履歴書の「趣味・特技」欄を面接の武器にする書き方と例文集
転職活動において、履歴書の「趣味・特技」欄は、志望動機や自己PRに比べて軽視されがちな項目です。「特になし」と書いたり、単語だけで済ませてしまったりする方も少なくありません。
しかし、採用担当者はこの欄を意外と重視しています。なぜなら、応募者の人柄や価値観、ストレス耐性などを知るための重要な手がかりになるからです。また、面接時のアイスブレイク(緊張をほぐす会話)のネタとして活用されることも多々あります。
ここでは、単なる隙間埋めではなく、採用担当者に好印象を与え、面接での会話を弾ませるための「趣味・特技」の書き方と、具体的な例文を紹介します。
採用担当者が「趣味・特技」から読み取ろうとしていること
例文を見る前に、企業側がこの項目で何をチェックしているのかを理解しておきましょう。プロレベルのスキルを求めているわけではありません。
人柄や社風とのマッチング
「休日は何をして過ごしているのか」「何に熱中できるのか」を知ることで、その人の性格や価値観を探ろうとしています。アクティブな社風ならスポーツ好きが好まれるかもしれませんし、コツコツ取り組む業務なら手芸や読書などの趣味が「向いている」と判断される材料になります。
ストレス解消法を持っているか
仕事にはストレスが付き物です。没頭できる趣味を持っている人は、自分なりのリフレッシュ方法を知っており、メンタルヘルスを保つ能力が高いと評価されることがあります。
面接でのコミュニケーションのきっかけ
面接の冒頭で、趣味の話を振られることはよくあります。そこで生き生きと話すことができれば、コミュニケーション能力のアピールになりますし、面接官との共通点が見つかれば一気に距離が縮まります。
評価される書き方の基本ルール
「読書」「映画鑑賞」といった単語だけでは、あなたの個性は伝わりません。以下の構成を意識して、1行から2行程度で記載するのがベストです。
- 趣味・特技の名称(結論)
- 具体的な内容や頻度、実績(補足)
- そこから得たものや仕事への活かし方(アピール)
【ジャンル別】趣味・特技の書き方と例文
それでは、具体的なジャンルごとに、面接で話が広がりやすい例文を紹介します。
1. スポーツ・アウトドア系(体力・チームワーク)
体を動かす趣味は、「体力がある」「健康的」「継続力がある」というポジティブな印象を与えやすいです。
ランニング・ジョギング
「趣味はランニングです。毎週末に10km走ることを3年間継続しており、フルマラソン完走経験もあります。体力と継続力には自信があります。」
チームスポーツ(サッカー・野球など)
「特技はサッカーです。社会人サークルに所属し、月2回の活動を行っています。チームプレーの重要性と、役割を全うする責任感を学びました。」
キャンプ・登山
「趣味はソロキャンプです。限られた道具で快適に過ごすための段取りや、状況に応じた判断力を養うことができ、リフレッシュにもなっています。」
2. 文化・クリエイティブ系(感性・集中力)
手先を使う趣味や創作活動は、「集中力」「丁寧さ」「工夫する力」のアピールに繋がります。
料理
「趣味は料理です。冷蔵庫の余り物で手早く一品を作るのが得意です。段取り良く作業を進める力は、複数の業務を並行する際にも役立っています。」
DIY・ハンドメイド
「特技はDIYです。自宅の棚などを自作しています。完成図をイメージし、寸法を測って正確に製作する工程が好きで、集中力と計画性が身につきました。」
カメラ・写真
「趣味は一眼レフカメラでの撮影です。風景写真を撮るために各地を訪れています。被写体の魅力を引き出すための構図や光の調整など、細部へのこだわりにやりがいを感じます。」
3. 定番の趣味を差別化する書き方
「読書」「映画鑑賞」「旅行」などは多くの人が書くため、埋もれない工夫が必要です。「どんなジャンルか」「どう仕事に役立っているか」を具体的に書きましょう。
読書(ビジネス書・実用書)
「趣味は読書です。ビジネス書を中心に月5冊ほど読んでいます。新しい知識や視点を取り入れ、自身の業務改善に活かすことを習慣にしています。」
映画鑑賞
「趣味は映画鑑賞です。年間50本ほど鑑賞しています。作品の背景や監督の意図を考察し、感想をブログにまとめることで、言語化能力を磨いています。」
旅行
「趣味は旅行です。事前に行程表を作成し、効率よく観光地を回る計画を立てるのが得意です。旅先での予期せぬトラブルにも柔軟に対応できる度胸がつきました。」
4. 仕事に直結しやすいスキル系
PCスキルや語学などは、実務能力の補強材料になります。
プログラミング・PCスキル
「特技はプログラミングです。独学でPythonを学び、業務効率化のための簡単なツールを自作しました。新しい技術を学ぶことに喜びを感じます。」
英会話・語学
「趣味はオンライン英会話です。毎朝30分のレッスンを1年間継続しており、海外旅行で困らない程度の会話が可能です。継続的な学習習慣が身についています。」
避けるべきNGな趣味・特技
正直に書くことは大切ですが、ビジネスの場にふさわしくない内容は避けるべきです。
ギャンブル(パチンコ・競馬など)
金銭トラブルや計画性のなさを懸念される可能性があります。
政治・宗教に関する活動
思想信条は個人の自由ですが、採用判断に予断を与える可能性があるため、履歴書への記載は避けるのが一般的です。
「特になし」や空欄
「意欲がない」「つまらない人」と判断されるリスクがあります。特別なことでなくて構いませんので、散歩やストレッチなど、日常的に行っていることを書きましょう。
嘘や誇張
面接で深掘りされた際に答えられず、信頼を失います。必ず事実に基づいて書いてください。
履歴書のスペースはすべてアピールの場
趣味・特技欄は、あなたの「人間性」を伝える大切なスペースです。
採用担当者に「この人と一緒に働いたら楽しそうだ」「真面目そうな人だ」といったポジティブなイメージを持ってもらえるよう、具体的なエピソードを交えて記載してください。たった数行の工夫が、面接の空気を和ませ、合格への後押しとなることもあります。





