ドライバーの転職を成功させる職務経歴書の書き方と採用担当者の視点

物流業界や旅客業界において、ドライバーの需要は常に高い水準にあります。しかし、好条件の求人や大手企業への転職を目指す場合、運転免許を持っているだけでは不十分です。

採用担当者は、応募者が「安全に、確実に、荷物（または人）を運べる人物か」を職務経歴書から厳しく判断しています。ドライバーとしての経験や実績を正しく評価してもらい、書類選考を突破するための書き方について解説します。

採用担当者が最も重視する安全運転の実績

ドライバーの採用において、企業が何よりも優先するのが「安全性」です。どれだけ運転技術が高くても、事故や違反のリスクがある人物を採用することはできません。そのため、職務経歴書では安全運転に対する意識と実績を客観的な事実として伝えることが最優先事項となります。

無事故・無違反の期間が長い場合は、それを具体的かつ目立つように記載します。「過去5年間、無事故無違反を継続中」「ゴールド免許を所持」といった記述は、ドライバーとして最大の信頼の証となります。もし過去に軽微な違反がある場合でも、現在はどのように安全意識を高めているか、再発防止のためにどのような取り組みをしているか（指差し確認の徹底や、ヒヤリハット活動への参加など）を記述することで、プロ意識の高さをアピールできます。

乗務していた車種と配送内容を詳細に記す

一口にドライバーと言っても、トラック、バス、タクシー、配送車など、業務内容は多岐にわたります。採用担当者が即戦力かどうかを判断できるよう、過去に経験した業務の詳細を具体的なスペックとともに記載します。

車種と車両のスペック

単に「トラック」と書くのではなく、「4トンウィング車」「大型冷蔵車」「タンクローリー」「2トンショート」など、具体的な車種と形状を明記します。また、ゲート車やユニック車などの特殊装備の操作経験がある場合は、それも記載します。これにより、企業は自社の保有車両をすぐに運転できるかを判断できます。

配送エリアと距離

「長距離（関東～関西間）」「地場配送（都内ルート配送）」など、配送エリアや走行距離の特徴を書きます。長距離であれば体力や自己管理能力が、地場配送であれば土地勘や細やかな配送スキルが評価されます。

扱っていた荷物の種類と積み下ろし方法

運んでいた物が食品、精密機器、建材、日用雑貨など何であったかによって、求められる注意力が異なります。また、積み下ろしが「手積み手降ろし」だったのか、「フォークリフト使用」だったのか、「カゴ台車」だったのかも重要な情報です。特に手積み手降ろしの経験は、体力と根性の証明として高く評価される傾向があります。

保有免許と関連資格を漏れなく記載する

ドライバーにとって、免許は業務を行うための必須ライセンスです。保有している運転免許は、取得年月とともにすべて正確に記載します。「大型自動車第一種免許」「牽引免許」「中型自動車免許（8t限定）」など、正式名称で書くことが基本です。

また、運転免許以外にも業務に関連する資格があれば大きな加点要素となります。「フォークリフト運転技能講習」「運行管理者資格」「危険物取扱者」「玉掛け技能講習」などは、業務の幅を広げるだけでなく、キャリアアップ意欲の証明にもなります。取得を目指して勉強中の資格がある場合も、その旨を記載しておくと意欲をアピールできます。

職種別のアピールポイントの書き分け

ドライバーの中でも、トラック、配送、タクシー・バスでは求められる要素が少しずつ異なります。応募する職種に合わせて強調するポイントを調整します。

トラックドライバー（物流）の場合

「時間厳守」と「荷扱いへの配慮」を強調します。指定された時間に遅れずに到着するための運行計画能力や、荷崩れや破損を防ぐための丁寧な運転技術、荷積みへのこだわりなどを記述します。また、車両の点検整備を日常的に行い、車両トラブルを未然に防いでいた経験などもプロ意識として評価されます。

ルート配送・宅配ドライバーの場合

「接客スキル」と「効率性」をアピールします。納品先や個人宅での挨拶、身だしなみ、コミュニケーション能力は、会社の看板を背負うドライバーにとって重要です。また、再配達を減らすための工夫や、効率的なルート設定によって配送件数を伸ばした実績などを数字で示します。

タクシー・バスドライバー（旅客）の場合

「ホスピタリティ」と「快適な運転技術」が鍵となります。お客様に安心して乗車していただくためのブレーキ操作や車内環境への配慮、観光案内などの付加価値を提供した経験を書きます。接客業からの転職であれば、その対人スキルを活かせることを強くアピールします。

自己PRで伝えるべきプロドライバーとしての責任感

職務経歴書の最後にある自己PR欄では、安全と品質に対するあなたの確固たるスタンスを伝えます。

安全に対する揺るぎない信念

「『家に帰るまでが仕事』をモットーに、日々の体調管理と車両点検を徹底しています」といった記述は、長く安定して働いてくれる人物であるという印象を与えます。プロとしてリスクを予測し、安全を最優先に行動できることを具体的なエピソードを交えて伝えます。

会社や荷主への貢献意識

ドライバーは一人で仕事をすることが多いですが、会社の利益や荷主の信頼を背負っています。「燃費向上のためにアイドリングストップやエコドライブを実践し、経費削減に貢献しました」といったコスト意識や、「急な配送依頼にも柔軟に対応し、取引先から感謝されました」といった貢献意欲を示すことで、組織の一員としての信頼性を高めることができます。

ドライバーの職務経歴書は、あなたの運転技術と仕事への姿勢を証明する「運行記録」のようなものです。無事故の実績や具体的な業務経験を詳細に記し、安全と信頼を運ぶプロフェッショナルであることを自信を持って伝えてください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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