書類選考通過の返信メールにおける正しい件名のマナーと書き方

返信メールの件名は変更せずにそのまま送ることが基本ルール

書類選考通過の連絡を受け取った際、返信メールの件名をどうすべきか悩むことがあります。結論から言えば、企業から送られてきたメールの件名は変更せず、そのまま返信するのがビジネスマナーの基本です。多くのメールソフトでは返信ボタンを押すと自動的に件名の冒頭に「Re:」が付与されますが、これも消さずにそのまま残しておきます。

採用担当者は日々膨大な数の応募者とやり取りを行っています。件名を変えずに「Re:」が付いた状態で返信することで、担当者はそのメールが「どの案件に対する誰からの返信か」を一目で判断できます。また多くのメールソフトには同じ件名のメールをスレッドとしてまとめる機能があります。件名を変更してしまうと、これまでのやり取りの履歴と紐づかなくなり、担当者が過去のメールを探す手間が発生してしまいます。相手の業務効率を下げないためにも、件名は触らずに返信することが最良の選択です。

件名に自分の氏名を追加する場合の適切な書き方

基本的には件名を変更する必要はありませんが、件名に自分の氏名が含まれていない場合などは、担当者が判別しやすいように氏名を追記しても問題はありません。その場合は、元の件名を残したまま、末尾や見やすい位置に自分の名前を追加します。

具体的には「Re: 書類選考通過のご連絡（氏名）」のように、括弧を使って氏名を付け加える方法が一般的です。こうすることで、元の件名の情報を保持しつつ、誰からのメールであるかを明確に伝えることができます。ただし、件名が長くなりすぎて重要な部分が見えなくならないよう配慮する必要があります。元の件名が非常に長い場合は、無理に氏名を追加せず、そのまま返信し、本文の冒頭でしっかりと名乗ることで対応します。

避けるべき件名の書き方とマナー違反になるケース

返信メールの件名を編集する際に、避けるべきNG例がいくつかあります。まず最も避けるべきなのは、件名を完全に書き換えてしまうことです。例えば「ありがとうございました」や「面接日程の件」、「お礼」といった件名に書き換えてしまうと、受け取った側は何の用件なのか、誰からのメールなのかを即座に判断できません。採用担当者のメールボックスの中で埋もれてしまい、確認が遅れる原因にもなります。

また「Re:」を削除することも推奨されません。「Re:」は返信であることを示す重要な記号であり、これがあることで担当者は一連のやり取りの続きであることを認識します。丁寧さを意識するあまり「Re:」を消してきれいな件名に直そうとする人がいますが、ビジネスメールにおいては逆効果となることが多いです。あくまで相手の利便性を第一に考え、自動生成される形式を維持することが重要です。

新規でメールを作成する場合の件名の付け方

何らかの理由で返信ボタンを使わず、自分から新規でメールを作成して送る必要があるケースもあります。例えば、メールアドレスの変更を求められた場合や、指定された別の担当者に直接連絡をする場合などです。このような場合は、用件と氏名が一目でわかる件名を作成する必要があります。

具体的には「書類選考通過のお礼と面接日程のご調整について（氏名）」のように、メールの目的と送信者を明確に記載します。「面接の件」といった曖昧な件名ではなく、具体的に何についての連絡なのかを記すことが大切です。採用担当者は多くの選考を並行して進めているため、どの選考段階の連絡なのかが件名だけで伝わるように工夫する必要があります。

件名だけでなく重要度や開封確認の設定にも注意が必要

件名の書き方と合わせて注意したいのが、メールの重要度設定や開封確認機能の使用についてです。一般的に、応募者からの返信メールに「重要」マークを付けたり、開封確認メッセージを要求したりする必要はありません。これらは相手に対して心理的な負担を与えたり、開封確認のポップアップが表示されることで手間をかけさせたりする可能性があります。

特別な事情がない限り、通常のメールとして送信することが無難です。件名を適切に設定し、本文で丁寧なコミュニケーションを心がければ、重要度設定などを行わなくても十分に熱意や誠意は伝わります。形式的な機能に頼るのではなく、相手の立場に立った配慮のある件名と内容で、円滑なコミュニケーションを目指すことが面接へとつながる第一歩です。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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