営業職の職務経歴書 例文と書き方完全ガイド 採用担当者が会いたくなる実績のアピール術
営業職の転職活動において、職務経歴書はあなたの「営業力」を証明する最初のプレゼンテーション資料です。採用担当者は、書類に記載された数字やプロセスを通じて、「自社の商品を売れる人材か」「目標を達成し続ける力があるか」を見極めようとしています。
しかし、いざ書き始めると「実績の数字をどう見せればいいのか」「ルーチンワークに見える業務をどうアピールすればいいのか」と悩む方も少なくありません。ここでは、法人営業、個人営業、ルート営業など、スタイル別の具体的な例文を紹介しながら、採用担当者の目に留まる職務経歴書の書き方を解説します。
営業職の職務経歴書で採用担当者が見ている2つのポイント
具体的な例文を見る前に、評価の基準を押さえておきましょう。営業職の職務経歴書において、採用担当者が最も重視するのは以下の2点です。
1. 定量的な「実績(数字)」
営業職の成果は数字で表れます。「頑張りました」「貢献しました」という定性的な言葉ではなく、客観的な数値が必要です。
- 売上金額、粗利額
- 目標達成率(予算比、昨対比)
- 社内順位、表彰歴
- 新規開拓件数、成約率
これらの数字があることで、あなたの実力が客観的な事実として伝わります。
2. 再現性のある「プロセス(行動)」
数字と同じくらい重要なのが、「なぜその成果が出せたのか」というプロセスです。たまたま景気が良かったから売れたのではなく、課題を分析し、戦略を立てて実行した結果であることを伝えます。
「ターゲットを〇〇業界に絞り、提案資料を刷新したことでアポ率が向上した」といった具体的な工夫(PDCA)が書かれていれば、採用担当者は「うちの会社でも同じように活躍してくれそうだ」という再現性を感じ取ることができます。
【例文1】法人営業(新規開拓・深耕営業)の職務経歴書
法人営業では、顧客の課題解決能力(ソリューション提案)と、関係構築力が問われます。取引規模や担当業界も具体的に記載しましょう。
職務要約
大学卒業後、5年間にわたりIT商社にて法人営業に従事。主に製造業のクライアントに対し、基幹システムの導入提案を行いました。新規開拓から既存顧客の深耕営業までを担当し、202X年度には部内トップとなる売上達成率120%を記録。顧客の潜在的な経営課題をヒアリングし、解決策を提示するソリューション営業を得意としています。
職務詳細
期間: 20XX年4月~現在
会社名: 株式会社〇〇(従業員数:300名/IT商社)
担当業務:
- 製造業向け生産管理システムの提案営業
- ターゲット選定およびテレアポによる新規開拓
- 既存顧客へのリプレイス提案およびアップセル活動
- 導入後のフォローアップ、定例会の実施
【売上実績】
| 年度 | 目標金額 | 実績金額 | 達成率 | 備考 |
| 2022年度 | 5,000万円 | 5,500万円 | 110% | 新人賞受賞 |
| 2023年度 | 7,000万円 | 8,400万円 | 120% | 全社MVP受賞(営業部50名中1位) |
【工夫した点・プロセス】
- 決裁者へのアプローチ強化:成約までのリードタイムを短縮するため、現場担当者だけでなく決裁権を持つ経営層へのアプローチを徹底。経営課題に直結するコスト削減シミュレーション資料を作成し、提案の質を高めました。
- 失注分析によるトークスクリプト改善:チーム内で失注案件の分析会を主催し、ボトルネックを特定。アポイント時のヒアリング項目を見直した結果、商談化率を15%から25%へ向上させました。
【例文2】個人営業(リテール・不動産・保険など)の職務経歴書
個人営業では、信頼関係構築の速さと、顧客のライフスタイルに寄り添う提案力が重視されます。行動量や紹介獲得数なども有効なアピール材料です。
