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職務経歴書の転職理由で失敗しないための書き方とケース別例文集

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転職活動において職務経歴書は自身の実務能力をアピールする書類ですが、採用担当者が密かに注目しているのが転職理由です。なぜ前の会社を辞めたのか、なぜ今転職するのかという理由は、定着性や働く目的意識を判断する重要な材料になるからです。しかし、本音の退職理由は給与への不満や人間関係の悩みなど、ネガティブなものであることが大半です。これらをそのまま伝えてしまっては書類選考を通過することは難しくなります。ここではネガティブな理由をポジティブな志望動機へと変換し、採用担当者に納得感を与える転職理由の書き方と例文を紹介します。

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転職理由を職務経歴書に書く際のマインドセット

まず前提として、職務経歴書の経歴欄(時系列の表)には一身上の都合により退職、会社都合により退職と記載するのが基本です。しかし、自己PRや志望動機の欄、あるいは特記事項として転職理由を補足する際には、詳細な背景を説明する必要があります。ここで重要なのは、不満を解消するための転職(逃げ)ではなく、実現したいことがあるための転職(攻め)であると印象づけることです。過去の不満を未来の希望に変換する作業が、評価される転職理由を作る第一歩となります。

ネガティブをポジティブに変換する3つの法則

採用担当者に好印象を与えるためには、以下の3つの法則を意識して文章を構成します。

1.他責にしない

会社が悪かった、上司が悪かったという他責思考は避けます。環境のせいにするのではなく、自分のキャリアプランと現職の環境にズレが生じたという客観的な事実として伝えます。

2.目的志向で語る

嫌だから辞めるのではなく、〇〇がしたいから辞めるという目的志向で語ります。前の会社では実現できなかったことが、応募先の企業なら実現できるという論理構成にします。

3.一貫性を持たせる

退職理由と志望動機に矛盾がないようにします。たとえば、残業が嫌で辞めたのに、激務が予想されるベンチャー企業に応募しても説得力がありません。自分の価値観と応募企業の風土が合致していることを示します。

【ケース別】そのまま使える転職理由の例文

それでは具体的なシチュエーション別に、職務経歴書の志望動機欄や自己PR欄に盛り込むための例文を紹介します。ご自身の状況に近いものをアレンジして活用してください。

ケース1 給与や待遇への不満が理由の場合

給与が安いという直接的な表現は避け、成果が正当に評価される環境を求めているという意欲に変換します。

例文

現職では年功序列の風土が強く、個人の成果が評価や報酬に反映されにくい環境にありました。私は営業職として、自身の成果が明確に評価される環境でモチベーション高く働きたいと強く考えております。貴社は実力主義を掲げ、社員の成果に対して公平な評価制度を導入されていると伺いました。これまでの経験で培った新規開拓力を活かし、数字で貢献することで正当な評価をいただける環境で挑戦したいと思い、志望いたしました。

ケース2 人間関係や社風が合わない場合

人間関係のトラブルには触れず、チームワークや組織体制への考え方を重視する姿勢に変換します。

例文

現職は個人の裁量が大きい一方で、チームでの連携や情報共有が希薄な環境でした。私は個人の力だけでなく、チームで協力し合うことでより大きな成果を生み出したいと考えております。貴社の社員一丸となってプロジェクトを推進するチームワーク重視の姿勢や、活発なコミュニケーションが行われる社風に魅力を感じました。周囲と協調しながら組織全体の目標達成に貢献したいと考え、転職を決意いたしました。

ケース3 残業が多い・激務である場合

楽をしたいという印象を与えないよう、生産性や効率性を重視したいというビジネス視点に変換します。

例文

現職では長時間労働が常態化しており、業務効率や生産性の向上が課題となっていました。私は限られた時間の中で最大の成果を出すことこそがプロフェッショナルであると考えております。貴社が推進されているDXによる業務効率化や、メリハリのある働き方に強く共感いたしました。効率的に業務を遂行し、自己研鑽の時間も確保することで、常に高いパフォーマンスを発揮し続けたいと考え、志望いたしました。

ケース4 仕事内容に飽きた・やりがいがない場合

飽きたという表現は避け、スキルの幅を広げたい、より高度な業務に挑戦したいという成長意欲に変換します。

例文

現職では5年間にわたり一般事務として定型業務を正確に遂行してまいりました。業務を通じて正確性やスピードを高めることができましたが、今後はより専門的なスキルを身につけ、事業への貢献度を高めたいという思いが強くなりました。貴社の営業事務職は、計数管理や顧客対応など幅広い業務を任せていただけると伺っております。これまでの経験を活かしつつ、新たな業務にも積極的に挑戦し、自身のキャリアの幅を広げていきたいと考えております。

ケース5 会社の将来性に不安がある場合

不安という言葉は使わず、成長産業や新しいビジネスモデルに挑戦したいという前向きな姿勢に変換します。

例文

現職の業界は市場が成熟しており、現状維持を優先する経営方針でした。私は変化の激しい現代において、常に新しい価値を創造し続ける成長企業で自身の力を試したいと考えております。貴社が展開されている〇〇事業は、今後ますますの成長が見込まれる分野であり、社会貢献度も非常に高いと感じております。成長性のある事業環境に身を置き、会社の拡大とともに自身も成長していきたいと強く志望いたしました。

職務経歴書に記載する際の注意点

転職理由は非常にデリケートな項目です。以下の点に注意して記載してください。

まず、嘘はつかないことです。面接で深掘りされた際に答えられなくなります。事実は事実として認めつつ、伝え方をポジティブに変えることが重要です。

次に、長々と書かないことです。不満を長く書くと愚痴のように見えてしまいます。退職理由はさらりと触れ、志望動機や入社後の貢献イメージに文字数を割くほうが建設的です。

最後に、一身上の都合以外を書く必要があるか検討することです。職務経歴書のフォーマットによっては、退職理由を詳細に書く欄がない場合もあります。その場合は無理に書かず、面接で聞かれたら答える準備をしておく、あるいは志望動機の中で自然に触れる程度に留めるのがスマートです。

過去ではなく未来を語る

採用担当者が知りたいのは、あなたが過去に何に不満を持っていたかではなく、未来に向かってどう活躍してくれるかです。転職理由は、あくまで未来へのステップアップのための動機づけに過ぎません。

職務経歴書全体を通して、前向きな意欲と貢献の可能性を感じさせる内容に仕上げてください。ネガティブな理由をポジティブなエネルギーに変えることができれば、書類選考の通過率は確実に高まります。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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