総務の職務経歴書例文と書き方完全ガイド 書類選考を突破する実務能力のアピール術

総務職は企業の屋台骨を支える重要なポジションであり、その業務範囲は備品管理からファシリティマネジメント、株主総会運営、社内イベントの企画まで多岐にわたります。しかし、営業職のようなわかりやすい売上実績が出にくいため、いざ職務経歴書を作成する段になると、どのようにアピールすればよいか悩む方が少なくありません。

採用担当者は、縁の下の力持ちとしてただ業務をこなすだけでなく、コスト意識を持ち、自発的に組織の課題を解決できる戦略的な総務人材を求めています。

ここでは、総務職の転職において採用担当者の目に留まる職務経歴書の書き方のポイントと、経験者や未経験者、マネジメント層など状況別の具体的な例文を紹介します。

総務職の職務経歴書で採用担当者が見ている3つの評価軸

職務経歴書を作成する前に、企業側が総務職に求めている要素を整理しておくことが大切です。以下の3つの視点を意識して文章を構成することで、成果が見えにくい総務の業務を魅力的な実績として伝えることができます。

ひとつ目は、コスト削減と業務効率化への意識です。

総務は利益を生み出す部署ではありませんが、経費を削減し、社員の生産性を向上させることで利益に貢献できます。消耗品の発注先を見直してコストを下げた経験や、ペーパーレス化を推進して業務時間を短縮した実績などは、経営視点を持った人材として高く評価されます。

ふたつ目は、社内外を円滑につなぐコミュニケーション能力と調整力です。

他部署からの依頼やクレームに対応したり、ビル管理会社や業者と折衝したりと、総務は対人業務の連続です。板挟みになる場面でも冷静に対応し、周囲と協力して物事を進める調整力は必須のスキルです。

みっつ目は、守りの要としてのリスク管理能力です。

契約書の管理や防災対策、コンプライアンス遵守など、企業の守りを固める役割も担います。ミスが許されない業務において、どのようなチェック体制を構築し、リスクを未然に防いできたかというエピソードは信頼感に繋がります。

総務実務経験者の職務経歴書例文

ここでは、総務の実務経験がある方向けの例文を紹介します。幅広い業務の中から、特にコスト削減と環境整備の実績を強調する構成にしています。

職務要約

大学卒業後、従業員数150名規模のメーカーにて5年間、総務担当として従事しました。備品管理や施設管理といった定型業務に加え、オフィスのレイアウト変更プロジェクトや、経費削減のための業者選定見直しを主導しました。また、社内規定の改定や防災訓練の企画運営など、組織のリスク管理にも携わりました。これまでの経験で培った調整力と改善提案力を活かし、貴社の円滑な組織運営と利益体質の強化に貢献したいと考えています。

職務詳細

期間は20XX年4月から現在まで。

会社名は株式会社〇〇。

事業内容は電子部品メーカー。

従業員数は150名。

担当業務は以下の通りです。

ファシリティマネジメント業務として、オフィスレイアウト変更の企画立案、施工業者との折衝、什器備品の選定および発注を担当しました。

用度品管理業務として、社内消耗品の発注、在庫管理、複合機の管理を行いました。

文書管理業務として、契約書のファイリング、社内規定の改定および周知徹底を行いました。

福利厚生業務として、健康診断の手配、社内イベント（忘年会、社員旅行）の企画運営を担当しました。

リスク管理業務として、防災訓練の実施、備蓄品の管理、衛生委員会の運営を行いました。

実績と取り組み

コスト削減の実現に取り組みました。

消耗品の発注先業者を競合見積もりにより見直し、単価交渉を行った結果、年間約100万円の経費削減に成功しました。また、裏紙利用の徹底やペーパーレス会議の導入を推進し、紙の使用量を前年比20パーセント削減しました。

オフィス環境の改善に取り組みました。

フリーアドレス導入プロジェクトのリーダーとして、社員へのアンケート調査や説明会を実施し、スムーズな移行を実現しました。結果として、他部署間のコミュニケーションが活性化し、社員満足度アンケートの数値向上に寄与しました。

