初心者でも通過率アップ!職務経歴書の基本の書き方と作成ステップ
転職活動を始めたばかりの方にとって、最初の難関となるのが「職務経歴書」の作成です。市販の履歴書のように決まった枠があるわけではなく、白い紙に自分のキャリアを自由に表現しなければならないため、何から手をつければよいのか戸惑うのも無理はありません。しかし、職務経歴書には採用担当者が読みやすいと感じる「基本の型」が存在します。この型を理解し、ポイントを押さえて作成すれば、初めての方でも十分に魅力的な書類を作ることが可能です。ここでは、職務経歴書作成の初心者に向けて、基本ルールから具体的な書き方の手順までを分かりやすく解説します。
そもそも職務経歴書とは?履歴書との違いと役割
まず理解しておきたいのは、履歴書と職務経歴書の違いです。履歴書は、氏名、住所、学歴、職歴といったあなたの「基本プロフィール」を定型的に伝えるための書類です。採用担当者は履歴書を見て、応募条件を満たしているか、通勤が可能かといった基礎情報を確認します。
一方、職務経歴書は、これまでの業務経験の詳細や、仕事で培ったスキル、あなたの強みを具体的にプレゼンテーションするための書類です。履歴書の職歴欄には「入社」「退社」の事実しか書けませんが、職務経歴書では「どのような環境で」「どのような工夫をして」「どんな成果を上げたか」というプロセスまで伝えることができます。書類選考の合否は、この職務経歴書の内容で決まると言っても過言ではありません。自分という商品を売り込むためのカタログを作るつもりで作成に取り組みましょう。
初心者が押さえておくべき作成の基本ルールとマナー
職務経歴書を作成するにあたり、最低限守るべき基本ルールがあります。まずは作成方法ですが、現代の転職市場においては「パソコンでの作成」が圧倒的な主流です。WordやExcelを使用して作成することで、ビジネススキルとしてのPC操作能力を証明できるほか、修正や更新が容易であるというメリットがあります。
用紙サイズはA4サイズを使用し、枚数は2枚程度にまとめるのが理想的です。1枚では情報不足とみなされ、3枚以上になると読むのが大変だと思われてしまうため、2枚が最もバランスの良い分量とされています。フォントは「明朝体」か「ゴシック体」を選び、文字サイズは10.5ポイントから11ポイント程度で見やすく設定します。横書きで作成し、見出しや箇条書きを効果的に使って、パッと見た瞬間に内容が入ってくるレイアウトを心がけてください。
職務経歴書に必要な5つの構成要素と書き順
職務経歴書には自由度がありますが、採用担当者が必要とする情報は決まっています。以下の5つの要素を上から順に記載することで、標準的で読みやすい構成になります。
- 職務経歴書タイトル・日付・氏名最上部中央に「職務経歴書」と記載し、右端に提出日と氏名を書きます。
- 職務要約これまでのキャリアのあらすじを200文字から300文字程度でまとめます。採用担当者はまずここを読むため、自身の経歴のハイライトと強みを凝縮して伝えます。
- 職務経歴詳細勤務した企業ごとに、在籍期間、事業内容、従業員数、所属部署、役職、そして具体的な担当業務と実績を記載します。
- 活かせる経験・知識・技術(スキル)PCスキル、語学力、保有資格のほか、業務を通じて得た専門スキルやヒューマンスキルを箇条書きで整理します。
- 自己PR仕事に対する姿勢や熱意、自身の強みが応募企業でどう活かせるかを文章で記述します。
自分に合ったフォーマット(形式)の選び方
職務経歴書の書き方には、大きく分けて3つの形式があります。自分の経歴が最も魅力的に見える形式を選ぶことが大切です。
- 編年体式(へんねんたいしき)過去から現在に向かって、時系列順に職歴を記載する方法です。習熟度やキャリアの積み上げ過程が伝わりやすいため、社会人経験が浅い方や、一貫したキャリアを歩んできた初心者の方に最もおすすめの形式です。
- 逆編年体式(ぎゃくへんねんたいしき)直近の職歴から過去に遡って記載する方法です。採用担当者は現在の能力に最も関心があるため、即戦力性をアピールしたい場合に有効です。
- キャリア式時系列ではなく、職種やプロジェクト単位でまとめて記載する方法です。転職回数が多い方や、専門職の方に適していますが、構成の難易度はやや高めです。
初めて作成する場合は、流れが掴みやすい「編年体式」か、直近をアピールできる「逆編年体式」のどちらかを選ぶとスムーズに作成できます。
「書くことがない」を解消するキャリアの棚卸し術
職務経歴書を書こうとしても、特別な実績がないから書くことがない、と手が止まってしまう方は多いです。しかし、採用担当者は必ずしも華々しい売上実績だけを見ているわけではありません。日々の業務をどのように遂行していたかというプロセスも重要な評価対象です。
まずは「キャリアの棚卸し」を行いましょう。これまで担当した業務をすべて書き出してみてください。「電話応対」「資料作成」「接客」など、些細なことでも構いません。次に、その業務を行う上で「工夫したこと」「意識していたこと」を思い出します。「明るい声で対応した」「ミスがないようダブルチェックした」「お客様の顔を覚えた」といった行動は、立派なアピール材料になります。これらを「コミュニケーション能力」「正確な事務処理能力」「顧客志向」といったビジネス用語に変換することで、説得力のある職務経歴書になります。
会ってみたいと思わせる自己PRの書き方と例文
自己PRは、あなたの熱意と人柄を伝える最後のひと押しです。文章を構成する際は、「結論(私の強みは〇〇です)」→「根拠(具体的なエピソード)」→「貢献(入社後にどう活かすか)」の3段構成を意識すると、論理的で伝わりやすくなります。
例えば、「私の強みは相手の立場に立った行動力です。前職の販売業務では、お客様の潜在的なニーズを引き出すため、マニュアル通りの接客ではなく、会話の中から好みを把握して提案することを心がけました。その結果、指名での来店が増え、店舗の売上に貢献しました。この経験を活かし、貴社の営業職においても顧客との信頼関係を構築し、成果を出したいと考えております」といった具合です。自分の言葉で、具体的な体験談を交えて書くことがポイントです。
提出前の最終チェックリストでミスを防ぐ
職務経歴書が完成したら、すぐに提出するのではなく、必ず見直しの時間を設けてください。誤字脱字があるだけで、「仕事が雑な人」という印象を与えてしまう可能性があるからです。
- 誤字脱字はないか(PCの校正機能も活用しましょう)
- 入学・卒業年度や入退社の年月は履歴書と一致しているか(西暦・和暦の統一も確認)
- レイアウトは見やすいか(改行や余白のバランス)
- 具体的な数字やエピソードが含まれているか
可能であれば、家族や友人、あるいは転職エージェントなどの第三者に読んでもらい、客観的な感想をもらうのも有効です。基本の型を守りつつ、あなた自身の経験を丁寧に落とし込んだ職務経歴書は、必ず採用担当者の目に留まります。自信を持って提出できる書類を作成し、転職活動の第一歩を踏み出してください。





