エステティシャンの転職を成功させる履歴書職歴欄の書き方とアピール術

エステティシャンの職歴欄は技術と数字で即戦力性を証明する場所です

華やかに見えるエステティック業界ですが、その実態は高い技術力と接客スキル、そして売上を作る営業力が求められる実力主義の世界です。そのため、転職活動における履歴書の職歴欄では、単に「エステティシャンとして勤務」と書くだけでは不十分です。採用担当者は、応募者がどのようなサロンで、どのような施術を行い、どれだけの成果を上げてきたかという具体的な情報を求めています。

特に中途採用の場合、サロン側は教育コストをかけずに活躍できる「即戦力」を求めています。フェイシャルが得意なのか、ボディメイクに強みがあるのか、あるいは脱毛の専門知識があるのかによって、配属先や待遇が大きく変わります。自身のスキルと実績を職歴欄で的確にプレゼンテーションすることが、書類選考を通過し、希望するサロンへの切符を手にするための鍵となります。ここでは、エステティシャンならではの職歴の書き方と、評価を高めるためのポイントについて解説します。

運営会社名とサロン名の正しい記載ルール

エステ業界で働いていると、サロン名（店舗名）は意識していても、運営会社名を忘れがちになることがあります。しかし、履歴書の職歴欄には、給与の支払元である「運営会社（法人名）」を正式名称で記載するのが基本ルールです。「株式会社〇〇 入社」と記載した上で、その横や次の行に「エステティックサロン△△ 新宿店に配属」のように店舗名を明記します。

また、店舗の規模やコンセプトを伝えることも重要です。「客単価〇万円の富裕層向けサロン」や「会員数〇〇名の地域密着型サロン」、「完全個室のプライベートサロン」といった情報を補足することで、どのような接客スタイルや客層に慣れているかを伝えることができます。これにより、採用担当者は自社のサロンカラーに合う人材かどうかを判断しやすくなり、ミスマッチを防ぐことができます。

施術内容と取り扱い機器を具体的に記載する

「施術業務」と一言で済ませるのではなく、具体的にどのような技術を持っているかを記載します。オールハンドの施術がメインだったのか、痩身機器などのマシン操作が中心だったのかによって、アピールポイントは異なります。「オールハンドによるリンパドレナージュ」「キャビテーションやEMSを使用した痩身施術」「IPL脱毛機の操作およびカウンセリング」など、具体的な手技や機器の種類を書くことがポイントです。

また、担当していたメニューの幅広さもアピール材料になります。フェイシャル、ボディ、脱毛、ブライダルエステなど、対応可能なジャンルを列挙することで、マルチに活躍できる人材であることを示せます。もし、メーカー主催の研修修了証や、シデスコ（CIDESCO）や日本エステティック協会などの認定資格を持っている場合は、資格欄だけでなく職歴欄の業務内容とリンクさせて記載することで、確かな技術的裏付けがあることを強調できます。

売上実績やリピート率を数値化して営業力を示す

エステティシャンの仕事は、技術職であると同時に販売職・営業職の側面も持っています。そのため、職歴欄に具体的な数値実績を盛り込むことは非常に効果的です。例えば、「個人売上目標を12ヶ月連続達成」「指名数 月間平均30件（店舗内1位）」「リピート率80％を維持」といった具体的な数字です。

また、店販商品（化粧品やサプリメントなど）の販売実績も強力な武器になります。「カウンセリングを通じたホームケア提案により、月間〇〇万円の物販売上を達成」といった記述は、提案力やコミュニケーション能力の高さを示す証拠となります。具体的な数字が出せない場合でも、「新人賞を受賞」や「店舗の月間MVPを獲得」といった表彰歴があれば必ず記載し、客観的に評価された実績があることをアピールしてください。

店長経験や新人教育などのマネジメントスキル

店長やチーフ、リーダーなどの役職経験がある場合は、技術力に加えてマネジメント能力があることを強くアピールできます。「店長としてスタッフ5名のマネジメントおよび店舗売上管理を担当」と記載することで、サロン運営全体を任せられる人材としての評価を得られます。

役職についていなくても、後輩の技術指導やメンターを担当していた経験があれば、「新人スタッフの技術研修を担当」と書き添えます。エステ業界は人の入れ替わりが激しいため、教育ができる人材は非常に重宝されます。また、在庫管理やシフト作成、集客のためのSNS運用など、施術以外のサロン運営業務に携わっていた場合も、事務処理能力や経営感覚があることの証明になりますので、漏らさず記載することをお勧めします。

異業種へ転職する場合のポータブルスキルの伝え方

エステティシャンから事務職や営業職など、異業種への転職を考えている場合でも、エステティシャンの経験は大きな強みになります。この場合、専門用語を一般的なビジネス用語に変換して伝えることが大切です。例えば、「カウンセリング」は「顧客のニーズを引き出すヒアリング能力」や「課題解決型の提案営業力」と言い換えることができます。「施術中の会話」は「信頼関係構築力」や「高いホスピタリティ」としてアピールできます。

また、カルテ管理や予約対応で培った「顧客管理能力」や、時間内に施術を終えるための「タイムマネジメント能力」も、どのような仕事でも通用するスキルです。履歴書の職歴欄や自己PR欄では、これらのスキルが新しい職場でどのように活かせるかを論理的に説明します。体力と精神力、そして高い接客スキルを要するエステティシャンの経験は、自信を持って語れる立派なキャリアです。その価値を正しく言語化し、書類選考を突破してください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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