介護職の職務経歴書 例文と書き方完全ガイド 書類選考を突破するアピール術
介護業界は人材ニーズが高い売り手市場と言われていますが、条件の良い施設や人気の事業所となると競争率は高くなります。採用担当者に「会ってみたい」と思わせるためには、資格の有無だけでなく、実務経験の中身や人柄、仕事への姿勢を職務経歴書で効果的に伝える必要があります。
ここでは、介護職の転職において採用担当者が重視するポイントを押さえた職務経歴書の書き方と、経験者・未経験者それぞれの状況に合わせた具体的な例文を紹介します。
介護職の採用担当者が重視する3つの評価ポイント
職務経歴書を作成する前に、採用側がどのような情報を求めているかを整理しましょう。介護現場では、以下の3つの要素が特に重視されます。
1. 経験した施設形態と業務の幅
特別養護老人ホーム、デイサービス、訪問介護など、施設形態によって業務内容は大きく異なります。また、身体介助だけでなく、レクリエーションの企画や送迎業務、看取りケアの経験など、どこまで対応できるかという「業務の幅」が即戦力としての評価に繋がります。
2. 施設の規模と利用者様の状況(数値化)
「介護業務全般」と書くだけでは、忙しさや難易度が伝わりません。
- 入所定員数や居室数
- 利用者様の平均介護度
- 認知症の方の割合
- 夜勤の体制や回数これらを具体的な数字で示すことで、あなたがどの程度の環境でスキルを磨いてきたかが客観的に伝わります。
3. コミュニケーション能力と協調性
介護はチームケアです。職員同士の連携はもちろん、利用者様やご家族との信頼関係を築くコミュニケーション能力は必須スキルです。リーダー経験や新人指導、委員会活動(事故対策委員など)への参加実績は、協調性と責任感の証明になります。
【経験者向け】介護職の職務経歴書 例文
実務経験がある場合は、即戦力であることを証明するために、具体的な業務内容と役割を詳細に記載します。
職務要約
介護福祉士として5年間、特別養護老人ホーム(入所定員100名)にて勤務しました。平均介護度4.0の重度化対応が必要な環境下で、食事・入浴・排泄介助などの身体介護に加え、看取り介護にも従事しました。また、3年目からはフロアリーダーとしてスタッフ5名のマネジメントやシフト作成を担当し、チームケアの質向上に努めました。
職務詳細
期間: 20XX年4月~現在
勤務先: 社会福祉法人〇〇会 特別養護老人ホーム△△
施設概要: 入所定員100名(ショートステイ10名)、従来型個室
利用者様: 平均介護度 4.0、認知症利用者割合 約80%
【担当業務】
- 身体介護全般: 食事介助、入浴介助(機械浴・個浴)、排泄介助、移乗・移動介助
- 夜勤業務: 月4~5回担当(2名体制)、巡視、安否確認、緊急時対応
- 生活支援: 居室清掃、リネン交換、口腔ケア
- その他: レクリエーション企画・運営、介護記録作成(タブレット使用)、ご家族への報告・連絡
【役割・実績】
- 看取り介護の実践:ご本人とご家族の意向を尊重したケアプランに基づき、多職種(医師・看護師・相談員)と連携して年間約10名の看取りケアを担当しました。
- 事故防止委員としての活動:ヒヤリハット報告の分析を行い、転倒リスクを減らすための環境整備(手すりの位置調整など)を提案・実施しました。その結果、担当フロアでの転倒事故を前年比20%削減しました。
- 新人指導(プリセプター):新人職員2名の指導担当として、業務マニュアルの整備とメンタルフォローを行い、早期の単独勤務開始をサポートしました。
自己PR
私の強みは、利用者様の些細な変化に気づく「観察力」です。言葉で訴えることが難しい利用者様であっても、表情や食事量、睡眠状況の変化から体調不良や要望を察知し、看護師へ迅速に連携することを徹底してきました。貴施設においても、安全で安心できるケアを提供するとともに、チームの中核として貢献したいと考えています。
【未経験者向け】異業種から介護職へ転職する場合の例文
未経験の場合は、前職で培った「ポータブルスキル(接客力、体力、責任感など)」を介護の仕事にどう活かせるかをアピールします。
職務要約
飲食店にて3年間、ホールスタッフとして接客および店舗運営業務に従事しました。幅広い年齢層のお客様に対し、細やかな気配りと笑顔での対応を心がけてまいりました。祖母の介護を手伝った経験から介護職を志し、現在は介護職員初任者研修の資格を取得済みです。接客業で培った体力とホスピタリティを活かし、利用者様に寄り添ったケアを実践したいと考えています。
活かせる経験・スキル
- コミュニケーション能力:飲食店での接客経験を通じ、お客様の要望を先回りして察知し行動する力を身につけました。利用者様やご家族との円滑な関係構築に活かせると考えています。
- 体力と精神力:繁忙期の立ち仕事や長時間勤務を経験しており、体力には自信があります。介護現場においても、粘り強く業務に取り組むことができます。
- チームワーク:スタッフ間の連携を重視し、声を掛け合いながら業務を進めることができます。
自己PR
私は「相手の立場に立って行動すること」を大切にしています。前職では、常連のお客様の好みを記憶したり、高齢のお客様には聞き取りやすい声でゆっくり話したりするなどの工夫を行ってきました。介護の技術はこれから学びますが、利用者様一人ひとりに敬意を持って接し、心の通ったケアができるよう努力いたします。一日も早く戦力となれるよう、誠実に業務に取り組みます。
【リーダー・管理者向け】キャリアアップを目指す場合の例文
管理者やサービス提供責任者などを目指す場合は、マネジメント実績や数値管理能力を強調します。
実績・取り組み(抜粋)
- 業務効率化による残業削減:記録業務のICT化(音声入力ソフトの導入)を提案し、スタッフ一人当たりの記録時間を1日30分短縮しました。これにより残業時間を削減し、利用者様と関わる時間を増やすことに成功しました。
- 稼働率の向上:相談員と連携して地域のケアマネジャーへの営業活動を強化し、施設の稼働率を90%から98%へ向上させました。
- スタッフ定着率の改善:定期的な個人面談を実施し、スタッフの悩みやキャリア希望をヒアリングする機会を設けました。風通しの良い職場づくりに努めた結果、直近2年間の離職率ゼロを達成しました。
採用担当者の心を掴むための作成ポイント
最後に、職務経歴書全体の質を高めるためのポイントをまとめます。
専門用語と一般的な言葉のバランス
「ADL(日常生活動作)」「褥瘡(じょくそう)」「嚥下(えんげ)」などの専門用語は、正しく使うことで知識の証明になります。ただし、採用担当者が事務長などの場合もあるため、読みやすさを意識して構成しましょう。
具体的なエピソードを添える
「認知症ケアが得意です」と書くだけでなく、「帰宅願望のある利用者様に対し、否定せずにお話を傾聴し、一緒にお茶を飲むことで落ち着いていただけた」といった具体的なエピソードを添えることで、あなたのケアの姿勢が伝わります。
保有資格は正式名称で記載する
- 介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)
- 介護福祉士実務者研修(旧ホームヘルパー1級)
- 介護福祉士
- ケアマネジャー(介護支援専門員)
- 普通自動車第一種運転免許(送迎業務がある場合に重要)
介護職の職務経歴書は、あなたの「技術」と「心」を伝える書類です。これまでの経験を丁寧に棚卸しし、自信を持ってアピールしてください。





