経理の職務経歴書 例文と書き方完全ガイド 書類選考を突破する実務能力のアピール術
経理職は専門性が高く、企業の経営基盤を支える重要なポジションです。そのため、採用担当者は「即戦力としてどの業務まで任せられるか」を職務経歴書からシビアに判断しています。
「経験はあるけれど、どう書けば評価されるか分からない」「ルーチンワークばかりでアピールポイントが見つからない」と悩む方も多いのではないでしょうか。
ここでは、経理職の転職において採用担当者が重視する評価ポイントと、実務経験を魅力的に伝えるための書き方、そして経験者・未経験者別の具体的な例文を紹介します。
経理の職務経歴書で採用担当者が見ている3つの評価軸
経理の仕事は多岐にわたります。日次業務から決算、税務、開示まで、あなたのスキルレベルを正確に伝えるためには、以下の3つのポイントを意識して記載することが重要です。
1. 担当業務の「範囲」と「深さ」
単に「経理業務全般」と書くのはNGです。
「月次決算は一人で完結できるか」「年次決算は補助か主担当か」「税務申告書の作成経験はあるか」「連結決算や開示資料(有価証券報告書など)の経験はあるか」など、どこまでを自分の責任で行えるかを明確にします。
2. 勤務していた企業の「規模」と「環境」
経理の業務内容は、会社の規模によって大きく異なります。
- 上場企業か非上場か(会計基準や監査対応の有無)
- 売上規模、従業員数(処理する伝票量や管理の複雑さ)
- 使用していた会計ソフト(勘定奉行、SAP、freeeなど)
これらの情報は、あなたのスキルが応募先企業で再現できるかを判断する重要な材料となります。必ず具体的な数字や固有名詞で記載してください。
3. 業務改善と正確性への取り組み
経理は正確であることが大前提ですが、それだけではプラス評価になりにくい側面があります。
「決算早期化のためにフローを見直した」「システム導入を主導して工数を削減した」「経費精算のミスを減らすマニュアルを作成した」など、コスト意識や業務効率化への貢献をアピールすることで、市場価値の高い人材として評価されます。
【例文1】経理実務経験者の職務経歴書(決算担当レベル)
年次決算までの一連の流れを経験している方向けの例文です。即戦力性をアピールするために、担当業務のフェーズを明確にし、業務改善の実績を強調します。
職務要約
大学卒業後、中堅専門商社(従業員数300名)の経理部にて5年間従事しました。日次業務からスタートし、現在は月次決算の取りまとめおよび年次決算の主担当として、税理士対応や監査法人対応を行っています。また、経費精算システムの入れ替えプロジェクトをリーダーとして推進し、月次決算の3営業日短縮を実現しました。日商簿記2級保有。
職務詳細
期間: 20XX年4月~現在
会社名: 株式会社〇〇(専門商社/非上場)
資本金: 5,000万円 売上高: 50億円 従業員数: 300名
使用ソフト: 勘定奉行、楽楽精算、Excel(VLOOKUP, Pivot, SUMIFなど)
【担当業務】
- 年次決算業務(主担当)
- 決算整理仕訳の計上、財務諸表(B/S, P/L, C/F)作成
- 計算書類および附属明細書の作成
- 顧問税理士との折衝、税務申告書作成補助(法人税、消費税)
- 月次決算業務
- 月次試算表作成、予実管理・差異分析レポート作成
- 取締役会資料の作成および報告
- 日次・その他業務
- 売掛金・買掛金管理、入出金管理、資金繰り表作成
- 固定資産管理、償却資産税申告
- 監査法人対応(定例監査の資料準備、質疑応答)
【実績・取り組み】
- 決算早期化の実現(月次決算:10営業日→7営業日)経費精算システム(楽楽精算)の導入を主導し、仕訳入力の自動化を行いました。これにより手入力の工数とミスを削減し、月次決算の早期化に貢献しました。
- マニュアル整備による属人化の解消担当者しか分からなかった固定資産管理業務の手順書を作成し、部内で業務を標準化しました。
自己PR
私の強みは、正確な実務遂行能力と、現状に満足しない改善意欲です。
数字の正確性を担保することはもちろん、経営層が迅速な意思決定を行えるよう、月次データの早期確定と分かりやすいレポート作成に注力してきました。また、システム導入などの新しい取り組みにも抵抗なく、周囲を巻き込んで業務フローを最適化することができます。貴社においても、経理体制の強化と業務効率化に即戦力として貢献いたします。
【例文2】未経験・経験が浅い方の職務経歴書(アシスタント・ポテンシャル)
実務経験が少ない場合や未経験の場合は、簿記などの資格(知識)、PCスキル、そして前職で培った「正確性」「責任感」などのポータブルスキルをアピールします。
職務要約
これまで3年間、食品メーカーの営業事務として、受発注処理や請求書発行、売上管理業務に従事してまいりました。数字を扱う業務において「ミスゼロ」を徹底し、正確でスピーディーな処理能力を磨きました。現在、日商簿記2級を取得しており、経理職としてのキャリアを築くべく、実務知識の習得に励んでおります。
職務詳細
期間: 20XX年4月~20XX年3月
会社名: △△食品株式会社
担当業務: 営業事務および経理アシスタント業務
【活かせる経験・スキル】
- 正確な事務処理能力月間約300件の請求書発行業務を担当。ダブルチェックの徹底と独自のチェックリスト運用により、在籍期間中の請求ミスゼロを達成しました。この正確性は経理業務においても活かせると考えています。
- PCスキル(Excel活用)VLOOKUP関数やピボットテーブルを使用して売上集計表を作成し、部署内の計数管理を効率化しました。新しい会計ソフトの操作も早期に習得可能です。
- 保有資格
- 日商簿記検定2級(20XX年X月取得)
- MOS Excel Expert
自己PR
私は、地道な作業であってもコツコツと正確に取り組む継続力と責任感に自信があります。
前職では営業事務として、数字のズレが決して許されない環境で業務を行ってきました。経理の実務は未経験ですが、簿記2級の知識をベースに、仕訳や小口現金管理などの基礎業務から確実に習得し、早期に戦力となれるよう努力いたします。正確な業務遂行を通じて、貴社の経理部門を支える存在になりたいと強く志望しております。
採用担当者に響く「自己PR」の書き方ヒント
経理の自己PRでよく使われるキーワードと、それを効果的に伝えるための視点を紹介します。
- 「正確性」をアピールする場合単に「正確です」と言うだけでなく、「ミスを防ぐためにどのような工夫(チェック体制、ツール活用など)をしているか」を具体的に書きます。
- 「スピード」をアピールする場合「期限を遵守するために、どのようにスケジュールを管理し、優先順位をつけているか」を伝えます。
- 「コミュニケーション能力」をアピールする場合経理は現場社員への経費精算の督促や、税理士・監査法人との折衝など、対人スキルも重要です。「専門用語を使わずに分かりやすく説明した」「相手の状況に配慮して依頼した」といったエピソードが有効です。
提出前の最終チェックリスト
書き上げた職務経歴書を提出する前に、以下の項目を必ず確認してください。
- 数字に間違いはないか(売上規模、経験年数など)
- 具体的なソフト名やツール名は入っているか
- 「〜を担当」だけでなく「どの程度(主担当/補助)」かが分かるか
- 誤字脱字はないか(経理職においてケアレスミスは致命的です)
経理職の職務経歴書は、あなたの「実務能力」を証明する仕様書です。
曖昧な表現を避け、事実と数字に基づいて具体的に記載することで、採用担当者に安心感と期待感を与える書類を作成してください。





