履歴書に「子供がいること」はどう書く？採用担当者を安心させる書き方と例文集

子育て中の転職活動において、履歴書の作成時に迷うのが「子供がいることをどう書くか」という点です。「書くと採用に不利になるのではないか」「書かないと入社後に迷惑をかけるのではないか」と不安に思う方は少なくありません。

結論から言えば、子供がいること自体は隠すべきことではありません。むしろ、働き方に関する希望や、万が一の時のサポート体制を明確に伝えることで、採用担当者に安心感を与え、入社後のミスマッチを防ぐことができます。

ここでは、履歴書における子供に関する情報の正しい書き方と、状況別にそのまま使える具体的な例文を紹介します。

子供がいることは「扶養家族欄」と「本人希望欄」で伝える

履歴書の中で子供に関する情報を記載する箇所は、主に以下の2つです。

1. 扶養家族数・配偶者欄（事実関係の記載）
2. 本人希望記入欄（働き方や配慮事項の記載）

1. 扶養家族欄の書き方（基本）

JIS規格の履歴書には、「扶養家族数（配偶者を除く）」や「配偶者の有無」「配偶者の扶養義務」を記入する欄があります。ここには事実を正確に数字で記入します。

• 扶養家族数： 自身が経済的に扶養している子供の人数を書きます（共働きで配偶者の扶養に入っている場合は「0」となります）。
• 配偶者： 「有・無」の該当する方を丸で囲みます。

ここでの記載はあくまで「社会保険手続き上の情報」としての意味合いが強く、詳細な育児状況までは伝わりません。

2. 本人希望記入欄の書き方（重要）

採用担当者が合否判断において重視するのは、こちらの欄です。「残業はできるのか」「子供の急病時はどうするのか」「お迎えの時間は何時か」といった具体的な勤務条件に関する情報を記載します。

【状況別】「本人希望記入欄」の書き方と例文

採用担当者の不安（急な欠勤や早退への懸念）を払拭しつつ、こちらの希望条件を誠実に伝えるための例文を状況別に紹介します。

ケース1：フルタイム勤務可能で、サポート体制がある場合

最もアピールになるパターンです。「子供がいる＝制約がある」という先入観を払拭するため、働ける環境が整っていることを強調します。

【例文】

勤務時間につきましては、貴社の規定に従います。

子供がおりますが、近居の実家のサポート体制が整っているため、急な発熱時や残業にも柔軟に対応可能です。業務に支障をきたすことなく、フルタイムで勤務いただけます。

ケース2：時短勤務を希望する場合（お迎えの制限がある）

保育園のお迎えなどで勤務時間に制限がある場合は、正直に書く必要があります。ただし、「できません」と書くだけでなく、「限られた時間で成果を出す」という意欲を添えるのがポイントです。

【例文】

保育園の送迎のため、17時までの勤務（時短勤務）を希望いたします。

限られた時間ではございますが、業務中は集中して効率的に取り組み、貴社に貢献できるよう努めます。なお、子供の急な体調不良の際は、病児保育やファミリーサポートを活用し、業務への影響を最小限に抑える体制を整えております。

ケース3：残業は難しいが、フルタイム勤務は可能な場合

定時まではしっかり働けることをアピールしつつ、残業については「相談ベース」の姿勢を見せると角が立ちません。

【例文】

勤務時間は9:00～18:00のフルタイム勤務を希望いたします。

子供の送迎があるため、原則として定時退社を希望いたしますが、繁忙期や事前の相談をいただける場合は、家族と調整のうえ可能な限り対応させていただきます。

ケース4：土日祝日の勤務が難しい場合（シフト制の職種など）

サービス業や販売職などで、土日の出勤が難しい場合の書き方です。

【例文】

子供の保育園が休園となるため、土日祝日はお休みをいただけますと幸いです。

平日であれば早朝・夕方を含め柔軟にシフトに入ることができます。また、夏休み等の長期休暇中は学童保育を利用するため、通常通り勤務可能です。

ケース5：学校行事などで休みが必要になる可能性がある場合

具体的な頻度を示すことで、採用担当者に「それくらいなら問題ない」と判断してもらいやすくなります。

【例文】

勤務条件は貴社の規定に従います。

子供の学校行事等で、2～3ヶ月に1回程度、有給休暇の取得をご相談させていただく場合がございます。その際は業務に支障が出ないよう、早めの申請と業務調整を徹底いたします。

書く際の注意点と心構え

1. 権利を主張するだけの書き方は避ける

「子供がいるので残業は無理です」「土日は休みます」といった断定的な書き方は、「協力する気がない」と受け取られるリスクがあります。「希望いたします」「ご相談させていただけますと幸いです」といった、謙虚で丁寧な表現を心がけましょう。

2. 「サポート体制」のアピールは強力な武器

採用担当者が最も懸念するのは「急な欠勤」です。「実家の両親」「病児保育」「パートナーとの分担」など、バックアップ体制があることを記載すると、採用のハードルはぐっと下がります。

3. 嘘や隠し事はNG

不利になることを恐れて子供がいることを隠したり、無理な勤務条件で入社したりするのは避けましょう。入社後にトラブルになり、結果として早期退職につながる恐れがあります。ご自身のライフスタイルに合った企業と出会うためにも、誠実に情報を伝えることが大切です。

まとめ

履歴書に子供がいることを書く際は、単なる「制約」として伝えるのではなく、**「働くための準備ができていること」**を示す材料として活用しましょう。

「限られた時間でも生産性を高く保ちたい」「家族の協力体制は整っている」というポジティブなメッセージを添えることで、子育て中の人材ならではの責任感や段取り力をアピールすることができます。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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