職務要約
不動産仲介会社にて3年間、個人のお客様を対象とした住宅販売営業を担当。Web反響への対応および来店客への接客を行い、月間平均3件の契約を獲得しました。お客様のライフプランを深くヒアリングすることを重視し、契約後の紹介受注率が高いことが強みです。
職務詳細
期間: 20XX年4月~20XX年3月
会社名: △△不動産販売株式会社
担当業務:
- 新築・中古戸建住宅の仲介営業
- 現地販売会での接客、案内
- 住宅ローン審査の代行業務、契約手続き
- チラシのポスティングおよびWebサイトの物件情報更新
【営業実績】
- 2023年度 通期成約件数:38件(目標30件/達成率126%)
- 紹介受注獲得数:年間8件(店舗平均2件)
【工夫した点・プロセス】
- 潜在ニーズを引き出すヒアリング:「駅から徒歩〇分」といった条件面だけでなく、「休日はどう過ごしたいか」「将来の家族構成は」といった生活背景を深掘りし、お客様自身も気づいていない潜在ニーズを満たす物件を提案しました。
- 徹底したレスポンスの速さ:お客様の不安を解消するため、問い合わせには原則30分以内に一次回答を行うことを徹底。信頼獲得に繋がり、他社競合案件でも選ばれる確率を高めました。
【例文3】ルート営業(既存顧客管理)の職務経歴書
ルート営業では「御用聞き」にならないための提案力や、納期調整などの調整能力、関係維持能力が評価されます。
職務要約
食品卸会社にて4年間、スーパーマーケットや量販店向けのルート営業に従事。担当エリアの約30店舗を巡回し、新商品の案内や売り場作りの提案を行いました。単なる納品業務に留まらず、店舗ごとの客層分析に基づいた販促企画を提案し、担当エリアの売上を前年比115%に伸長させました。
職務詳細
期間: 20XX年4月~現在
会社名: □□食品株式会社
担当業務:
- 既存取引先(スーパー、ドラッグストア)への定期訪問
- 新商品および季節商品の提案、受注活動
- 売り場ディスプレイの提案、POP作成
- 在庫管理、納期調整、クレーム対応
【営業実績】
- 2023年度 担当エリア売上:前年比115%達成
- 重点商品販売コンテスト:エリア3位入賞
【工夫した点・プロセス】
- データに基づく売り場提案:POSデータと気象予報を掛け合わせて需要を予測し、店舗ごとの発注数を提案。欠品による機会損失を防ぐとともに、廃棄ロス削減にも貢献し、店長からの信頼を獲得しました。
- クロスセルによる単価アップ:メイン商材だけでなく、関連商品の「ついで買い」を誘発する陳列を提案。セット販売の強化により、一店舗あたりの受注単価を向上させました。
採用担当者に響く自己PRのキーワード
職務経歴書の最後には自己PR欄を設けます。営業職の自己PRでは、以下のようなキーワードを自身の経験と結びつけると効果的です。
- 行動量と継続力: どんなに断られても足を止めず、目標達成のために行動し続けるタフさ。
- 課題解決力(ソリューション): 顧客の悩みを的確に捉え、自社商品を使って解決に導く論理的思考力。
- 傾聴力と関係構築力: 相手の懐に入り込み、本音を引き出すコミュニケーション能力。
- 情報収集力と分析力: 市場動向や競合情報を分析し、戦略的に動く力。
まとめ:自分の言葉で「営業スタイル」を語る
職務経歴書の例文はあくまで雛形です。最も大切なのは、これらの例文を参考にしつつ、あなた自身の言葉で「自分はどのような営業スタイルで、どのような価値を提供できるのか」を語ることです。
数字という客観的な事実と、そこに至るまでのあなたなりの工夫(プロセス)がセットになって初めて、採用担当者の心を動かす書類になります。これまでの営業活動を振り返り、自信を持って実績をアピールしてください。





