エンジニアの転職を成功させる職務経歴書の書き方とサンプル
エンジニアの転職市場は依然として活発ですが、希望する企業やプロジェクトに参加するためには、書類選考の段階で自身の技術力と実績を正確に伝える必要があります。採用担当者は応募者がどのような技術を持ち、どのようなプロジェクトで貢献できるかを職務経歴書から判断します。したがってエンジニアの職務経歴書では、単なる経歴の羅列ではなく、使用技術、担当工程、チーム内での役割などを具体的に記述することが求められます。本記事ではエンジニアが書類選考を通過するために必要な職務経歴書の作成ポイントと、職種別の具体的な記述サンプルを紹介します。
エンジニアの職務経歴書で重視される要素
エンジニアの採用において最も重要視されるのは技術スキルと実務経験の適合性です。採用担当者は、自社が求めている技術スタックと応募者のスキルが合致しているかを確認します。そのため職務経歴書には、経験したプロジェクトごとに使用したプログラミング言語、フレームワーク、データベース、OS、開発ツールなどを詳細に記載する必要があります。また、バージョンの違いによって業務への適応度が変わる場合があるため、可能な限りバージョン情報も明記します。さらに技術力だけでなく、プロジェクトにおける立ち位置やコミュニケーション能力、課題解決能力も評価の対象となります。リーダー経験や新人教育の経験、顧客折衝の経験などは、技術力プラスアルファの価値として高く評価されます。
職務要約の書き方とポイント
職務要約は、採用担当者が最初に目にする部分であり、ここで興味を持ってもらえるかどうかが詳細を読んでもらえるかの分かれ目となります。エンジニアの場合は、経験年数、主な職種、得意とする技術領域、特筆すべき実績を簡潔にまとめます。例えば、Webアプリケーション開発に5年間従事し、要件定義からリリースまでの一連の工程を経験したことや、リーダーとしてチームを牽引した実績などを3行から5行程度の文章で記述します。専門用語を適切に交えつつ、自身のキャリアの全体像がひと目でわかるように構成します。
Webアプリケーションエンジニアの職務経歴書サンプル
Webサービスの開発に携わるエンジニアの場合、開発環境と担当工程の明確化が必須です。以下に具体的な記述例を紹介します。
職務要約の記述例
株式会社〇〇にて4年間、Webアプリケーションエンジニアとして従事しました。主にECサイトや予約管理システムの新規開発および機能追加を担当しました。使用言語はJavaとPHPが中心で、フレームワークを用いた効率的な開発を行いました。基本設計から詳細設計、実装、テストまでを一貫して担当し、直近のプロジェクトではサブリーダーとしてメンバー3名のコードレビューや進捗管理も行いました。
業務内容の詳細記述例
在籍していた企業名と事業内容を記載した上で、プロジェクトごとの詳細を記述します。例えば、2020年4月から2022年3月までは、大手通販サイトのリニューアルプロジェクトに参画しました。チーム規模は10名で、担当役割はメンバーでした。担当工程は詳細設計、製造、単体テスト、結合テストです。開発環境は、言語がJava11、フレームワークがSpringBoot、データベースがMySQL、OSがLinux、バージョン管理はGitを使用しました。このプロジェクトでは、検索機能の高速化を担当し、クエリの改善を行うことで検索レスポンスを0点5秒短縮することに成功しました。このように具体的な数字を用いて成果を示すと説得力が増します。
自己PRの記述例
常に新しい技術へのキャッチアップを怠らず、業務効率化を推進する姿勢を持っています。前職では、手動で行っていたデプロイ作業をCIツールを導入して自動化し、作業時間を大幅に削減しました。また、チーム開発においては円滑なコミュニケーションを重視し、仕様に関する認識齟齬がないよう積極的にドキュメント化を行いました。貴社においても、技術力を活かした開発業務だけでなく、開発プロセスの改善にも貢献したいと考えています。
インフラエンジニアの職務経歴書サンプル
サーバーやネットワークの構築、運用保守を担当するインフラエンジニアの場合、取り扱った規模や環境(オンプレミスかクラウドか)が重要な判断材料となります。
職務要約の記述例
株式会社△△にて5年間、インフラエンジニアとしてサーバー設計構築および運用保守業務に従事しました。オンプレミス環境でのLinuxサーバー構築経験に加え、直近2年間はAWSを用いたクラウド環境の設計構築も担当しました。大規模Webサイトの負荷分散設計やセキュリティ対策の実装経験があり、障害発生時の迅速な対応と原因究明を得意としています。
