職務経歴書の書き方と採用担当者に響く作成のポイント

転職活動において職務経歴書は、あなたのこれまでの経験とスキルを企業に売り込むためのプレゼンテーション資料です。履歴書が氏名や住所、学歴といった基本情報を伝える書類であるのに対し、職務経歴書は実務能力や仕事への取り組み方を詳細に伝える役割を担っています。

採用担当者は数多くの応募書類に目を通しているため、パッと見た瞬間に内容が理解でき、会ってみたいと思わせる魅力的な書類を作成する必要があります。ここでは書類選考を通過するために押さえておくべき職務経歴書の書き方と、評価を高めるための重要なポイントについて解説します。

職務経歴書の役割と採用担当者の視点

職務経歴書を作成する前に、まず採用担当者が何を求めているかを理解しておくことが大切です。企業側は書類を通じて、応募者が自社で即戦力として活躍できるか、そして長く定着して働いてくれるかを見極めようとしています。

そのため職務経歴書では、単に過去の事実を羅列するのではなく、応募先の企業が求めているスキルや経験と、自身のキャリアがいかにマッチしているかを論理的に説明する必要があります。自分よがりな内容にならず、読み手である採用担当者の視点に立った分かりやすい構成を心がけることが、書類選考突破の第一歩となります。

読みやすさを左右するレイアウトと形式

職務経歴書に決まったフォーマットはありませんが、A4用紙で2枚から3枚程度にまとめるのが一般的です。枚数が多すぎると読む側の負担になり、少なすぎるとアピール不足と捉えられる可能性があります。適切な分量の中に情報を凝縮し、余白や行間を適度に取ることで、視認性の高いレイアウトを目指します。

また、文章だけで埋め尽くすのではなく、見出しを効果的に使い、項目ごとに情報を整理します。フォントは明朝体やゴシック体などのビジネスに適したものを選び、文字サイズも読みやすい大きさに設定します。パソコンで作成することが基本となりますので、誤字脱字のチェックはもちろん、変換ミスやレイアウトの崩れがないか、提出前に必ず確認を行います。

冒頭の職務要約で全体像を伝える

職務経歴書の冒頭には、これまでのキャリアを簡潔にまとめた職務要約を記載します。採用担当者は非常に多忙であるため、最初の数行を読んだだけで応募者の概要を把握できるようにするためです。

ここでは、最終学歴卒業後から現在に至るまでの経歴を、200文字から300文字程度で要約します。どのような業界で、どのような職種を経験し、どのような成果を上げてきたかを端的に伝えます。さらに、自身の強みや得意分野を付け加えることで、その後の詳細な経歴を読み進めてもらうためのフックとしての役割も果たします。

活かせるスキルと知識を明確にする

職務要約の次には、業務で活用できるスキルや知識を記載する欄を設けます。ここでは、応募先企業の業務に直接役立つ能力をピックアップして記載します。

具体的には、語学力やパソコンスキル、保有している資格などを記載します。資格については正式名称で記入し、取得年月も併記します。また、専門的なテクニカルスキルだけでなく、マネジメント経験やコミュニケーション能力、課題解決能力といったポータブルスキルについても触れておくと、幅広い職種での適性をアピールできます。

職務経歴詳細は具体的かつ定量的に書く

職務経歴書の核となるのが、職務経歴の詳細部分です。ここでは在籍していた企業ごとに、担当していた業務内容や実績を詳しく記述します。書き方の形式としては、時系列に沿って記載する編年体式や、直近の経歴から遡って記載する逆編年体式、職務内容ごとにまとめるキャリア式などがありますが、自身のキャリアが最も魅力的に見える形式を選びます。

記述の際は、5W1H（いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように）を意識し、具体的なエピソードを交えます。特に重要なのが、実績を数字で表すことです。売上達成率やコスト削減額、管理していたチームの人数、担当したプロジェクトの規模などを具体的な数値で示すことで、客観的な評価が可能となり、説得力が格段に増します。また、結果だけでなく、その結果を出すためにどのような工夫や努力をしたかというプロセスについても記述することで、仕事への取り組み方をアピールできます。

自己PRで熱意と貢献意欲を伝える

職務経歴書の最後には、自己PR欄を設けます。ここは、経歴やスキルだけでは伝えきれない、あなたの人柄や仕事への熱意、入社後の貢献意欲を自由に表現できるスペースです。

自己PRを作成する際は、応募先企業が求めている人物像と自身の強みが合致していることを意識します。自身の強みを一言で表現した上で、その強みが発揮された具体的なエピソードを添え、最後に入社後その強みをどのように活かして貢献したいかで締めくくります。抽象的な表現は避け、具体的な体験談に基づいた内容にすることで、採用担当者の記憶に残る自己PRとなります。

提出前の最終チェックポイント

すべての項目を書き終えたら、提出前に必ず推敲を行います。誤字脱字がないかはもちろんのこと、入学・卒業年度や在籍期間などの日付に間違いがないかを入念に確認します。履歴書と職務経歴書の内容に矛盾がないかもチェックが必要です。

また、第三者に読んでもらい、客観的な意見をもらうことも有効です。自分では分かりやすいと思っていても、他人が読むと理解しづらい表現や、アピールが弱い部分が見つかることがあります。丁寧なチェックを行い、自信を持って提出できる完成度の高い職務経歴書に仕上げてください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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