書類選考で落ちた時の「言い方」と受け止め方：通知の真意と次につなげる伝え方

「落ちた」ではなく「ご縁がなかった」と捉える重要性

転職活動において書類選考の結果が芳しくなかった時、私たちはつい「落ちた」「落とされた」という言葉を使ってしまいがちです。しかし、この「落ちる」という言い方は、自分自身に能力がない、否定されたというネガティブなニュアンスを強く含んでおり、モチベーションを下げる大きな要因になります。ビジネスの場や転職のプロであるエージェントとのやり取りでは、「落ちた」ではなく「見送りになった」や「ご縁がなかった」という言い方をするのが一般的です。

言葉の選び方は、メンタルコントロールに直結します。「見送り」という言葉には、タイミングや条件が合わなかっただけという、より客観的でフラットな意味合いが含まれます。事実、書類選考の不通過はスキル不足だけが理由ではありません。ポジションの充足や社風とのミスマッチなど、不可抗力の要素も多分に含まれています。まずは自分自身に対して使う言葉（言い方）を変えることで、必要以上に自信を喪失することを防ぎ、次の応募に向けた建設的なマインドセットを保つことが大切です。

企業からの不採用通知に使われる「言い方」の正体

企業から届く不採用通知（いわゆるお祈りメール）には、独特の言い回しが使われています。「慎重に選考を行いましたが」「厳正なる審査の結果」といったフレーズです。これらを真に受けて、「自分の経歴のどこがダメだったのだろう」と深く悩みすぎる必要はありません。これらはあくまでビジネス上の定型句であり、個別の詳細な審査結果を表しているわけではないことがほとんどです。

「今回はご希望に添いかねる結果となりました」という言い方は、あなたの人格やこれまでのキャリアを否定しているのではなく、単に「現時点での弊社のパズルのピースとは形が異なった」と伝えているに過ぎません。この「言い方」の裏にある真意は、「能力不足」ではなく「マッチング不足」です。通知の文言一字一句に感情を揺さぶられるのではなく、事務的な連絡事項として淡々と受け止め、次に進むための区切りとして処理することが賢明です。

エージェントや周囲に報告する際の賢い「言い方」

転職エージェントを利用している場合、あるいは知人に紹介を頼んでいた場合、不通過の結果を報告しなければならない場面があります。この時の「言い方」ひとつで、あなたのビジネスパーソンとしての評価が変わることがあります。「全然ダメでした」「また落ちました」と卑下したり、逆に「見る目がない会社だ」と批判的な言い方をしたりするのは避けるべきです。

スマートな伝え方は、「残念ながら今回は見送りという結果になりました」と事実を端的に伝えた上で、「気持ちを切り替えて次へ進みます」と前向きな姿勢を示すことです。エージェントに対しては、「今回の結果から、私の経歴書のどの部分がミスマッチだと判断されたと思われますか？」と、フィードバックを求める言い方をするとより効果的です。感情的にならず、分析的に結果を捉えようとする姿勢は、サポートする側にとっても「次は決めさせてあげたい」と思わせるポジティブな要素になります。

面接で他社の選考状況を聞かれた時の「言い方」

書類選考を通過して進んだ面接の場で、「他社の選考状況はいかがですか？」と聞かれることがあります。この時、他社で書類選考落ちが続いていることを正直に「すべて落ちてしまいました」と言う必要はありません。嘘をつくのはNGですが、言い方を工夫することで印象を良くすることは可能です。

例えば、「数社に応募いたしましたが、より自身の適性に合った企業で働きたいと考え、御社のような〇〇業界を中心に選考を進めております」といった言い方に変換します。「落ちた」という事実にフォーカスするのではなく、「ターゲットを絞り込んでいる」「厳選している」という能動的なプロセスとして伝えるのです。これにより、選考に通らない人ではなく、慎重にキャリアを選んでいる人という印象を与えることができます。

書類選考で落ちないために見直すべき応募書類の「言い方」

もし書類選考での「見送り」が続いているのであれば、応募書類の中での「言い方（表現方法）」に問題がある可能性があります。よくある失敗は、主語がすべて「自分」になっているケースです。「私は〇〇ができます」「私は〇〇を学びたいです」という言い方は、企業側からすると「で、それが自社にどう役立つのか？」が見えにくいものです。

通過率を上げるためには、主語を「企業（相手）」のメリットに変換する言い方が求められます。「〇〇の経験があります」と書くのではなく、「〇〇の経験を活かし、貴社の××という課題解決に貢献できます」と言い換えるのです。また、「コミュニケーション能力があります」といった抽象的な言い方を避け、「部署間の調整役としてプロジェクトを円滑に進めることができます」のように、具体的な行動がイメージできる表現に修正します。書類上の「言い方」を、自分目線から相手目線に変えるだけで、採用担当者に刺さる確率は格段に上がります。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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