業務内容の詳細記述例
具体的なプロジェクトとして、金融系システムのサーバーリプレイス案件を挙げます。期間は2021年1月から2022年12月までで、役割は設計構築担当でした。環境はLinux、WindowsServer、VMwareを使用しました。担当業務は、現行環境の調査、新環境の設計、構築、移行リハーサル、本番移行です。特に、移行時のダウンタイムを最小限に抑えるための移行計画策定に注力し、予定時間内で無事に移行を完了させました。また、運用フェーズにおいてはZabbixを用いた監視設計を行い、障害予兆の早期検知体制を構築しました。AWSやAzureなどのクラウドサービスの利用経験がある場合は、使用した具体的なサービス名(EC2、RDS、S3など)も列挙します。
自己PRの記述例
安定稼働を第一に考えた堅実な設計と、トラブルシューティング能力に自信があります。過去に発生した大規模なシステム障害の際には、冷静にログを解析し根本原因を特定して恒久対応を行いました。また、日々の運用業務を効率化するために、シェルスクリプトやAnsibleを用いた構成管理の自動化を推進しました。貴社においても、システムの信頼性向上と運用コストの削減に貢献できると考えています。
テクニカルスキルの効果的なまとめ方
エンジニアの職務経歴書では、保有している技術スキルを一覧で見やすくまとめることが推奨されます。リスト形式が使用できない場合でも、カテゴリごとに整理して記述することで読みやすくなります。
言語とフレームワーク
使用可能なプログラミング言語と、それに付随するフレームワークやライブラリを記述します。Java、PHP、Python、Ruby、JavaScriptなどの言語名と、SpringBoot、Laravel、Django、RubyOnRails、React、Vueなどのフレームワーク名を記載します。それぞれの経験年数も併記すると、どの程度の熟練度か伝わりやすくなります。
データベースとOS
データベースに関しては、Oracle、MySQL、PostgreSQL、SQLServerなどの製品名を記述します。OSについては、Linux(RedHat、CentOS、Ubuntuなど)、WindowsServer、UNIXなどの経験を記載します。クラウドサービス(AWS、GCP、Azure)の経験もこのセクション、または別のカテゴリとして記述すると良いでしょう。
開発ツールとその他
開発に使用したツール類も重要なスキル情報です。バージョン管理ツールのGit、Subversion、チケット管理ツールのJira、Redmine、CIツールのJenkins、CircleCI、コンテナ技術のDocker、Kubernetesなどを記述します。また、SlackやTeamsなどのコミュニケーションツールの使用経験も、リモートワークが普及している現在ではプラスの要素となります。
書類選考を通過するための最終チェックポイント
職務経歴書が完成したら、提出前に必ず見直しを行います。誤字脱字がないことはもちろんですが、エンジニア特有のチェックポイントも存在します。
技術用語の表記統一
職務経歴書内で使用している技術用語の表記が統一されているか確認します。例えば、「Java」と「JAVA」、「Javascript」と「JavaScript」などが混在していると、細部への注意力が不足しているという印象を与えかねません。正式名称を使用し、大文字小文字の区別も正確に行います。
具体性と客観性
「頑張りました」「貢献しました」といった抽象的な表現だけになっていないか確認します。「APIのレスポンスタイムを20パーセント改善した」「月の運用コストを10万円削減した」など、可能な限り数字を用いて成果を記述します。エンジニアの仕事は論理的であることが求められるため、職務経歴書の文章も論理的かつ具体的である必要があります。
読み手への配慮
採用担当者は多忙な中で多くの応募書類に目を通しています。そのため、パッと見て何ができるエンジニアなのかが伝わるレイアウトを心がけます。見出しを効果的に使い、文章が詰まりすぎないように適度な句読点を入れます。また、自分の強みとなる経験やスキルが、応募先企業の求めている要件とマッチしているかを再確認し、必要に応じて強調するポイントを調整します。企業ごとにカスタマイズされた職務経歴書を作成することが、書類選考通過への近道となります。





