書類選考通過のための履歴書作成における重要な注意点とマナー

履歴書の完成度が第一印象を決定づけます

転職活動において履歴書は、採用担当者が応募者と最初に出会う接点です。ここに記載された情報だけでなく、作成のマナーや細部への配慮が、社会人としての基礎能力を判断する材料になります。どれほど素晴らしい経歴やスキルを持っていても、履歴書の書き方に不備があったり、基本的なルールが守られていなかったりすると、それだけでマイナスの印象を与えてしまう可能性があります。書類選考を確実に通過するためには、自己アピールの中身を磨くと同時に、形式面でのミスをなくすことが重要です。ここでは、履歴書作成時に特に気をつけるべき注意点について解説します。

筆記具の選び方と日付記入のルール

手書きで履歴書を作成する場合、使用する筆記具には厳格なルールがあります。必ず黒のボールペンか万年筆を使用し、鉛筆やシャープペンシルは使用しません。また、近年普及している消せるボールペン（フリクションペンなど）の使用は厳禁です。履歴書は公的な文書であり、熱や摩擦で文字が消えてしまう筆記具は、改ざんのリスクがあるためビジネス文書として認められません。パソコンで作成する場合も、フォントは明朝体やゴシック体などの標準的なものを選び、読みやすさを優先します。

日付の記入も間違いやすいポイントの一つです。履歴書の日付欄には、作成した日ではなく、提出する日を記入します。郵送の場合は投函する日付、面接に持参する場合は面接当日の日付となります。また、履歴書全体を通して、年号の表記を統一することも重要です。西暦（2025年）で書くか、和暦（令和7年）で書くかを決め、学歴から職歴、資格欄に至るまで全て統一します。これが混在していると、読み手にストレスを与えるだけでなく、注意力が散漫であるという印象を与えてしまいます。

証明写真で損をしないための撮影マナー

履歴書の写真は、採用担当者が応募者の人物像をイメージする上で非常に大きな影響力を持ちます。ここで注意すべきは、表情や身だしなみはもちろんのこと、写真の品質そのものです。スナップ写真の切り抜きや、画質の粗い自撮り写真は避けるべきです。可能な限りフォトスタジオで撮影するか、あるいは高品質な証明写真機を利用し、清潔感のある写真を準備します。

服装はスーツが基本であり、髪型も顔にかからないように整えます。撮影から3ヶ月以上経過した写真は、現在の容姿と異なる可能性があるため使用しません。また、写真の裏面に自分の氏名を記入してから貼付することも大切なマナーです。万が一、のりが剥がれて写真が落ちてしまった場合でも、誰の写真かが分かるようにするための配慮です。

学歴と職歴欄における正確な記述

学歴や職歴欄では、省略せずに正式名称で記載することが求められます。「高校」ではなく「高等学校」、「（株）」ではなく「株式会社」と書くのがルールです。また、学校名や会社名だけでなく、学部・学科や配属部署まで詳細に書くことで、どのようなバックグラウンドを持っているかが伝わりやすくなります。

職歴については、短期間で退職した企業であっても省略せずに全て記載します。雇用保険や社会保険の加入履歴から、入社後に職歴の省略が発覚すると、経歴詐称として解雇などのトラブルに発展するリスクがあります。退職理由については「一身上の都合により退社」とするのが一般的ですが、会社都合による退職の場合はその旨を明記します。現在在職中の場合は「現在に至る」とし、退職日が決まっている場合は「令和〇年〇月〇日 退職予定」と書き添えると親切です。

空欄を作らないための志望動機と本人希望記入欄

履歴書の中に空欄が目立つと、志望度が低いと判断される要因になります。特に志望動機や自己PR欄は、枠の8割以上を埋めるように心がけます。短い文章で終わらせるのではなく、なぜその企業なのか、自分の経験がどう活かせるのかを具体的に記述します。特技や趣味の欄も、面接時のアイスブレイク（話題作り）になる可能性があるため、空欄にせず記入することをお勧めします。

本人希望記入欄については、給与や待遇などの要望を細かく書きすぎることは避けます。条件面ばかりを気にする人物だと思われるのを防ぐため、特段の事情がない限りは「貴社の規定に従います」と書くのが定型です。ただし、勤務地に制限がある場合や、連絡が取りにくい時間帯がある場合は、その理由とともに正直に記載することで、選考をスムーズに進めるための配慮となります。

提出前の最終チェックでミスを撲滅する

履歴書が完成したら、提出する前に必ず見直しを行います。誤字脱字は、それだけで不採用の理由になり得る致命的なミスです。特にパソコンで作成した場合、変換ミスやコピー＆ペーストによる修正漏れが起きやすいため注意が必要です。手書きの場合、書き損じを修正テープや修正液で直すことはマナー違反です。一文字でも間違えたら、新しい用紙に書き直す必要があります。

また、Web応募などでデータを送信する場合は、ファイル形式がPDFになっているかを確認します。WordやExcelのまま送ると、レイアウトが崩れて表示される恐れがあります。ファイル名も「履歴書.pdf」のような汎用的なものではなく、「20251127_履歴書_氏名.pdf」のように、誰のいつの書類かが一目で分かる名前に変更します。こうした細部へのこだわりと注意深さが、採用担当者に安心感を与え、書類選考突破への鍵となります。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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