厚生労働省の様式を参考にした職務経歴書の書き方と書類選考通過のためのポイント

厚生労働省が推奨する職務経歴書の標準とは

転職活動を始めるにあたり、履歴書にはJIS規格や厚生労働省様式といった標準的なフォーマットが存在することをご存知の方は多いでしょう。一方で、自身の実務経験やスキルを詳細に伝えるための職務経歴書については、実は公的に定められた絶対的な規格というものは存在しません。基本的には自由形式の書類ですが、自由であるがゆえに何をどう書けばよいか迷ってしまう方も少なくありません。そこで一つの基準となるのが、厚生労働省やハローワークが推奨している職務経歴書の様式や記載例です。

厚生労働省が提供する情報やテンプレートは、あらゆる業界や職種に対応できる最もベーシックで癖のない構成になっています。そのため、奇をてらわず誠実に経歴を伝えたい場合や、公的機関、堅実な社風の企業に応募する場合には、この標準的なスタイルを参考にすることが非常に有効です。ここでは、厚生労働省やハローワークの指針に基づいた信頼性の高い職務経歴書の書き方と、それをベースにしつつ書類選考を突破するためのプラスアルファの工夫について解説します。

ハローワークインターネットサービスで入手できる様式の特徴

厚生労働省が管轄するハローワークインターネットサービスでは、求職者向けに履歴書や職務経歴書のテンプレートを公開しており、誰でも無料でダウンロードして利用することができます。ここで提供されている職務経歴書の様式は、非常にシンプルでオーソドックスな構成が特徴です。具体的には、日付と氏名を記載するヘッダー、これまでの経歴を要約した職務要約、時系列に沿って業務内容を記す職務経歴、そして資格や自己PRといった項目で構成されています。

この様式の最大のメリットは、採用担当者にとって非常に読み慣れたレイアウトであるという点です。必要な情報が過不足なく配置されているため、読み手がストレスを感じることなく経歴を確認することができます。特に、転職回数が少ない方や、経歴を時系列で素直に伝えたい方にとっては、この基本フォーマットをそのまま活用するだけで、ビジネスマナーに則った美しい書類を作成することが可能です。ExcelやWord形式で提供されているため、自身のパソコンで手軽に編集できる点も大きな利点といえます。

ジョブ・カード制度を活用したキャリアの棚卸しと作成支援

厚生労働省は、個人のキャリアアップや円滑な就職活動を支援するために、ジョブ・カード制度という仕組みを推進しています。これは、自身の職務経歴や学習歴、免許・資格などを生涯にわたって記録し、キャリアプランニングに役立てるためのツールです。このジョブ・カードを作成するプロセス自体が、職務経歴書を書くための強力な下準備となります。

ジョブ・カード作成支援ソフトウェアやWebサイトを利用すると、質問に答えていくだけで自身のキャリアを詳細に棚卸しすることができます。そして、入力したデータをもとにして、応募書類としての職務経歴書を自動的に生成する機能も備わっています。自分一人では過去の業務内容を思い出すのが難しい場合や、強みを言語化することに苦手意識がある場合は、この公的な支援ツールを活用することで、客観的かつ漏れのない職務経歴書を作成する助けとなります。まずはジョブ・カードで素材を集め、それを応募企業に合わせて調整していくという手順を踏むことで、作成効率を大幅に高めることができます。

公的な様式をベースにしつつ選考を通過するための工夫

厚生労働省やハローワークの様式は信頼性が高い一方で、シンプルすぎるために他の応募者との差別化が図りにくいという側面もあります。書類選考を確実に通過するためには、標準フォーマットをベースにしつつ、企業が求めている情報を強調するカスタマイズが必要です。例えば、標準様式では業務内容を淡々と記述するスペースとなっている部分に、具体的な実績や数値を盛り込む工夫が求められます。

単に営業職として勤務と書くのではなく、担当顧客数や売上達成率、対前年比の改善幅などを数字で示すことで、実務能力の高さを客観的に証明することができます。また、事務職であれば、処理件数や業務効率化のために導入したツールの名称などを具体的に記載します。公的な様式が求めているのは正確な事実の記載ですが、採用担当者が求めているのは、その事実の裏にあるあなたの貢献度や入社後の活躍イメージです。枠組みは標準的なものを守りつつ、中身のコンテンツにおいては具体的なエピソードを加えて密度を高めることが重要です。

編年体式とキャリア式の使い分けで読みやすさを向上させる

厚生労働省のガイドラインでも触れられているように、職務経歴書の書き方には大きく分けて編年体式とキャリア式の二つの形式があります。編年体式は、過去から現在に向かって時系列順に職歴を記載する方法で、キャリアの習熟度や成長プロセスを伝えるのに適しています。ハローワークの標準的なテンプレートもこの形式を採用していることが多く、最も一般的で失敗の少ない書き方です。

一方のキャリア式は、職務内容やプロジェクト単位で経歴をまとめて記載する方法です。転職回数が多い場合や、技術職などで専門分野ごとのスキルを強調したい場合に有効です。厚生労働省の様式を参考にする場合でも、自身の経歴の特徴に合わせて形式を選択する柔軟性は必要です。例えば、直近の職歴が応募職種と最も関連性が高い場合は、逆編年体式（新しい順）で記載することで、即戦力性を真っ先にアピールすることができます。どの形式を選ぶにせよ、読み手である採用担当者が情報を取得しやすいように整理されていることが、公的な基準においても最も重視されるポイントです。

自己PRと志望動機で熱意を補足する

厚生労働省推奨の様式には、自己PRや志望動機を記載する欄が設けられていることが一般的です。ここは自由記述のスペースであり、応募者の人柄や熱意を伝えるための最も重要なパートとなります。定型的な文章や抽象的な表現で埋めるのではなく、自身の言葉で具体的に記述することが求められます。

自己PRでは、これまでの経験の中から応募企業で活かせる強み（ポータブルスキル）をピックアップし、それがどのように業務に貢献できるかを論理的に説明します。志望動機では、なぜその企業を選んだのか、その企業で何を実現したいのかを明確にします。公的な様式を使っているからこそ、こうした自由記述欄で個性を出すことが、堅実さと熱意のバランスをとる上で効果的です。丁寧な言葉遣いと整ったレイアウトで作成された職務経歴書は、あなたの実務能力と誠実さを雄弁に物語る資料となります。基本を守りつつ、相手に伝わる工夫を凝らして作成してください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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