派遣社員の職務経歴書例文と書き方 派遣経験を即戦力としてアピールする技術

派遣社員としての勤務経験は、多様な企業文化に触れ、即戦力として現場に適応してきた貴重なキャリアです。しかし、いざ職務経歴書を作成するとなると、派遣元と派遣先のどちらを書くべきか、職歴が多くなりすぎてどうまとめればよいかと悩む方は少なくありません。

採用担当者は、雇用形態に関わらず、あなたが実務でどのようなスキルを発揮し、どのような成果を出せる人物かを見ています。派遣ならではの「環境適応能力」や「専門スキル」を正しく伝えれば、正社員へのステップアップも十分に可能です。

ここでは、派遣社員の経験を魅力的な実績として整理し、書類選考を通過するための書き方のルールと、職種別の具体的な例文について解説します。

派遣社員の職務経歴書における基本ルール

派遣社員の経歴を書く際、最も重要なのは「どこに所属し、どこで働いていたか」を明確にすることです。採用担当者が混乱しないよう、以下の形式を守って記載します。

派遣元と派遣先の書き方

原則として、「派遣元（登録している派遣会社）」と「派遣先（実際に働いた企業）」の両方を記載します。雇用契約は派遣元と結んでいますが、業務内容は派遣先で発生しているからです。

書き方としては、まず「株式会社〇〇（派遣元）より下記企業へ派遣」と記載し、その下に派遣先の企業概要や業務内容を記述します。派遣先企業名は、守秘義務契約などで公開できない場合を除き、可能な限り実名で記載したほうが、どのような環境で働いていたかが伝わりやすくなります。もし実名が出せない場合は、「大手通信機器メーカー」や「東証プライム上場商社」のように、規模や業種がわかるように記載します。

契約満了の記載について

退職理由が契約期間の終了である場合、「契約期間満了により退職」と記載します。これは会社都合に近い理由として扱われるため、ネガティブな印象を与えることはありません。逆に、「一身上の都合」と書くと、契約途中で辞めたのではないかと誤解されるリスクがあるため、満了の場合はその旨を明記することが重要です。

派遣先が多い場合のまとめ方テクニック

派遣社員として長く働いていると、どうしても派遣先の数が増え、職務経歴書が長くなってしまいがちです。すべてを羅列すると読みづらくなる場合は、「キャリア式」というフォーマットを活用します。

キャリア式とは、時系列（編年体式）ではなく、業務内容ごとに経歴をまとめる方法です。例えば、「ファイリング業務」「データ入力業務」「営業アシスタント業務」といった見出しを立て、複数の派遣先での経験を統合して記載します。これにより、転職回数の多さを目立たなくさせつつ、積み上げてきたスキルの深さをアピールすることができます。

職務経歴書 例文 事務職（一般事務・営業事務）

事務職の派遣経験は、即戦力性のアピールに最適です。PCスキルや業務効率化への貢献を具体的に記載します。

職務要約

派遣社員として、大手メーカーや商社など計3社にて、通算5年間の事務業務に従事しました。受発注業務、請求書作成、電話応対など、正確性が求められる業務を遂行するとともに、Excelスキル（VLOOKUP関数、ピボットテーブル）を活用した業務効率化も提案・実行しました。異なる企業文化やシステム環境に即座に適応し、即戦力として貢献できる柔軟性が強みです。

職務詳細

期間

20XX年4月 から 20XX年3月まで

派遣元

株式会社〇〇スタッフィング

派遣先

株式会社△△（電子部品メーカー／従業員数500名）

担当業務

営業部における受発注処理（専用システム使用、月間約300件）

見積書、請求書、納品書の作成および発送

顧客からの電話応対（1日平均30件）、来客対応

営業会議用資料の作成補助（PowerPoint使用）

実績と取り組み

業務マニュアルの作成

業務フローが属人化していたため、後任者や他の派遣スタッフがスムーズに業務を行えるよう、画面キャプチャを用いたマニュアルを作成しました。これにより、引継ぎ期間を従来の2週間から1週間に短縮しました。

入力ミスの削減

ダブルチェック体制の提案を行い、入力ミスによるトラブルをゼロにしました。

自己PR

私の強みは、新しい環境や業務フローに短期間で順応する適応力です。派遣先ごとに異なる基幹システムやルールがありましたが、常にメモを取り、不明点は即座に確認することで、配属1週間後には独り立ちして業務を遂行してきました。今後は正社員として、腰を据えて貴社の業務効率化に貢献したいと考えております。

職務経歴書 例文 コールセンター・テレオペレーター

コールセンターでの経験は、コミュニケーション能力やストレス耐性の証明になります。

職務要約

通信回線販売代理店のコールセンターにて2年間、派遣社員としてアウトバウンド業務（テレアポ）に従事しました。新規開拓営業として、リスト作成からアポイント獲得までを担当。徹底した行動量とトーク内容の改善により、センター内での月間アポイント獲得数1位を3回達成しました。

職務詳細

期間

20XX年4月 から 現在まで

派遣元

株式会社□□キャリア

派遣先

株式会社◇◇（通信回線販売代理店）

担当業務

法人向けインターネット回線の電話営業（新規開拓）

架電リストの精査および顧客情報のデータ入力

トークスクリプトの改善提案

実績と取り組み

1日平均架電数150件を継続し、月間アポイント目標を12ヶ月連続で達成しました。

断り文句に対する切り返しトーク集を作成し、チーム内で共有することで、部署全体の獲得率向上に貢献しました。

職務経歴書 例文 接客・販売スタッフ

接客業の経験は、ホスピタリティや売上への意識をアピールします。

職務要約

アパレルブランドの店舗にて派遣スタッフとして3年間勤務し、接客販売および在庫管理業務に従事しました。顧客の潜在的なニーズを引き出すヒアリング力を強みとし、個人売上目標を達成し続けました。また、社員が不在の際には新人アルバイトへの指導も行い、店舗運営をサポートしました。

職務詳細

期間

20XX年4月 から 20XX年3月まで

派遣元

株式会社〇〇スタッフ

派遣先

株式会社☆☆（レディースアパレルブランド）

担当業務

店頭での接客販売、コーディネート提案

レジ会計、ラッピング、商品のお渡し

商品の検品、品出し、在庫管理、棚卸し

実績と取り組み

セット販売（クロスセル）を強化し、客単価を店舗平均より10パーセント向上させました。

顧客管理を徹底し、新作入荷時の連絡を行うことでリピーター獲得に努めました。

正社員を目指す場合の自己PRのポイント

派遣から正社員への転職を目指す場合、採用担当者が懸念するのは「責任のある仕事を任せられるか」「長く定着してくれるか」という点です。これを払拭するために、以下の要素を自己PRに盛り込みます。

まず、当事者意識です。派遣だからと言われたことだけをやるのではなく、社員と同様の視点で業務改善に取り組んだエピソードや、チームの目標達成に貢献した実績を伝えます。

次に、定着への意欲です。「正社員になりたいから」という条件面だけでなく、「貴社の事業に深く関わり、長期的な視点でスキルを積み上げたい」という貢献意欲を示すことが重要です。

派遣社員として培った「多様な現場を知る経験」は、変化の激しいビジネス環境において大きな武器となります。自信を持ってこれまでの実績を職務経歴書に表現し、新しいキャリアへの扉を開いてください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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