事務職で「実績がない」は思い込み!採用担当者に響く職務経歴書の書き方と例文
事務職への転職活動において、職務経歴書の作成で最も多くの人がつまずくのが「実績」の欄です。「営業職のように売上の数字があるわけではない」「毎日決まったルーチンワークをこなしていただけで、誇れる成果なんてない」と悩み、筆が止まってしまうことはありませんか。
しかし、事務職において実績がないというのは、多くの場合思い込みに過ぎません。企業の採用担当者は、事務職に対して派手な売上実績だけを求めているわけではないからです。
ここでは、一見地味に見える毎日の事務業務を、採用担当者が高く評価する「立派な実績」へと変換するテクニックと、そのまま参考にできる具体的な例文を紹介します。
事務職における「実績」の正体とは
まず、実績イコール売上アップや利益貢献という固定観念を捨てましょう。事務職の本来の役割は、会社や部署が円滑に回るようにサポートし、正確に業務を遂行することです。したがって、採用担当者は事務職に対して、主に以下の3点を求めています。
- ミスなく業務を完遂する正確性と確実性
- 業務を効率よく進めるスピードと工夫
- 周囲と円滑に連携し、チームを支えるサポート力
つまり、ミスを減らしたこと、作業を早く終わらせたこと、みんなが働きやすい環境を作ったこと、これら全てが事務職における立派な実績になります。特別なプロジェクトリーダーなどの経験がなくても、日々の業務品質の高さこそが最強のアピール材料となるのです。
実績がないを評価される実績に変える3つの変換術
具体的な例文を見る前に、自分の仕事を掘り起こすための3つの視点を押さえておきましょう。
1. 当たり前を数字に変換する
「電話対応をしました」ではなく、「1日何件対応したか」を数えてみましょう。
変換前:電話対応、データ入力業務
変換後:1日平均50件の電話対応、月間約500件の伝票入力処理
数字は客観的な事実です。具体的な数字を示すことで、大量の業務を処理できる基礎能力があるという証明になります。
2. 工夫を業務改善に変換する
「頼まれた資料を作った」ではなく、「早く正確に作るために何をしたか」を思い出しましょう。
変換前:会議資料の作成
変換後:フォーマットを統一し、作成時間を30分短縮。見やすいレイアウトに変更し、会議の進行をスムーズにした。
小さな工夫こそが、事務職における最大の武器である業務改善能力です。
3. 気配りを貢献に変換する
「備品を補充した」ではなく、「皆が困らないように先回りした」と考えます。
変換前:備品管理、発注
変換後:在庫切れを防ぐため発注ルールを見直し、備品不足による業務停滞をゼロにした。
ケース別 そのまま使える職務経歴書の実績例文
それでは、具体的なシチュエーション別に、実績の書き方例文を紹介します。ご自身の経験に近いものをアレンジして活用してください。
ケース1 ルーチンワークが中心の場合
毎日同じ作業の繰り返しだった場合、正確性とスピードを徹底的にアピールします。
業務内容
専用システムへのデータ入力、請求書の作成および発送業務
実績・取り組み
正確性の追求とミスの削減
月間約300件の請求書発行業務において、入力後のセルフチェックに加え、独自のチェックリストを作成し運用しました。その結果、過去2年間において請求ミスゼロを継続し、経理部門の差し戻し工数を削減しました。
ショートカットキー活用によるスピードアップ
データ入力業務において、ショートカットキーや辞書登録機能を積極的に活用しました。チーム平均が1時間あたり50件の処理に対し、約80件の処理スピードを実現し、繁忙期の残業時間削減に貢献しました。
ケース2 庶務や電話対応が中心の場合
誰でもできると思われがちな業務ですが、ホスピタリティと対応件数で差別化します。
業務内容
電話応対、来客応対、備品管理、郵便物の仕分け
実績・取り組み
臨機応変な一次対応と取次ぎ
1日平均40件から50件の代表電話対応を担当しました。単に取り次ぐだけでなく、相手の社名・名前・用件を正確に聞き取り、担当者が不在の場合は優先度を判断してチャットツールで即時報告を行いました。これにより、顧客をお待たせしないスムーズな連携体制に貢献しました。
環境整備による業務効率化
備品や書類の保管場所が煩雑だったため、ラベリングを行い誰が見てもすぐにどこにあるか分かる状態に整理整頓しました。結果、備品探しの時間を短縮し、部署全体の業務効率向上に寄与しました。
ケース3 営業事務やサポート業務が中心の場合
営業担当の補佐をしていた場合、先回りする力とチームへの貢献をアピールします。
業務内容
営業資料の作成補助、スケジュールの確認、見積書作成
実績・取り組み
営業担当者がコア業務に集中できる環境づくり
営業担当者5名のサポートを担当しました。見積書作成や経費精算などの事務作業を巻き取り、営業担当者が商談や顧客対応に集中できる時間を創出しました。その結果、課の売上目標達成を後方から支えました。
情報共有の仕組み化
外出の多い営業担当者との連絡漏れを防ぐため、共有のスケジュール管理シートを導入・運用しました。リアルタイムでの状況把握が可能になり、顧客からの急な問い合わせにも即座に回答できる体制を構築しました。
実績欄を補強する自己PRのつなげ方
職務経歴書の実績欄で具体的なエピソードを書いたら、最後の自己PR欄でそれらを総括します。実績が地味だと感じる場合こそ、自己PRで人柄や仕事へのスタンスを強調しましょう。
正確性を強みにする場合
私は、1円のズレ、1文字のミスも見逃さない正確性に自信があります。上記の実績の通り、独自のチェック体制を築くことで、信頼される事務職として業務を遂行してまいりました。
サポート力を強みにする場合
私は、相手が何を求めているかを先回りして考える察知力を大切にしています。営業担当者やチームメンバーが動きやすいよう、常に一歩先を読んだ準備を行ってまいりました。
継続力を強みにする場合
私は、単調な業務であってもコツコツと改善を積み重ねる継続力があります。日々の業務を当たり前のことと流さず、より良くするための工夫を続けることで貢献したいと考えています。
まとめ
事務職において実績がないということはありません。あなたが毎日当たり前のように行っていた、ミスなく処理したこと、みんなのために準備したこと、少しでも早く終わるように工夫したことは、企業が求めている立派な実績です。
特別なことはしていないと謙遜せず、日々の業務を数字、工夫、貢献という言葉に翻訳して、自信を持って職務経歴書に記載してください。その丁寧な仕事ぶりこそが、採用担当者の心を動かします。