自己PR

私の強みは、現状の業務フローやコスト構造を見直し、企業の利益体質を強化する改善力です。

総務はルーチンワークが多い職種ですが、常に「もっと効率的な方法はないか」「コストを抑える方法はないか」という視点を持って業務に取り組んできました。また、社内のあらゆる部署と関わるポジションだからこそ、相手の立場に立った丁寧なコミュニケーションを心がけ、信頼関係を築くことを大切にしています。貴社においても、攻めの総務として組織の成長を支えたいと考えています。

未経験から総務を目指す場合の職務経歴書例文

営業職や販売職など、異業種から総務へ転職する場合の例文です。実務経験がなくても、前職で培ったポータブルスキル（持ち運び可能な能力）を総務の業務に変換してアピールします。

職務要約

IT商社の法人営業として4年間勤務し、顧客への提案活動および社内調整業務に従事しました。顧客の要望に応えるため、社内の技術部門や法務部門と密に連携を取り、契約締結までのプロセスを円滑に進める調整力を磨きました。営業活動を通じて培った交渉力と、正確な事務処理能力、そして相手の状況を先読みするホスピタリティを活かし、総務職として貴社の社員が働きやすい環境づくりに貢献したいと考えています。

活かせる経験とスキル

社内外との調整力があります。

営業職として、利害関係の異なる顧客と社内各部署の間に入り、納期や契約条件の調整を行ってきました。この経験は、総務における業者対応や他部署との連携業務において必ず活かせると考えています。

正確な事務処理能力とPCスキルがあります。

見積書や契約書の作成、売上データの管理など、数字や権利に関わる重要書類を正確に作成してきました。Excel（VLOOKUP関数、ピボットテーブル）やWord、PowerPointの実務経験があり、即戦力として文書作成やデータ集計が可能です。

自己PR

私は、相手が求めていることを先回りして察知するサポート力に自信があります。

前職では、顧客だけでなく社内メンバーに対しても、円滑に業務が進むよう事前準備や根回しを徹底してきました。総務の実務は未経験ですが、現在は衛生管理者の資格取得に向けて学習を継続しており、知識の習得に励んでいます。持ち前の行動力と調整力を活かし、貴社の縁の下の力持ちとして早期に戦力となれるよう努力いたします。

マネジメント経験者の職務経歴書例文

プレイングマネージャーや管理職候補として応募する場合の例文です。組織全体の生産性向上やリスク管理、部下の育成実績を強調します。

実績と取り組み

バックオフィス業務のDX推進を行いました。

経費精算システムと勤怠管理システムを刷新・連携させ、手入力工数を大幅に削減しました。これにより、部員の残業時間を月平均15時間削減し、本来注力すべき改善業務に時間を割ける体制を構築しました。

リスク管理体制の強化を行いました。

BCP（事業継続計画）の策定を主導し、全社的な防災訓練の実施や安否確認システムの導入を指揮しました。有事の際に即座に対応できるマニュアルを整備し、企業の安定的存続に貢献しました。

人材育成と組織力の底上げを行いました。

部下5名のマネジメントを担当し、業務の属人化を解消するためにマニュアル化と多能工化を推進しました。定期的な1on1ミーティングを実施して部下のキャリア形成を支援し、チーム全体のモチベーション向上に努めました。

書類作成時の注意点と仕上げ

総務職の職務経歴書を作成する際は、以下の点に注意して仕上げを行ってください。

まずは、便利屋という印象を与えないようにすることです。何でもやりますという姿勢は大切ですが、それだけでは専門性が伝わりません。戦略的に環境を整える、コストを管理するといった能動的な表現を使うことで、プロフェッショナルとしての総務像を印象づけます。

次に、具体的な数字を盛り込むことです。みんなが働きやすいように頑張りましたという抽象的な表現ではなく、アンケートの結果や削減した時間、金額など、客観的な事実を添えることで説得力が増します。

最後に、誤字脱字のチェックを徹底することです。総務は社内文書や契約書を扱う部署であるため、書類の正確性は実務能力の一部として厳しく見られます。細部まで注意を払い、信頼される書類を作成してください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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