英語履歴書の職歴欄を攻略して書類選考を突破するための書き方ガイド
英文履歴書の職歴欄は採用の合否を左右する最重要パートです
外資系企業や日系グローバル企業への転職を目指す際、避けて通れないのが英語の履歴書、いわゆるレジュメ(Resume)の作成です。日本の履歴書では氏名や学歴などの基本情報が上部にきますが、英文レジュメにおいて採用担当者が真っ先に目を向け、最も重視するのが「Work Experience(職歴)」のセクションです。ここでは単にどこで働いていたかという事実だけでなく、具体的に何を成し遂げ、どのようなスキルを発揮して企業に貢献できる人物なのかを証明する必要があります。
日本語の職務経歴書をそのまま翻訳ソフトにかけて英語にしただけでは、効果的なレジュメにはなりません。英語圏のビジネス文化に則ったフォーマットや表現方法、そしてアピールのアプローチが存在するからです。書類選考を確実に通過するためには、英文レジュメ特有の「自分を売り込む」ための作法を理解し、戦略的に職歴欄を構成することが不可欠です。ここでは、採用担当者の目に留まる魅力的な職歴の書き方と、具体的なテクニックについて解説します。
日本語の履歴書とは真逆となる逆年代順の記載ルール
英文レジュメを作成する際、最初に意識しなければならないのが時系列のルールです。日本の履歴書では過去から現在へと古い順に経歴を記載するのが一般的ですが、英文レジュメでは「現在から過去へ」と新しい順に記載する「逆年代順(Reverse Chronological Order)」が基本となります。採用担当者は、あなたが「今、何ができるのか」「直近でどのような成果を上げたのか」に最も関心があるため、最新の経歴を一番上に配置し、詳細に記述する必要があります。
記載する順番としては、まず現在の(または直近の)職歴を書き、その下に一つ前の職歴、さらにその下にと続けていきます。古い職歴については、現在への関連性が低い場合、詳細を省いて簡潔にまとめることも許容されます。この順序を間違えてしまうと、レジュメの書き方を知らない人物と判断され、その時点で選考対象から外れてしまうリスクがあるため、必ず最新の経歴がトップに来るようにレイアウトを組むことが大切です。
職歴欄に記載すべき必須項目と基本的なレイアウト
Work Experienceセクションに記載する必須項目は、会社名、所在地(都市と国)、在籍期間、役職(Job Title)、そして具体的な職務内容と実績です。会社名は正式な英語名称を調べ、所在地は「Tokyo, Japan」のように記載します。在籍期間については「Month, Year – Month, Year」あるいは「Present」といった形式で統一し、右端に寄せて配置すると見やすくなります。
役職名は非常に重要です。社内独自の役職名ではなく、一般的なビジネス英語として通じる名称(Sales Manager, Software Engineer, Administrative Assistantなど)を使用することで、あなたの役割や責任の範囲が明確に伝わります。レイアウトに関しては、会社名や役職名を太字にしたり、すべて大文字にしたりして視覚的なメリハリをつけることが推奨されます。パッと見た瞬間に、いつ、どこで、どんなポジションに就いていたかが把握できるクリアな構成を心がけることが、多忙な採用担当者への配慮となります。
主語を省きアクション動詞から始める英語表現の鉄則
英文レジュメの職歴記述において、最も特徴的かつ重要なルールが「アクション動詞(Action Verbs)」の使用です。日本語の「~を担当しました」や「~に従事しました」といった受動的な表現ではなく、「~を達成した」「~を開発した」「~を管理した」といった能動的な動詞を使って文章を始めます。この際、「I(私)」などの主語は省略するのが通例です。
例えば、「I managed a team of 10 people.(私は10人のチームを管理しました)」と書くのではなく、「Managed a team of 10 people.」と動詞から書き出します。過去の職歴であれば過去形(Managed, Developed, Increased)を使い、現在の職務であれば現在形(Manage, Develop, Increase)を使います。このように力強い動詞を文頭に持ってくることで、あなたが主体的に行動し、成果を生み出す人物であることを印象づけることができます。同じ動詞を繰り返し使いすぎないよう、類語辞典などを活用して表現のバリエーションを持たせることも、洗練されたレジュメを作るコツです。
具体的な数値を用いて実績を客観的に証明する
採用担当者が職歴欄で探しているのは、あなたが「何をしたか(Do)」だけでなく、「どのような結果を出したか(Achieve)」という情報です。そのため、職務内容を記述する際は、可能な限り具体的な数値(数字、パーセンテージ、金額など)を盛り込むことが求められます。「売上を伸ばした」と書くよりも、「売上を前年比20パーセント増加させた」と書く方が、その成果の大きさや難易度が客観的に伝わります。
予算規模、管理した部下の人数、削減したコスト、短縮した時間、獲得した新規顧客数など、あらゆる業務において数値化できる要素を探してください。もし具体的な数値が出せない業務であっても、「社内表彰を受けた」「新しいシステムを導入して業務フローを改善した」といった定性的な成果を具体的に記述することで、単なる作業者ではなく、付加価値を生み出す人材であることをアピールできます。Result(結果)を重視する欧米のビジネス文化に合わせて、成果ベースで記述することが書類選考突破の鍵となります。
視認性を高めるためのブレットポイントの活用
英文レジュメでは、長い文章を段落で書くよりも、ブレットポイント(黒点などの行頭記号)を使って箇条書きにするスタイルが好まれます。一つの職歴に対して、3つから5つ程度のブレットポイントを用いて、主要な責任範囲と実績を簡潔にまとめます。だらだらとした長文は読む気を削いでしまうため、要点を絞り、スキャンして読める(流し読みでも内容が入ってくる)ように工夫します。
各ポイントは1行か2行に収めるのが理想的です。重要な実績や、応募するポジションに最も関連性の高いスキルを上のほうに配置し、事務的なタスクなどは下に配置するか省略します。余白を適切に取り、文字が詰め込まれすぎないようにレイアウトを調整することも重要です。美しい見た目は、書類作成能力の高さや、情報を整理して伝えるコミュニケーション能力の証明にもなります。
職歴に一貫性を持たせ応募ポジションに合わせてカスタマイズする
最後に重要なのが、応募する企業やポジションに合わせて職歴の記述内容をカスタマイズすることです。あなたが持っているすべての経験を網羅する必要はありません。募集要項(Job Description)を熟読し、そこで求められているスキルや経験に関連する職歴を重点的に記述します。関係の薄い職歴は行数を減らし、アピールしたい職歴にスペースを割くというメリハリが必要です。
転職回数が多い場合やブランクがある場合でも、キャリア全体に一貫したテーマや目標があるように見せる工夫が大切です。異なる職種への転職であっても、トランスファラブルスキル(持ち運び可能なスキル)であるリーダーシップや問題解決能力、コミュニケーション能力などを強調することで、即戦力としてのポテンシャルを感じさせることができます。英文レジュメはあなたのキャリアの広告塔です。自信を持って実績を語り、採用担当者に会ってみたいと思わせる強力なツールに仕上げてください。





