履歴書の「志望動機」と「自己PR」の書き方完全ガイド 採用担当者の心を掴む例文集
転職活動において、履歴書は採用担当者との最初の接点となる重要な書類です。中でも「志望動機」と「自己PR」は、応募者の熱意やスキルを伝えるための核心部分であり、書類選考の合否を大きく左右します。
しかし、この二つの違いを明確に理解し、それぞれに何をかけばよいのか悩む方は少なくありません。志望動機と自己PRは、別々のものではなく、互いに補完し合う関係にあります。
ここでは、採用担当者に「会って話を聞きたい」と思わせるための、志望動機と自己PRの書き方のポイント、そしてそのまま参考にできる職種・状況別の例文を紹介します。
志望動機と自己PRの決定的な違いと関連性
まず、この二つの項目の役割を明確に区別することが重要です。混同して書くと、アピールが散漫になり、説得力が弱まってしまいます。
自己PR=「CAN(何ができるか)」
過去の経験や実績に基づき、自分にはどのような強みがあり、入社後にどう貢献できるかを伝える項目です。「自分の能力」を売り込む場所です。
志望動機=「WILL(何をしたいか)」
その企業を選んだ理由と、入社後に実現したいビジョンを伝える項目です。「企業への熱意」と「方向性の一致」を示す場所です。
採用担当者は、この二つを読み比べることで、「能力(CAN)があり、かつ意欲(WILL)が高い人材か」、そして「その能力と意欲が、自社の方向性とマッチしているか」を判断します。したがって、自己PRと志望動機の内容に一貫性を持たせることが、通過率を高める鍵となります。
評価される「自己PR」の書き方と例文
自己PRは、単なる自慢話ではありません。その強みが、応募先企業でどのように役立つかを証明する必要があります。以下の3段構成で文章を組み立てるのが鉄則です。
- 結論: 私の強みは〇〇です。
- 根拠: 前職では〇〇という課題に対し、〇〇を行い、〇〇という成果を出しました(具体的なエピソード)。
- 貢献: この強みを活かし、貴社で〇〇に貢献します。
【営業職】行動力と実績をアピールする例文
私の強みは、目標達成に向けた粘り強い行動力と提案力です。
前職の法人営業では、新規開拓をメインに担当し、月間50件の訪問を自分へのノルマとして課しました。単に訪問するだけでなく、顧客ごとの業界動向をリサーチし、仮説に基づいた提案資料を作成してアプローチを行いました。その結果、成約率を部内平均の1.5倍に引き上げ、昨年度は年間売上目標比120%を達成しました。貴社においても、顧客の課題に深く切り込む提案を行い、事業拡大に即戦力として貢献いたします。
【事務職】正確性と業務改善をアピールする例文
私は、正確な業務遂行能力と、業務効率化を推進する改善力に自信があります。
現職の営業事務では、月間約300件の受発注処理を担当しておりますが、入力ミスによる手戻りを防ぐため、独自のチェックリストを作成し運用しました。その結果、3年間入力ミスゼロを継続しております。また、Excelのマクロを活用して集計業務を自動化し、部署全体の作業時間を月20時間削減しました。貴社においても、正確性と効率性を両立させ、社員の皆様がコア業務に集中できる環境作りに尽力いたします。
【接客・販売職】ホスピタリティと顧客視点をアピールする例文
私の強みは、お客様の潜在的なニーズを汲み取る傾聴力とホスピタリティです。
アパレル販売員として勤務する中で、お客様の言葉だけでなく、表情や視線から「何を探されているか」を察知し、先回りした提案を心がけてきました。あるお客様からは「あなたに選んでもらいたい」と指名をいただき、リピーター獲得数で店舗1位となりました。この「相手の立場に立って考える力」を活かし、貴社の顧客満足度向上とファン作りに貢献したいと考えております。
評価される「志望動機」の書き方と例文
志望動機は、「なぜ他社ではなく、その会社なのか」を明確にする必要があります。企業の強みや独自性と、自分のキャリアビジョンをリンクさせることがポイントです。
- 志望理由: 貴社の〇〇という点に魅力を感じ、志望いたしました。
- 接点: 私の〇〇という経験は、貴社の〇〇という事業で活かせると考えています。
- 決意: 入社後は〇〇として貢献したいです。
【経験者】キャリアアップを目指す場合の例文
貴社が掲げる「顧客の成功を第一に考える」という営業方針と、業界内でも圧倒的な商品開発力に魅力を感じ、志望いたしました。
現職ではルート営業として顧客深耕に努めてまいりましたが、商品の幅が狭く、顧客の課題解決に限界を感じることがありました。貴社の広範なソリューションであれば、顧客の本質的な課題解決が可能であると考えます。これまでに培った信頼関係構築力とヒアリング能力を活かし、貴社のソリューションをより多くの顧客に届け、売上拡大に貢献したいと強く願っております。
【未経験】異職種へキャリアチェンジする場合の例文
前職のアパレル販売で培ったコミュニケーション能力を、より専門的な分野で活かしたいと考え、貴社の営業職を志望いたしました。
販売職では、初対面のお客様と短時間で信頼関係を築くことを得意としておりましたが、貴社の扱う無形商材の営業においては、より深いヒアリングと提案力が求められる点にやりがいを感じております。未経験ではありますが、持ち前の行動力と学習意欲で早期に商品知識を習得し、顧客の課題解決に貢献できる営業担当として成長したいと考えております。
【異業界】職種は同じで業界を変える場合の例文
IT業界の成長性と、貴社が開発する業務効率化ツールの社会貢献性の高さに惹かれ、志望いたしました。
私はこれまで人材業界の営業職として、企業の採用課題に向き合ってまいりましたが、人手不足の解消にはITによる生産性向上が不可欠であると痛感いたしました。業界は異なりますが、法人顧客の経営課題に寄り添う姿勢は共通していると考えております。人材業界で培った課題発見力と折衝力を活かし、貴社のサービスの普及を通じて企業の働き方改革を支援したいと考えております。
志望動機と自己PRに一貫性を持たせる
最後に、作成した志望動機と自己PRを見比べてみてください。この二つに矛盾がないかを確認することが重要です。
例えば、自己PRで「一つのことをコツコツ継続するのが得意」と書いているのに、志望動機で「変化の激しい環境で新しいことに次々挑戦したい」と書かれていれば、採用担当者は「結局どっちが本音なのだろう?」と違和感を覚えます。
- 自己PR: チームワークを大切にし、周囲をサポートする力がある。
- 志望動機: チームで一丸となってプロジェクトを進める貴社の社風に惹かれた。
このように、自分の強み(自己PR)が、志望する会社の環境(志望動機)でこそ最大限に発揮されるという論理構成になっていれば、採用担当者に強い納得感を与えることができます。
履歴書は、あなたという人物の全体像を伝えるものです。項目ごとの完成度を高めるだけでなく、全体を通した一貫性を意識して作成してください。





