職務経歴書の「主な取り組み」で評価を上げる書き方と職種別アピール例
主な取り組み欄は主体性と工夫をアピールする最重要項目です
職務経歴書を作成する際、担当した業務内容を羅列するだけでは、あなたの実力は半分も伝わりません。採用担当者が最も注目しているのは、与えられた業務に対してあなたがどのように向き合い、どのような工夫を凝らして成果に繋げたかという「プロセス」の部分です。このプロセスを具体的に記述する場所こそが「主な取り組み」や「実績・取り組み」の欄です。
多くの応募者が、単に「営業活動」や「事務処理」といった事実だけを書いてしまいがちですが、これでは受動的に仕事をしていたような印象を与えてしまいます。「主な取り組み」欄は、あなたの主体性や課題解決能力、そして仕事に対する熱意を証明するためのプレゼンテーションスペースです。ここでは、自分なりの工夫や改善活動を言語化し、採用担当者に「この人は自社でも能動的に活躍してくれそうだ」と確信させるための書き方について解説します。
課題と行動と結果の3要素をセットにして具体的に記述する
説得力のある「主な取り組み」を書くための黄金則は、課題、行動、結果の3つの要素をセットにしてストーリーを構成することです。まず、業務を行う上でどのような「課題」や「目標」があったのかを提示します。次に、その課題を解決するためにあなたがどのような「行動(工夫)」を起こしたのかを具体的に書きます。そして最後に、その行動によってどのような「結果(成果)」が得られたのかを締めに持ってきます。
例えば、単に「顧客満足度の向上に努めました」と書くのではなく、「顧客からの問い合わせ対応に時間がかかっているという課題に対し(課題)、よくある質問をまとめた回答マニュアルを作成しチームで共有しました(行動)。その結果、回答までの時間を平均30パーセント短縮し、顧客アンケートの満足度も向上しました(結果)」といった構成にします。この論理的な流れがあることで、あなたの行動がどのようにビジネスに貢献したかが客観的に伝わります。
数字と固有名詞を用いて客観的な事実として伝える
取り組みの内容をより鮮明にイメージさせるためには、数字と固有名詞を効果的に使うことが重要です。「売上が上がりました」や「効率化しました」といった定性的な表現だけでは、その成果の規模感が伝わりません。「売上を前年比120パーセント達成」や「残業時間を月10時間削減」といった具体的な数値を用いることで、成果を客観的な事実として証明できます。
また、使用したツール名やプロジェクト名などの固有名詞も積極的に盛り込みます。「ExcelのVLOOKUP関数を使用して集計作業を自動化」や「Salesforceを活用して顧客管理フローを統一」といった記述があれば、具体的なスキルレベルや業務環境への適応力をアピールできます。数字は嘘をつかないため、採用担当者にとって最も信頼できる判断材料となります。もし実数が出せない場合は、割合や順位、件数などを用いて工夫して表現してください。
営業職や販売職における主な取り組みの書き方と例
営業職や販売職の場合、売上目標の達成に向けたプロセスを具体的に記述します。単に商品を売ったことだけでなく、顧客ターゲットをどのように選定したか、提案資料にどのような工夫をしたか、リピート率を高めるためにどのようなアフターフォローを行ったかといった「戦略」の部分を強調します。
書き方の例としては、新規開拓営業において、テレアポの成功率を高めるためにトークスクリプトを3パターン作成し、ABテストを繰り返しました。その結果、アポイント取得率が5パーセントから10パーセントに向上し、月間目標を半年連続で達成しましたといった内容です。また、販売職であれば、顧客の滞在時間を延ばすための売り場作り(VMD)の工夫や、スタッフ間の連携強化による接客品質の向上などを記述し、店舗全体の売上に貢献した姿勢を示します。
事務職や企画職における主な取り組みの書き方と例
事務職や企画職の場合、業務効率化や組織への貢献度が評価のポイントになります。ルーチンワークの中にある非効率な部分を見つけ出し、それを改善した経験は強力なアピール材料です。また、社内調整やマニュアル作成など、周囲が働きやすい環境を作った実績も「サポート力」として高く評価されます。
書き方の例としては、部署内での書類検索に時間がかかっていたため、ファイリングのルールを統一し、デジタルデータへの移行を推進しました。これにより書類紛失のリスクをなくすと同時に、資料作成にかかる時間を大幅に短縮しましたといった内容です。企画職であれば、市場調査に基づいた企画立案のプロセスや、関係部署を巻き込んだプロジェクト進行の工夫などを記述し、調整力や推進力をアピールします。
エンジニアや技術職における主な取り組みの書き方と例
エンジニアなどの技術職では、技術的な課題解決や品質向上への取り組みを記述します。使用した技術スタックだけでなく、開発プロセスにおいてどのような問題に直面し、それを技術力やチームワークでどう乗り越えたかを伝えます。
書き方の例としては、システムのエラー頻発という課題に対し、コードのリファクタリングと自動テストの導入を提案・実行しました。これによりバグの発生率を半減させ、安定稼働と保守コストの削減を実現しましたといった内容です。また、勉強会を主催してチームの技術力底上げに貢献したことや、新しい技術を導入して開発効率を上げたことなども、技術者としての価値を高める取り組みとして有効です。
取り組みの規模や周囲への影響力を盛り込み再現性を示す
「主な取り組み」を書く際には、その行動が自分一人で完結するものだったのか、それともチームや組織全体に影響を与えたものなのかという視点も大切です。自分一人の作業効率を上げるだけでなく、そのノウハウをチームに展開して部署全体の生産性を上げた経験や、他部署と連携して全社的なプロジェクトを推進した経験は、より高い評価につながります。
「チームリーダーとしてメンバー5名の進捗管理を行い」や「他部署との定例ミーティングを設定し」といった記述を加えることで、組織の中で周囲を巻き込みながら成果を出せる人材であることをアピールできます。採用担当者は、あなたが自社に入社した後も同じように周囲に良い影響を与えてくれるかという「再現性」を見ています。組織への貢献意欲と影響力を示すことで、即戦力としての期待値を高めてください。
失敗経験からの改善プロセスも立派な取り組みになります
成功体験だけでなく、失敗や困難な状況から何を学び、どう改善したかというプロセスも立派な「主な取り組み」になります。仕事において失敗はつきものです。重要なのは、失敗した時に諦めずに原因を分析し、再発防止策を講じて次の成功につなげたという回復力(レジリエンス)です。
例えば、クレームを受けてしまった際に、誠心誠意対応して信頼を回復しただけでなく、再発防止のためのチェックリストを作成し、その後クレームゼロを継続しているといったエピソードです。このような記述は、問題解決能力の高さだけでなく、仕事に対する誠実さや責任感の強さを証明するものとして、採用担当者の心に響きます。きれいごとだけでなく、泥臭い改善の積み重ねを記述することで、リアリティのある魅力的な職務経歴書を作成してください。





