事務職の職務経歴書における志望動機例文と採用される書き方のコツ

事務職は有効求人倍率が低く、常に多くの応募者が集まる人気の高い職種です。そのため書類選考を通過するためには、採用担当者の目に留まり、会ってみたいと思わせる説得力のある志望動機が必要不可欠です。職務経歴書における志望動機は、単にその会社に入りたい理由を述べるだけでなく、自身の経験やスキルがどのように企業の利益に貢献できるかをアピールする重要なスペースです。ここでは事務職の転職において、採用担当者の心を掴む志望動機の書き方と、状況別の具体的な例文について解説します。

職務経歴書の志望動機が持つ役割とは

履歴書にも志望動機欄はありますが、職務経歴書の志望動機はより具体的で実務的な内容が求められます。履歴書では限られたスペースで要点を簡潔に伝えますが、職務経歴書ではその背景にある具体的なエピソードや、入社後のキャリアビジョンまで踏み込んで記述することができます。採用担当者は職務経歴書の志望動機を通して、応募者が自社の業務内容を正しく理解しているか、そして自社で活躍できるポテンシャルやスキルを持っているかを判断しています。したがって、条件面や待遇面への魅力を語るのではなく、仕事そのものへの意欲と貢献可能性を論理的に伝えることが重要です。

採用担当者に響く志望動機を作る3つの要素

評価される志望動機には共通する構成要素があります。まず一つ目は、なぜその企業を選んだのかという明確な理由です。同業他社ではなく、その会社でなければならない理由を、企業の理念や事業内容、独自の強みと結びつけて説明します。二つ目は、これまでの経験で培ったスキルや強みです。事務職に求められる正確性、スピード、コミュニケーション能力、PCスキルなどが、前職のどのような業務を通じて身についたのかを具体的に示します。そして三つ目は、入社後にどのように貢献したいかという未来のビジョンです。自身の強みを活かして、会社の課題解決や業務効率化にどう寄与できるかを提示することで、採用メリットを感じさせることができます。

経験者がさらなるステップアップを目指す場合の志望動機例文

すでに事務職としての経験があり、より専門性の高い業務や幅広い業務に挑戦したい場合の例文です。即戦力であることをアピールしつつ、現状に満足せず成長しようとする意欲を伝えます。

私は現職で3年間、営業事務として受発注業務や請求書発行、納期管理などに従事してまいりました。正確な業務遂行を心がけるとともに、Excelのマクロを活用した業務フローの改善提案を行い、部署全体の残業時間削減に貢献しました。現職ではルーチンワークが中心でしたが、より幅広い業務を通じて事業の成長をバックオフィスから支えたいと考え、貴社を志望いたしました。貴社は少数精鋭で事務職の守備範囲が広く、経理や人事など多岐にわたる業務に携われる点に魅力を感じております。これまでに培った事務処理能力と業務改善の視点を活かし、貴社の円滑な業務運営と組織体制の強化に貢献したいと考えております。

未経験から事務職へキャリアチェンジする場合の志望動機例文

接客業や営業職など、異業種から事務職を目指す場合の例文です。事務職としての実務経験がなくても、前職で培ったポータブルスキル（持ち運び可能な能力）が活かせることを強調します。

私はアパレル販売員として4年間勤務し、接客販売および店舗運営のサポート業務を行ってまいりました。お客様一人ひとりのニーズを汲み取る傾聴力と、混雑時でも臨機応変に対応する柔軟性を磨いてまいりました。また、店舗の在庫管理や売上報告書の作成業務を通じて、数字を正確に扱う重要性と、PCを用いた業務効率化に関心を持ちました。販売職で培ったホスピタリティとコミュニケーション能力は、社内外の調整役となる事務職において必ず活かせると確信しております。現在はMOS資格の取得に向けて学習を継続しており、基本的なPC操作に支障はありません。未経験ではありますが、周囲への気配りと正確な業務遂行を通じて、貴社の社員の方々が働きやすい環境づくりに貢献したいと強く志望しております。

ブランク明けやパートから正社員を目指す場合の志望動機例文

結婚や出産などでブランクがある場合や、パート勤務から正社員としての就職を目指す場合の例文です。働く意欲の高さと、限られた時間の中で効率的に成果を出してきた経験をアピールします。

私は出産を機に一度退職し、その後はパートタイムの事務スタッフとして2年間勤務しておりました。限られた勤務時間の中で最大の成果を出すために、業務の優先順位を明確にし、段取り良く進めることを常に意識してまいりました。子育てがひと段落し、改めて正社員として責任ある仕事に長期的に取り組みたいと考え、転職を決意いたしました。貴社が掲げる地域密着型のサービス展開と、顧客に寄り添う姿勢に深く共感しております。パート勤務で培ったタイムマネジメント能力と、ブランク前も含めた通算7年間の事務経験を活かし、即戦力として貴社の業務を正確かつ迅速にサポートしたいと考えております。

志望動機におけるNG表現と改善のポイント

志望動機を書く際に避けるべき表現があります。よくあるのが、勉強させてほしいという受け身の姿勢です。企業は学校ではないため、学びたいという意欲は大切ですが、あくまで会社に貢献した上で成長するというスタンスが必要です。また、給与や休日などの条件面ばかりを志望理由に挙げるのも避けるべきです。働く環境が良いことは魅力ですが、仕事内容への興味や適性が伝わらなければ採用には至りません。さらに、前の会社の不満を志望動機にすることもマイナス評価につながります。ネガティブな理由はポジティブな転職理由に変換し、前向きな姿勢を示すことが大切です。

自分の言葉で熱意を伝え書類選考を突破する

志望動機は、数ある応募書類の中で唯一、あなたの想いや熱意を自由に表現できる場所です。例文を参考にしつつも、必ず自分自身の言葉で書き換えることが重要です。あなたが実際に経験したエピソードや、企業研究を通じて感じた独自の視点を盛り込むことで、オリジナリティのある志望動機になります。採用担当者はきれいな文章よりも、応募者の本心や人柄が見える文章に心を動かされます。なぜその会社で働きたいのか、自分には何ができるのかを深く掘り下げ、自信を持ってアピールできる志望動機を作成してください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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