職務経歴書の「経歴要約」書き方ガイドと職種別・ケース別例文集

職務経歴書の冒頭に位置する「経歴要約（職務要約）」は、採用担当者が最初に目を通す最も重要な項目です。多忙な採用担当者は、この数行を読んだだけで「詳細を読み進めるか、それとも不採用にするか」を判断することさえあります。

つまり、経歴要約はあなたのキャリアの「ダイジェスト版」であり、自分を売り込むための「キャッチコピー」です。

ここでは、書類選考の通過率を高めるための経歴要約の書き方ルールと、職種別・状況別の具体的な例文を紹介します。

採用担当者の心を掴む！経歴要約の基本ルール

評価される経歴要約には、共通する「型」があります。以下の3つのポイントを押さえて構成することで、誰でも説得力のある文章を作成できます。

1. 文字数は「200文字〜300文字」が目安

長すぎると読む気を削ぎ、短すぎると熱意やスキルが伝わりません。A4用紙の職務経歴書において、3行から5行程度に収まる分量が読みやすく、好印象を与えます。

2. 「誰に・何を・どうして・どうなった」を含める

単に「営業をしていました」だけでは不十分です。

• 誰に： どのような顧客層に対し（法人・個人・業界など）
• 何を： どのような商材・サービスを
• どうして： どのような役割・工夫で（新規開拓・深耕・マネジメントなど）
• どうなった： どのような成果が出たか（売上・達成率・改善実績など）

この要素を組み込むことで、具体的な実務能力が伝わります。

3. 「客観的な数字」で実力を証明する

「貢献しました」「頑張りました」という定性的な表現ではなく、「売上昨対比120％」「作業時間を月10時間削減」など、客観的な数字を用いることで、スキルのレベル感を明確に伝えます。

【職種別】経歴要約のそのまま使える例文

ご自身の希望職種に近いものを参考に、具体的な数値やエピソードを調整して活用してください。

営業職の経歴要約 例文

【ポイント】 取り扱い商材、顧客タイプ、実績（達成率や順位）を明確にします。

大学卒業後、5年間にわたり食品専門商社にて法人営業に従事してまいりました。主に大手スーパーマーケットや量販店を担当し、既存顧客へのルートセールスに加え、年間10社の新規開拓を行いました。顧客の購買データを分析した提案営業を徹底し、2023年度には部内トップとなる売上目標比120％（年間売上1億円）を達成いたしました。これまでに培った関係構築力と提案力を活かし、貴社の事業拡大に即戦力として貢献したいと考えております。

事務職（一般事務・営業事務）の経歴要約 例文

【ポイント】 業務範囲の広さ、処理スピード、業務改善への取り組みをアピールします。

IT企業にて4年間、営業事務として営業担当者15名のサポート業務に従事しました。受発注処理（月間約300件）、請求書発行、納期管理などの基幹業務に加え、営業資料の作成補助を担当しました。正確かつ迅速な処理を心がけるとともに、Excelのマクロを活用した集計フォーマットの改善を提案し、部署全体の月次作業時間を約10時間削減することに成功しました。正確な事務処理能力と業務改善の視点を活かし、貴社のバックオフィスを支える存在として貢献いたします。

ITエンジニア（SE・PG）の経歴要約 例文

【ポイント】 開発環境、担当フェーズ、プロジェクト規模を具体的に記載します。

SIerにて6年間、Webアプリケーション開発エンジニアとして従事しました。主にJavaおよびPHPを用いた金融系基幹システムの開発において、要件定義から設計、実装、テストまでの一連の工程を経験しました。直近のプロジェクト（メンバー20名規模）では、サブリーダーとして5名のメンバーの進捗管理やコードレビューを担当し、スケジュールの遅延なくプロジェクトを完遂させました。技術力だけでなく、顧客折衝で培ったコミュニケーション能力を活かし、貴社の開発プロジェクトに貢献したいと存じます。

販売・サービス業の経歴要約 例文

【ポイント】 店舗規模、個人の売上実績、マネジメント経験を強調します。

アパレルブランド「〇〇」にて3年間、接客販売および店舗運営業務に従事しました。顧客一人ひとりのライフスタイルに合わせた提案接客を徹底し、個人売上目標を12ヶ月連続で達成しました（店舗内売上1位）。また、副店長としてスタッフ5名の育成や在庫管理、VMD（売り場作り）も担当し、昨対比110％の店舗売上達成に貢献しました。販売職で培った傾聴力と目標達成への執着心を活かし、貴社の営業職として貢献したいと考えています。

【ケース別】状況に応じた書き方のテクニック

転職回数が多い場合や、未経験職種へ挑戦する場合など、状況に合わせた書き方のコツを紹介します。

転職回数が多い場合の書き方

【コツ】 すべての社名を羅列するのではなく、キャリアの一貫性（軸）や、直近の経験を強調します。

これまで一貫して「顧客の課題解決」を軸に、販売職、コールセンター、法人営業と、顧客接点のある業務に10年間従事してまいりました。

直近の株式会社〇〇では、これまでの経験で培ったヒアリング能力と提案力を活かし、ITソリューションの法人営業として新規開拓を担当しました。多様な業種・職種の経験があるからこそ、多角的な視点でお客様のニーズを汲み取り、最適な提案ができることが私の強みです。これまでの経験を総動員し、貴社に貢献いたします。

未経験職種へキャリアチェンジする場合の書き方

【コツ】 前職の経験の中から、応募職種でも活かせる「ポータブルスキル（持ち運び可能な能力）」を抽出してアピールします。

前職では携帯電話販売店のスタッフとして3年間勤務し、接客販売および店舗運営のサポートを行ってまいりました。お客様の潜在的なニーズを引き出すヒアリング力と、目標数字に対するコミットメントを磨き、エリア内での顧客満足度No.1を獲得しました。

事務職は未経験ですが、販売職で培った「相手の立場に立って先回りするホスピタリティ」と「正確な金銭・在庫管理能力」は、社内外の調整役となる事務業務においても必ず活かせると確信しております。現在はMOS資格取得に向けてPCスキルも習得中です。

ブランク（離職期間）がある場合の書き方

【コツ】 ブランクを感じさせない意欲や、その期間の経験をポジティブに伝えます。

大学卒業後、一般事務として5年間勤務し、正確なデータ入力や書類作成スキルを身につけました。出産・育児による3年間のブランクがありますが、その間も社会との接点を持ち続けたいと考え、PTA役員として広報誌の作成や行事運営に携わり、パソコンスキルや調整力を維持・向上させてまいりました。

久しぶりの復職となりますが、仕事に対する責任感と事務処理能力には自信があります。限られた時間の中で効率的に成果を出し、貴社の業務に貢献したいと強く志望しております。

最後に：推敲時のチェックリスト

書き上げた経歴要約は、以下のポイントで最終チェックを行いましょう。

• 文字数は適切か？（短すぎず、長すぎず200～300文字程度か）
• 具体的な数字が入っているか？（実績や規模感が伝わるか）
• 応募企業で活かせるスキルが含まれているか？（相手が求めていることとマッチしているか）
• 敬体（です・ます調）で統一されているか？（職務経歴の詳細は「である調」でも良いが、要約は丁寧な印象を与える「です・ます調」が一般的）

経歴要約は、あなたのキャリアへの「自信」と「提供できる価値」を宣言する場所です。

読み手である採用担当者の視点に立ち、会って話を聞いてみたいと思わせる魅力的な要約を作成してください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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