職務経歴書における「目標(キャリアビジョン)」の書き方と職種別例文
職務経歴書を作成する際、「自己PR」や「志望動機」の欄で、入社後の**「目標」や「キャリアビジョン」**について触れることは非常に重要です。
採用担当者は、過去の実績だけでなく、「この人は入社後に何を成し遂げようとしているのか(目標)」「自社の方向性と合致しているか」を見ています。
しかし、「個人の目標を書いてもいいのか?」「どこまで具体的に書けばいいのか?」と悩む方は少なくありません。ここでは、採用担当者に響く目標の書き方と、職種・階層別の具体的な例文を紹介します。
職務経歴書に「目標」を書くべき理由と記載場所
職務経歴書は基本的に「過去の経歴」を説明する書類ですが、そこに「未来の目標」を加えることで、以下の効果が期待できます。
- 入社後の活躍イメージを持たせる「入社したらこうなりたい」というビジョンがある人は、定着率が高く、能動的に働くと判断されます。
- 志望度の高さをアピールするその会社でなければ実現できない目標を語ることで、熱意を伝えられます。
記載する場所は?
一般的な職務経歴書のフォーマットには「目標」という独立した欄はありません。通常は以下の箇所に盛り込みます。
- 自己PRの結び: 「これまでの経験を活かし、〇〇という目標を達成したい」と締める。
- 志望動機の後半: 「貴社に入社後は、〇〇を目指したい」と記述する。
- キャリアプラン欄: 自由記述欄や特記事項がある場合、見出しを作って記載する。
評価される「目標」を書くための3つの鉄則
目標は単なる「願望」であってはいけません。ビジネスパーソンとして評価される目標には、共通するルールがあります。
1. 「Will(やりたいこと)」と「Can(できること)」を繋げる
「私は〇〇がしたいです」という願望だけでは説得力がありません。「これまでの〇〇の経験(Can)を活かして、××を実現したい(Will)」という構成にすることで、実現可能性が高い目標だと認識されます。
2. 「会社への貢献」を主語にする
「スキルアップしたい」「勉強したい」という目標は、受け身(学校的)な印象を与え、マイナス評価になることがあります。「スキルを高めることで、会社の売上に貢献したい」「業務効率化を実現したい」というように、最終的なゴールを会社の利益に設定します。
3. 具体的な「期間」や「数字」をイメージさせる
「頑張ります」ではなく、「1年以内に〇〇を習得し」「3年後にはリーダーとして」など、時間軸や数値を盛り込むと具体性が増します。
【職種別】職務経歴書の「目標」例文集
それでは、職種ごとにそのまま使える例文を紹介します。ご自身の経験に合わせてアレンジして活用してください。
1. 営業職の目標例文
【ポイント】 数字へのコミットメント、顧客との関係構築、組織への波及効果をアピールします。
【短期目標:即戦力としての数字達成】
前職で培った新規開拓営業のノウハウを活かし、入社初年度から目標達成率100%以上を必達します。早期に商材知識を習得し、貴社の主力製品である「〇〇」のシェア拡大に貢献いたします。
【中長期目標:チームを牽引するリーダー】
3年後には、プレイングマネージャーとしてチームを牽引する存在を目指します。個人の数字だけでなく、成功事例のナレッジ共有や若手育成を通じて、組織全体の営業力底上げに貢献したいと考えております。
2. 事務・管理部門の目標例文
【ポイント】 正確性、業務効率化(コスト削減)、プラスアルファの貢献をアピールします。
【業務効率化と組織への貢献】
正確かつ迅速な事務処理を徹底し、営業担当者がコア業務に集中できる環境を整えます。また、前職でのシステム導入経験を活かし、貴社におけるペーパーレス化や業務フローの改善を提案・実行することで、部署全体の残業時間削減と生産性向上に貢献したいと考えております。将来的には経理や労務など幅広い知識を身につけ、バックオフィスのスペシャリストとして組織を支える柱を目指します。
3. ITエンジニア・技術職の目標例文
【ポイント】 技術の習得、品質へのこだわり、ビジネス視点での開発をアピールします。
【技術力によるプロダクト価値の向上】
早期に貴社の開発環境や使用言語(Go, React)を習得し、即戦力として開発プロジェクトに貢献します。単に仕様通りに作るだけでなく、ユーザー視点に立ったUI/UXの改善提案や、保守性の高いコード記述を徹底します。
また、3年以内にはテックリードとして技術選定やアーキテクチャ設計にも携わり、開発チームの技術力向上とプロダクトの安定的成長をリードしたいと考えております。
4. 販売・サービス業の目標例文
【ポイント】 顧客満足度、売上への貢献、店長・マネジメントへの意欲をアピールします。
【顧客満足度の追求と店舗運営】
目の前のお客様一人ひとりに寄り添った接客を実践し、顧客満足度の向上とリピーター獲得に尽力します。また、個人の接客スキルを磨くだけでなく、在庫管理やVMD(売り場作り)など店舗運営の視点を養い、将来的には店長として店舗全体の売上最大化とスタッフ育成に貢献したいと強く志望しております。
【階層別】キャリアステージに合わせた目標の書き方
同じ職種でも、若手とベテランでは求められる目標の視座が異なります。
第二新卒・若手層の場合
【ポイント】 「素直さ」「吸収力」「早期戦力化」を強調します。
未経験の業界ではありますが、前職で培った「粘り強さ」と「行動力」を武器に、先輩方から謙虚に学び、一日も早く自走できる人材になります。まずは「〇〇さんになら任せられる」と言っていただける信頼を積み重ね、定量的・定性的な成果で貴社に貢献いたします。
マネジメント・管理職候補の場合
【ポイント】 「組織課題の解決」「人材育成」「経営視点」を強調します。
プレイングマネージャーとして自ら成果を出しつつ、メンバー一人ひとりの強みを引き出すマネジメントを行い、チーム全体の目標達成を実現します。また、現場の声を経営層へフィードバックし、組織課題の解決や新たな営業戦略の立案にも積極的に関与することで、貴社の事業成長を加速させる一翼を担いたいと考えております。
目標を書く際のNGパターン
最後に、評価を下げてしまう書き方も確認しておきましょう。
- 「勉強させてほしい」: 会社は学校ではありません。学ぶことは手段であり、目的は貢献であることを忘れないでください。
- 「プライベートの充実」: ワークライフバランスは大切ですが、職務経歴書で書くべき「目標」はあくまで仕事上の成果です。
- 「独立したい」: 将来的に独立や起業を考えていても、それを強調しすぎると「すぐに辞めてノウハウだけ持っていくのでは?」と警戒されるリスクがあります(独立支援を推奨している企業を除く)。
目標は、あなたの働くモチベーションの源泉です。
「この会社でなら、こんな活躍ができそうだ」というポジティブな未来を具体的に描き、採用担当者に期待感を抱かせる文章を作成してください。





