャーに押しつぶされそうになりながら働くことは精神的に大きな負担となります。また期待されたパフォーマンスを発揮できなければ周囲からの評価は急落し職場に居づらくなるだけでなく最悪の場合は試用期間での契約終了や降格の対象となる可能性もあります。目先の内定欲しさに実力を偽ることは長期的なキャリア形成において自分自身を苦しめる最も愚かな選択であることを認識し等身大の自分を受け入れてくれる企業で成長を目指すことが賢明です。

嘘をつかずに実績を魅力的に見せるための数字の切り取り方と表現の工夫

実績に自信がない場合でも嘘をつくのではなく事実に基づいた数字の切り取り方や表現を工夫することで魅力的な応募書類を作成することは十分に可能です。例えば通期の目標達成率が低かったとしても特定の四半期や月次で高い成果を出した期間があればその瞬間最大風速をアピールポイントとして記載することができます。また売上金額全体では目立たなくても新規開拓数や特定商材の販売数など自分が強みを発揮できた指標にフォーカスして実績を作ることも有効です。さらにチーム内での順位が低くても昨対比での成長率が高ければ伸びしろのある人材として評価されます。嘘をつくのではなく自分の実績を多角的な視点から分析し最も輝いて見える事実を戦略的に抽出してアピールすることが書類選考を通過するための正攻法です。

定量的な成果が弱い場合はプロセスや行動量へのコミットメントでカバーする

どうしても誇れるような定量的な実績がない場合は数字の結果だけに固執せずプロセスや行動量へのコミットメントを強調することで評価を覆すことができます。結果が出るまでの過程においてどのような課題意識を持ちどのような行動変容を起こしたかというＰＤＣＡサイクルを詳細に記述してください。例えば圧倒的な訪問件数をこなした行動力や顧客との信頼関係を構築するために行った地道なフォローアップ活動そして失敗から学び改善し続けた姿勢などは営業職としての基礎能力と熱意を示す重要な要素です。採用担当者は過去の実績だけでなく入社後の再現性や成長可能性も重視しています。誠実に自分の弱さと向き合いながらもそれを補うために泥臭く努力できる人材であることを伝えることが信頼を勝ち取り内定への道を切り拓く鍵となります。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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